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音楽と味なペアリング シャンパン・メゾン新たな挑戦

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NIKKEI STYLE

「シャンパンの帝王」の異名をとるフランス北部・ランスが拠点の高級シャンパンメゾン 、クリュッグ。社長兼CEOに加え、今年から醸造部門トップにも女性が就任し、新たな 一歩を踏み出した。シャンパンと音楽を絡めた「ミュージック・ペアリング」や「クリュッグiD」など時代の変化に即したユニークな試みも積極的に打ち出す。来日したクリュッグ家6代目当主、オリビエ・クリュッグ氏に聞いた。

――どれくらいの頻度で来日されていますか?

年2、3回のペースです。「クリュッグアンバサダー」と呼ばれるクリュッグ取扱店舗やレストラン関係の方々などにお会いするのが目的です。今回は「クリュッグ 2006」というビンテージシャンパンや、近年取り組みを強化している「ミュージックペアリング」の紹介も目的です。

――ミュージックペアリングとはどのようなものですか?

料理に合うお酒をセレクトし、一緒に楽しむのが「フードペアリング」ですが、その音楽版で、シャンパンに音楽を絡めた新たな楽しみ方の提案です。その手法ですが、まずはミュージシャンの方々にクリュッグを飲んでもらい、感じたフィーリングを音で表現してもらいます。

オリジナルの曲で表現される方もいれば、感じたフィーリングに近い既存の曲を選ぶ方もいます。クラシックやジャズ、エレキバンドなど様々な音楽ジャンルの方々20人ほどにご協力いただいています。中には今までクリュッグをご存じない方もおられましたが、 アウトプットされた音楽を聴きながら、シャンパンを飲むと味わいが変わるから不思議です。味覚を研ぎ澄ます力を音楽は秘めているからでしょう。

――ユニークな試みですが、その狙いは何でしょう?

クリュッグやシャンパンをご存じない方にも音楽を介すれば、伝わりやすいと考えており最近、取り組みを強化しています。クリュッグをこよなく愛する人たちを指す言葉に「クリュギスト」があるようですが、私たちはその言葉は使わず「クリュッグラバー」と呼んでいます。ラバーの方が寛容性を感じるし、シャンパンはそもそも寛容的な飲み物だからです。

シャンパンメゾンの使命は「コンテンポラリー・ラグジュアリー(今日的ぜいたく)」の提供です。品質面で一切妥協しないのはもちろん、人に対しても常にオープンでありたいと思っています。

――それでも一本1万円以上するクリュッグは、若者には高嶺の花ではないですか?

高いか安いかについての感じ方は人それぞれではないでしょうか。コンサートやスポーツ観戦のチケット料金を思えば、決して手が出ないものではないと思っています。ラグジュアリーブランドは誰かをターゲットにするのではなく、自らのストーリーを語るべきであり、語れる存在です。メゾンとしての寛容な姿勢でメッセージを伝える努力を惜しまなければ、若い人たちだって自然と耳を傾けてく れるはずです。

――クリュッグはデジタルな取り組みも積極的です。

ええ、おそらくデジタルに関してはシャンパン業界のトップランナーかもしれません。その一つが数年前に始めた「クリュッグiD」事業です。シャンパンのボトルの裏側ラベルに6桁のiD番号を印字し、専用の無料アプリにその番号を入力すれば、そのボトルに関するストーリーやフードペアリングでのお薦め料理などが分かるようになっています。デジタルな試みは、若い世代にも親和性がありますし。

――クリュッグiD事業は8年間、アルゼンチンのモエヘネシー社の代表を務め2009年にクリュッグ社長兼CEOに就任された南米出身のマギー・エンリケスさんが導入されたそ うですが、クリュッグの醸造部門の責任者も今年から女性が就任されましたね。

21年間、最高醸造責任者を務めた男性の傍らで13年間、一緒にやってきたフランス出身のジュリー・カビルです。でも、女性だから選ばれたわけではありません。クリュッグの社員は生産チームも含めて社員は全部で60人ほど。男女ほぼ同数で、その比率は経営陣やシャンパンのブレンドの味を決める社内の「テイスティング委員会」のメンバーも同じです。

数あるシャンパンメゾンの中でもうちは小規模で、生産量は約0.2%に過ぎません。念頭にあるのはマーケットシェアではなく「シェア・オブ・ハート」。つまり、どれだけ人々の心の中にあり、愛着を感じてもらっているかを常に考えています。

――クリュッグの強みについて、どうお考えですか。

クリュッグのシャンパンは、いわば花火大会のフィナーレを飾る花火のようなものです。フィナーレの花火は、一番派手ですべての色が空にはじけ、ハーモニーを奏でます。クリュッグを一口含んで、目を閉じると、シャンパンの味や香りが一気に広がるのが分かります。そこにはエレガンスさ、リッチさ、緻密さ、大胆さ、軽やかさ、力強さ……。

それらをすべて兼ね備えているからこそ、おいしさにつながるのです。「職人技」という面では、最も洗練されたものをもっていると自負していますが、私たちが目指すのはあくまで飲むお客様が喜びを感じてくれるか、です。

「最高の品質のシャンパンを毎年変わらずにお出しする」というクリュッグ創業者である 初代、ヨーゼフ・クリュッグの夢を今も変わらず伝え続けることを忘れずにいます。今、 市場には「グランド・キュベ 168」というエディションが出回っています。「168」という数字は初代ヨーゼフが思い描いた夢の168回目の再現ということを意味します。

――地球温暖化の影響についてはどうでしょう。

3つあると思っています。まずはいいニュースから。シャンパーニュ地方は温暖化のおかげで、ブドウ栽培で恵まれる年が増えています。一方、リスクですが、短期的と長期的な2つがあります。短期的リスクは温暖化でブドウの芽吹きが早まる傾向にありますが、3、4月に霜が降りることがあり、霜枯れのリスクです。長期的にはブドウ栽培などの見直しの必要性といった問題です。

具体的には温暖化に伴う土壌改良や地表の乾燥に備えた水の確保をどうするか、です。土壌改良には人手が伴い、労働力確保も課題です。クリュッグは生産過程で今も木のたるを使っていますが、半年間は空の状態にあるため乾燥が進み、使用する前に水でしっとりさせる必要がありました。そこで湿度を一定に保ち、たるの乾燥をおさえる保管庫を新たに設置し、水の使用量を減らすための措置を講じました。

クリュッグのボトルを入れる容器(ギフトボックス)もリサイクル可能なものに変更しています。出荷の際も航空便ではなく船便を原則使用し、地球環境負荷軽減に努めています。でも船便だと到着までに半年ほど要す場合があり、その時間を考慮した緻密な営業計画の立案が欠かせません。ブドウの生育にばかり目がいきがちな温暖化問題ですが、影響は企業活動全般に及んでいるのです。

――6代目当主のお立場ですが、ファミリービジネスについてはどうお考えですか。

ファミリービジネスの成功の秘けつは、後継者が創業者のビジョンにどれだけ忠実でいられるか、もしも今なお創業者が存命で、自分と一緒に仕事をしていたらどうか、そういう思いや気持ちの維持にかかっていると思います。私にとっての「伝統」は昔のものではなく、先にあるもの、これから構築していくもの。仮に昔出来上がったものがあったとしても、常にそれを新しく、時代に即したものに変えていくかを考えるスピリットが重要だと思います。

6代目を継ぐことに躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした。30年前に父に日本へと送り込まれ、クリュッグの存在をアピールするため必死で働きました。90年2月16日、最初の会食場所となったのが銀座1丁目のホテル西洋銀座(当時)で、ソムリエとして働いていた 田崎真也さんから名刺をもらったのも懐かしい思い出です。

――最後にシャンパンの楽しみ方を教えて下さい。

まずはシャンパンは冷やしすぎないことです。9℃くらいのものを注ぐと、グラスの中で 11~12℃くらいになり、このあたりで飲むのがおすすめです。クリュッグに限らず、おいしいシャンパンを飲むときはぜひそうしてみて下さい。また、グラスもフルートグラスではなく、白ワイン用の少しふっくらとしたグラスにした方が揮発する香りが楽しめます。グラスを口にした時も、シャンパンが舌の両側にふわっと広がりますが、フルートグラスだとそうはいきません。

シャンパンと何を合わせるかではなく、誰と一緒に飲むかがおいしさの秘けつです。シャンパンは毎日飲んでいますが、個人的にはよくパルミジャーノ・レッジャーノと合わせることが多いですね。

(堀威彦)

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