焼きたてトーストもっとおいしく 国産発酵バター10選

■6位 小岩井乳業(東京都中野区)340ポイント
万人受けするバランス

小岩井純良バター 1891年に創設された小岩井農場(岩手県雫石町)では、1902年に発酵バターづくりが始まった。現在も農場内の乳業工場で製造し、近隣牧場からも原料を調達している。

乳酸菌の配合を工夫し、日本人好みのまろやかな味に仕上げている。瓶の蓋の裏には脱酸素剤を貼り、新鮮な味をキープできるようにした。「万人受けしそうなバランスのよさ」(神戸さん)。「塩味もほどよく、食べやすいなめらかさ」(清水さん)

(1)160グラム(2)705円(希望小売価格、税抜き)、ネット通販や百貨店など(3)https://www.koiwaimilk.com/

■6位 千本松牧場(栃木県那須町)340ポイント
牧草の香りのような奥行き

ホウライの発酵バター 明治の元勲、松方正義が1893年に開いた農場を起源とする牧場。1983年に牧場でのバター製造を終えており、現在は当時のバターに似た味わいが出せる南日本酪農協同(宮崎県都城市)の工場に製造を委託している。

「牧草の香りがするような、独特の奥行きがある。濃厚でパンの味も底上げされる」(梶田さん)。「ミルクの香りと塩味のバランスが素晴らしい」(長谷川さん)

(1)200グラム(2)770円(直営店)、ネット通販など(現在は入手困難だが、3月下旬までに販売再開の予定)(3)http://www.senbonmatsu.com/

■8位 帝国ホテル(東京都千代田区)330ポイント
上品で口溶けなめらか

帝国ホテル特選発酵バター マーガリンで知られるホテルの独自商品。北海道産の生乳からできたクリームを使う。試作を重ね、出来上がりの風味のよかった乳酸菌を選んで発酵させている。「マイルドな風味で口溶けがなめらか」(井上好文さん)、「上品でスタンダードな味わい。トーストとの相性もよい」(神戸さん)。

料理などで加熱すると、より風味が引き立つという。「あとから塩味が出てきておいしい」(片山智香子さん)との声もあった。

(1)113グラム(2)918円、帝国ホテル東京内のショップ「ガルガンチュワ」か電話で注文(3)https://www.imperialhotel.co.jp/

■9位 ミルクロード(群馬県昭和村)320ポイント
パンに負けない強い酸味

ロマンチックデーリィファームバター(有塩、発酵タイプ) 1974年に6頭の乳牛で始まり、現在では1200頭規模となった同ファームで搾乳した生乳を使う。飼料の安定供給により、ミルクは年間を通して乳脂肪分が3.8%以上と濃厚だ。近隣の加工工場との共同開発品で、2017年に販売を始めた。

「酸味が強くパンに負けない。風味を強く感じるバタートーストになる」(津田さん)、「口に含んだときにミルク感をたっぷり味わえる。パンとの相性もいい」(長谷川さん)。

(1)120グラム(2)900円、「ミルクロード自由が丘店」やメールで注文(3)http://milkroad.co.jp/

■10位 ノースプレインファーム(北海道興部町)310ポイント
サロマ湖の塩、地産の味

オホーツクおこっぺ醗酵(はっこう)バター有塩 約100頭と小規模な牧場。道東の他の牧場からクリームを調達している。サロマ湖の海水を炊き上げた「つららの塩」を加えるなど、北海道らしさにこだわる。

牛乳のようなフレッシュでさわやかな味わいが特徴だ。「ミルキーな風味に加え、後から酸味も出てきて味わい深い」(片山さん)、「深いコクと塩味があり、バター単体でもおいしく食べられる」(柏木さん)。

(1)125グラム(2)972円、自社のオンラインショップ、羽田空港第1旅客ターミナル「プレミアムハーベスト」などで随時(3)https://northplainfarm.co.jp/wp/

発酵タイプ浸透 料理に深いコク

バターには発酵と非発酵がある。前者は生クリームや非発酵バターに乳酸菌を加え、独特のコクや香り、酸味を出す。古くからバターをつくってきた欧州では製造過程で自然に乳酸発酵が進み、発酵バターができた。その名残から、今でも発酵タイプが一般的だ。

日本では古代、乳を利用する文化が渡来したといわれるが、バターを本格的につくり始めたのは明治になってから。「日本乳業史第二巻」によると、現在の新宿御苑内の実習農場で、1873年にバターがつくられた。近代的な技術とともに導入されたため日本では非発酵が主流となったが、発酵バターをつくるところが少しずつ増えてきた。

「トーストにも料理にもより深いコクを出せるのが発酵バター」と話すのは津田淳子さん。全国ブランドはもちろん、地域のお土産として注目の「クラフトバター」も登場している。長谷川純一さんによると、「欧州の発酵ハウハウを変化として受け入れ、進化させている」。日本の食文化をより豊かにする可能性を秘めている。

■ランキングの見方 メーカーまたはブランド名(所在地)。文頭の太字は商品名。数字は専門家の評価を点数化。(1)1個あたりの重さ(2)税込み価格と購入方法(3)公式サイト。写真は三浦秀行撮影、スタイリングは島本美由紀。

■調査の方法 バターに詳しい専門家の協力で、国産の発酵バターを23品選定。商品を集め、トーストした敷島製パンの「超熟」につけて試食。「風味」「トーストとの相性」の観点で順位を付けてもらい、編集部で集計した。(天野由輝子)

■今週の専門家 ▽井上好文(日本パン技術研究所所長)▽梶田香織(バタートースト評論家)▽柏木雄一(松屋銀座店MD課担当課長)▽片山智香子(パン屋さんめぐりの会代表)▽神戸みゆき(パンニュース社)▽清水美穂子(ブレッドジャーナリスト)▽津田淳子(「バターの本」編集者)▽長尾絢乃(富澤商店オンラインショップ担当)▽長谷川純一(俺のフレンチ・イタリアンAOYAMA支配人兼シェフソムリエ)▽平野正延(東京都酪農業協同組合代表理事組合長)▽福地寧子(パンコーディネーター)▽吉田功(品川プリンスホテル総料理長)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2020年3月7日付]


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