シングルマザー奮闘 不安なく働ける先進企業の条件

2020/3/24

厚生労働省の16年度「全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の親の81.8%が仕事に就いている。ただ、家計の苦しさは顕著だ。15年の母子世帯の平均年収は348万円。父子世帯(573万円)より低く、児童のいる世帯(707万8千円)を100とすると49.2にとどまる。

採用時に配慮するのが、浄水器を販売する三菱ケミカル・クリンスイ(東京・品川)だ。同社は東京と大阪で10人以上のシングルマザーを、販売店を回って営業や売り場作りを担う「ラウンダー」として採用した。長く働けるかを見極めるため、求職者は採用面接の前に職場を見学し、業務を体験する。入社後は自宅に近い地域を担当し、店舗への直行直帰が可能だ。

ただ、シングルマザーが前向きに働ける環境は十分とはいえない。労働政策研究・研修機構が19年10月に公表した調査で、母子世帯の母親の抑うつ傾向は、ふたり親世帯の約2倍との結果が出た。日本シングルマザー支援協会(横浜市)の江成道子代表理事は、企業と母親の双方の意識改革が必要だと訴える。

日本シングルマザー支援協会は、シングルマザーの就職支援や企業と協力した研修プログラムの作成に取り組む(2月、横浜市)

企業側には男性中心の職場や働き方を脱し、女性の思考法も踏まえた意思疎通や人材育成など「ジェンダーマネジメント」の視点が必要だという。一方でシングルマザーは「子育てに支障のない範囲で働くという姿勢ではなく、世帯主として家計を支える意識が重要だ」と助言する。自治体は認可保育園にひとり親の子供が入りやすいしくみを用意している。

同会は今年からシングルマザーだけを集めた説明会を開き、ジェンダーマネジメントに賛同する企業を紹介するほか、人材育成にも取り組む。シングルマザーの潜在能力に着目した採用、就労観を改革する教育や女性固有の事情を理解するメンターの育成などを企業に導入する。

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社会のロールモデルに ~取材を終えて~