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オリオン座の巨星、再び輝く 超新星爆発起こらず

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ナショナルジオグラフィック日本版

オリオン座の肩の位置にある巨星ベテルギウスに死が迫っているという心配は、どうやらとりこし苦労だった。2019年10月から急激に暗くなり、超新星爆発が危惧されていたが、しばらく爆発の恐れはなさそうだ。最新の観測結果は、ベテルギウスが以前の明るさを取り戻しつつあることを示している。

観測チームは2020年2月22日付けでオンライン学術誌「アストロノマーズ・テレグラム」に、「明らかにベテルギウスの減光は止まっていて、徐々に明るくなりはじめている」とする速報を出した。「先例のない減光の様子と、この驚くべき星が次にどうなるかを理解するには、引き続きあらゆる種類の観測が必要だ」という。

ベテルギウスが明るくなりはじめたことで、天文学者たちは2019年末から暗くなった原因を探れることを期待すると同時に、超新星爆発を目撃する機会を逃したことを残念がってもいる。

「私は、超新星爆発は起こると言いたいところです」と言うのは、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのアンドレア・デュプリー氏だ。「超新星爆発の直前、前夜、1週間前、1カ月前にどんなことが起こるのか、私たちはほとんど情報を持っていないからです」

どんどん暗くなった巨星

ベテルギウスは比較的若い赤色巨星で、ふだんは夜空で最も見つけやすい明るい星の1つだ。地球から約700光年の距離にあり、この星を太陽の場所に置けば、木星の軌道まで飲み込んでしまうほど大きい。ベテルギウスは周期的に脈打っていて、その表面には、うごめき、膨らんだり、しぼんだりする巨大な対流セル(胞)がモザイクに並んでいる。その対流セルは太陽の表面にあるプラズマの粒にも似ているが、はるかに巨大だ。

「巨大なセルです! 直径は地球から火星までの距離ほどもあります」とデュプリー氏。「ベテルギウスの表面は想像を絶する世界です」

ベテルギウスの明るさは、星自体の脈動や、対流セルの膨張や収縮に伴って変動する。アラビア語に由来する名前をもつこの星は、そもそも明るさが変わる変光星で、いくつかの周期に合わせて規則的に暗くなったり明るくなったりしてきた。

けれども昨秋、ベテルギウスはいつも以上に減光しはじめ、明るくなることなく、どんどん暗くなっていった。年末にはもとの明るさの40パーセント以下まで暗くなり、夜空で10番目に明るい星ではなくなったどころか、トップ20にも入らなくなり、天文学者が記録をとりはじめて以来最も暗くなってしまった。

「恒星の進化をリアルタイムで眺めるのは楽しいですよ」とデュプリー氏は言う。「私たちがこれまで見たことがない現象が、ベテルギウスで起きています。ほかの星でも同じような現象が見られたことがあるかどうかはわかりません」

ベテルギウスが暗くなった原因はまだわからない。一部の天文学者は、明るさが変わる周期がたまたまいくつか重なったために、いつもより暗くなったのではないかと推測している。ベテルギウスから大量のちりが噴出して星を覆い隠したのではないかと推測する天文学者もいる。さらに、減光はやはり死の前兆と考える科学者もいる。巨星が重力崩壊を起こして爆発する直前に、宇宙空間に大量のちりを放出すると考えられているからだ。

ベテルギウスのような大質量の星にとって、超新星爆発は避けられない。問題は爆発するかどうかではなく、いつ爆発するかだ。ベテルギウスが爆発するときには、地球から日中でも見えるほど明るく輝くことになるだろう。

予想が当たったことはうれしいが

ベテルギウスの最近のふるまいは、超新星爆発が近づいていることでは説明できなかったものの、多くの天文学者はひそかにベテルギウスの爆発を待ち望んでいた。

米ビラノバ大学の天文学者エドワード・ガイナン氏は、ベテルギウスが明るくなりはじめる直前、ナショナル ジオグラフィックに「ベテルギウスの爆発を見たいですね。すばらしいものになるはずです」と語っていた。彼は変光星の研究をしていて、ベテルギウスを何十年も追跡している。

しかし、ベテルギウスの明るさの変動を計算したガイナン氏は、この星はすぐには死なないと考えるようになった。ベテルギウスの明るさの周期のうち少なくとも2つがたまたま最も暗いところにあり、これにより急激な減光を説明できるように見えたからだ。

ガイナン氏はベテルギウスの明るさの周期のタイミングを見て、今回のふるまいが、特によく目立つ約425日周期の変動と一致するのではないかと考えた。もしそうならば、2月末頃から再び明るくなるはずだった。実際、1週間ほど記録的な暗さにとどまったあと、そのとおりになった。

「最も暗いのは2月20日前後でした」とガイナン氏は言う。「もちろん予想が当たったことはうれしいのですが、心のどこかで、ベテルギウスがどんどん暗くなっていって超新星爆発を起こすことを期待していました。超新星爆発を見てみたかったです」

残された謎

ガイナン氏の予想は当たったとはいえ、暗くなった謎が解明されたわけではない。ベテルギウスがどんどん暗くなっていったとき、NASAのハッブル宇宙望遠鏡やチリにある欧州南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)など、高性能の望遠鏡がベテルギウスに向けられた。天文学者が最近VLTで見たベテルギウスは、1年前の姿とはかなり違っていた。

暗くなりはじめる前の2019年1月には、ベテルギウスはほぼ球形に見え、明るさのムラもなかった。しかし、2019年12月の写真ではやや楕円形になり、南半球は大きな影のようなものに覆われていた。

「恒星の表面にこれだけ劇的な変化が見られるのは非常に珍しいことです」と、VLTを使ってベテルギウスの研究をしているベルギー、ルーベン・カトリック大学のミゲル・モンタルジ氏は言う。

この写真が、ベテルギウスの光の一部がちりに覆い隠されたところをとらえたものなのか、それとも、ベテルギウスが変形して暗くなったところなのかはまだわからない。

恒星の表面に大きくて暗い対流セルが出現したなら温度が低下するはずだ。ベテルギウスは熱赤外線波長で観測したときに最も明るく見えるが、この波長で調べたところ、特に温度が下がったようには見えなかった。

「明るさの変化が短波長域のみで起きたことを考えると、ちりの放出で説明するのが合理的なように思われます」と、VLTを使って赤外線でベテルギウスの観測を行ったフランス、パリ天文台のピエール・ケルベラ氏は言う。短波長の光はちりを透過できないからだ。

けれどもガイナン氏は、「ちりが425日周期の脈動となんの関係があるというのでしょう?」と言う。

謎が解けたわけではないが、ガイナン氏らは、ベテルギウスが夜空に見えているうちに再び明るくなってきたことを喜んでいる。地球から見るベテルギウスは、季節の移り変わりとともに太陽に近づき、やがて秋まで見えなくなってしまうからだ。

(文 Nadia Drake、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年2月28日付]

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