powered by 大人のレストランガイド

日本一うまいビールを飲む! 「注ぎ方」で広がる世界

佐藤さんは、日本で初めて「タップスター」と呼ばれるピルスナーウルケルの伝道師の称号も手にした。その証書を2階のバーに掲げている

「ピルスナーウルケルには、甘みもありますが、苦みの値もスーパードライの倍ぐらいある。でも、ハラディンカという注ぎ方は、甘みが苦みをコーティングするので、あまり苦く感じません。炭酸もほどよく抜いているので、味わいはリッチだけど飲み続けられるんです。アルコール度も4.4%と低いですしね」。そう聞くと、チェコは1人当たりのビール消費量が26年連続世界一の国(18年までの消費量、19年12月24日「キリンビール大学」リポートより)であるというのもうなずける。

「サトウ注ぎ」は、このハラディンカにヒントを得て、スーパードライが最大限においしくなるよう研究した末に生まれた注ぎ方なのだ。

2018年には現地で研修を受け、日本で初めて「タップスター」と呼ばれるピルスナーウルケルの伝道師の称号も手にした。「チェコでは、醸造家はビールを造るけれど、完成させるのは注ぎ手という考え方があります。同地のいくつかの店でも研修しましたが、みなビールを注ぐ技術がしっかりしているという印象でしたね」(佐藤さん)

ちなみに、チェコには、ハラディンカ以外にも、シュニット、ミルコといった注ぎ方がある。シュニットは泡たっぷりでビールは少なめ、ミルコはほぼ泡だけでビールの泡のクリーミーな感覚を楽しむものだ。「シュニットはアロマなどビールの魅力を感じやすく、小さめのグラスで飲むのでテイスティングに適しています。だから、バーテンダーがビールの味わいをチェックする際は、この飲み方をします」

佐藤さんが修業したチェコの店では、約3割のオーダーはシュニットだったらしく、“通”の飲み方と言っていいだろう。一方、「泡だけなんてビールじゃない」と思われそうなミルコは、デザートと合わせたり、口休めや、シメとして楽しんだりといった飲み方をされているという。なるほど、注ぎ方の違いで、ビールを飲む場面も、大きく広がるのが分かる。

「ウトペネッツ」(630円・税別)。酸味の効いたソーセージで、挟んでいるのはキャベツの酢漬けだ

さて、チェコビールを2本柱の一つとした「ブルヴァール・トーキョー」のメニューには、同国のビアバーでポピュラーな料理を多くラインアップする。出色が、現地でも人気の「ウトペネッツ」だ。ソーセージの酢漬けだが、なんと料理名は「水死体」という意味。酢に漬けたソーセージの様子が、水死体に似ているというのが由来らしい。

「ハイディランカも、『静かな湖の表面』というような意味なんです。チェコってそうしたユニークな表現の文化があるんですよ」と佐藤さんは笑う。ちなみに、ピルスナーウルケルには酸味がある料理が合うと、チェコのビールのつまみは酸味が効いたものが多い。だから、同店ではポテトサラダもキュウリのピクルスを混ぜこんだ「チェコ風味」だ。

「ポテトサラダ」(550円・税別)。卵やツナのほか、キュウリのピクルスを混ぜ込んでいる

「日本の若者がビールを飲まなくなっているというけれど、それはビールのおいしさが伝わっていないせいがあると思う」と佐藤さんは危機感を持つ。本当の魅力を伝えるため、佐藤さんは、今日もサーバーの前に立つのだ。

(フリーライター メレンダ千春)


メールマガジン登録
大人のレストランガイド
ラーメン・レシピ・コンテスト
注目記事
メールマガジン登録
大人のレストランガイド
ラーメン・レシピ・コンテスト