きれいにまとまりやすい「セミウィンザーノット」
次に覚えるのが「セミウィンザーノット」。英国式には「ハーフウィンザー」と呼ばれ、英国人が最初に教わるのがこの結び方という説もある。左右均等に結ぶからきれいにまとまりやすい。細いネクタイを締める時にあまり結び目を細くしたくないという場合にも「セミウィンザー」は向いている。

では「セミウィンザー」を結ぼう。「プレーンノット」と同じように、大剣と小剣を交差させたら大剣を小剣の下から回して(写真1)、左側の襟元の輪に外側から内側に通す。この後は「プレーンノット」と同じ。小剣に回していく要領で、逆側に回し、先ほどとは逆の輪に下から通して、結び目の内側に大剣を通す(写真2)。「セミウィンザー」は、襟元の両側に大剣を掛けて結ぶので、逆三角形が作りやすく、きれいに見えるのだ。
「プレーンノットの場合も同じなんですが、私は大剣を結び目に通した時に右手の親指を結び目の内側に入れて(写真3)、回した大剣の上部が並行になっているか鏡などで確認するようにしています。上部が斜めのまま結ぶと結び目が崩れて見えることが多いものですから」
ノットが立ってVゾーンを立体的にみせるプロの技
大剣を最終的に通した後の結び目が斜めになっているときれいな逆三角形が出来にくい。これは嬉しいアドバイスだ。さらに外島さんはネクタイのプロらしい結び方を教えてくれた。

「私たちはよく“ノットが立つ”というのですが、ネクタイを締める時に少し腰をかがんでやり始め、締め上げる時に立ち上がるようにします。そうするとノット=結び目が立って、Vゾーンを立体的に見えるのです。先輩から教わった方法なんですが……」
「マリネッラ」では、ネクタイがジャカードなどの肉厚の生地の場合は「プレーンノット」、プリントなどの軽い生地の場合は「セミウィンザー」の結び方をオススメしているという。また生地を斜め=バイアスで使うネクタイの場合、締めていく内に長さが伸びてしまうことも多い。時には5cmも伸びてしまうこともある。最初は「プレーンノット」で結んでおいて、ネクタイが伸びてきたら「セミウィンザー」という方法もあると外島さんは話す。
「新品よりも馴染んだ方が締めやすいものです」と外島さん。ネクタイそのものも、美しい締め方も“慣れ”が肝心だ。紳士の身だしなみは一日にして成らずということなのだろう。

1957年生まれ、埼玉県出身。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社し「メンズクラブ」でファッションページを担当。2006~07年同誌編集長。09年からフリーランス編集者に。「Pen」「サライ」「Forbes Japan」「日経ビジネス」「メンズプレシャス」などで雑誌や広告制作で幅広く活動。

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