がんのセミナーを全国28カ所で開催

――職場に相談できる環境があるのは大事なことですね。私自身はフリーランスなので、仕事場と自宅が一緒なのですが、がんで治療中は副作用や、どのように仕事をしていくかに悩み、医療者に相談にのってもらって、随分気持ちが楽になりました。「がんと就労セミナー」はどのような内容で開かれているのですか。

今村 がんが見つかるまでの経緯や治療と仕事を両立するための工夫、治療にかかる費用など、講師自らの体験談を伝えることで、がんを身近な病気と捉えてもらうようにしています。また、人事総務本部のスタッフから会社の制度やサポート体制、社内の保健師の活動などを紹介します。このセミナーは2017年11月から始め、現在までに全国28カ所で開催しほぼ一巡していて600人以上が参加。基本的に受講したい人が参加しています。

セミナーで行っている乳がん触診モデル体験(写真提供=日立システムズ)

川崎 セミナーでは会社で購入した2台の機器を使って、乳がん触診モデル体験も実施しています。触るとしこりが分かり、男性も体験してくれる人が少しずつ出てきて、検診への関心が高まっているように感じます。男性も乳がんになることはありますからね。

今村 セミナー参加者からは「がんという病気を身近に感じるようになった」「会社に両立支援制度や相談先などのサポート体制があることが分かり安心した」などの声を聞き、がんや職場の取り組みの理解につながっていると考えます。それに、自分の部下や同じ所属のスタッフががんになったときに、どうサポートするかを考えるきっかけにもなっていると思います。

がんを経験した従業員の意思、希望を大切に支える

――従業員の治療と仕事の両立をサポートする上で、特に大切にしていることは何でしょうか。

川崎 ご本人の意思や希望を尊重することが、一番大事だと考えています。業務上の配慮が必要なときや上長に病状を理解してもらいたいときは、相談いただいた方がいいと思うのですが、中にはがんのことを職場に知られたくない、特別な支援は必要ないと思う方もいらっしゃいます。そこは支援の強制にならず、その方にとって何が必要かを確認しながら進める必要があると思っています。

今村 病気の度合いや治療方法などはそれぞれ違うと思いますが、従業員が自分の置かれている状況を把握して、何をしていきたいのかをきちんと考えることも大切です。上司や相談窓口に相談できるサポート体制は整っていますし、会社の制度もあるので、それらをきちんと従業員に伝え、周知を図るのは会社の役目だと考えています。

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後編(「社員のがん検診率向上 日立システムズの手紙の宛先は」)では、企業として行っているがん予防の対策について聞く。

(ライター 福島恵美、 図作成=増田真一)

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