「折り畳み」Galaxyと1週間 ガラケー思い出す便利さ
Galaxy Z Flip(ギャラクシーZフリップ)は折り曲げられるディスプレーを搭載した、本体を二つ折りにできる韓国サムスン電子のスマートフォンだ。国内のキャリアではauが2月28日に発売した。折り畳みスマホは何が便利で魅力的なのか、約1週間使って見えてきたことをリポートする。
◇ ◇ ◇
Galaxy Z Flipはサイズが約6.7インチ、アスペクト比は22対9という縦長の折り曲げられる有機ELディスプレーを搭載している。真ん中から折って畳むと本体は長辺が約8.7センチ、短辺約7.4センチと正方形に近くなる。最も厚い部分が約1.73センチなのでサイズはとてもコンパクト。ジャケットやバッグのポケットにも心地よく収まった。大きな画面のスマホに魅力を感じるけれど、持ち運びが大変そうだからあきらめていたという人に最適な選択肢だ。
スマホを見る頻度が減った
本体を折り畳めるスマホは競合メーカーも商品化しているが、画面を内側に折り畳めるのがGalaxy Z Flipの特徴だ。確かにたたんだときに外側に画面がくるタイプは画面に傷が付きそうで不安に感じる人も多いだろう。
使用時に本体を開閉する感覚は、かつてのフィーチャーフォン、いわゆる二つ折りの「ガラケー」を使っていた頃の懐かしさがある。本機を試す前には毎度本体の開閉が必要なスマホなんて今さらあり得ないと思っていたが、数時間も使うと慣れた手さばきを思い出して親しみがこみ上げてきた。画面がすぐに見られないと、むしろメールやSNS(交流サイト)をむやみにチェックする回数が減って、スマホ以外のことに注意が向くようにもなった。
ただ、本体の開閉は、軽量小型なガラケーのように片手で持ったままではやや難しい。やはり開くときには両手で支えたほうが安全だろう。二つ折り形状の本体をつなぐヒンジの構造は安定感を重視したためか、かなり固めなのだ。でも、だからこそバッグの中で勝手に開いているようなことはなかったので安心とも言える。
ディスプレー側に注目すると、折れ曲がる箇所に継ぎ目はないが、画面を消灯するとわずかなくぼみがあることがわかる。だが、本体を横向きに構えて動画や電子書籍を表示してみても、このくぼみが気になるようなことは特になかった。
1週間のテスト期間では判定できないが、サムスンは折り曲げ部について20万回以上の開閉に耐える強度を確保したと発表している。毎日約200回開閉しても、少なくとも3年近くは壊れる心配をしなくてもよいことになる。
大画面を2分割して使うことも
画面は開閉いずれかのポジションだけでなく、開く角度を自由に決めて使える。例えばカメラアプリを起動して、本体の開閉角度を100度ぐらいに調整すると、自動的に画面が上下分割されて、上部にビューファインダー、下部に操作ボタンが表示される。
この状態だと、スマホを机に置いて自撮りが楽しめるし、スマホを安定した場所に置いてシャッターを切れば三脚を使わなくても手ぶれを抑えたきれいな写真が撮れる。ちなみに本機のメインカメラは広角と超広角によるデュアルレンズ仕様だ。超広角レンズで撮影すると、静止画・動画撮影ともに被写体をワイドに写し込める。
約6.7インチの大画面を上下2分割表示にして、例えば「YouTubeとブラウザ」「AbemaTVとツイッター」のように、複数のアプリを同時に起動しながら楽しめるマルチ・アクティブ・ウィンドウ機能も便利だった。Netflixは非対応のようだが、Amazonプライム・ビデオの動画視聴も2画面表示にして、ブラウザーで出演者情報を検索しながら楽しめた。
女性の関心が高い
Galaxy Z Flipには折り曲げ可能な有機ELディスプレーなど、モバイルの最先端技術が詰まっている。でも、実際には簡単・手軽に扱えるスマホに仕上がっているので、あまりデジタル機器に詳しくない人でも使いこなせると思う。
実際、筆者の周りでもGalaxy Z Flipは女性からの関心が高かった。普段は筆者が取材しているガジェットに見向きもしない妻も即座に反応したほど。サイズ感もさることながら、「ディスプレーが保護できるし、汚れにくそう」なところにひかれるそうだ。
妻と話していて面白いと思ったのは保護フィルム。Galaxy Z Flipは有機ELディスプレーの表面に、はがれない超薄型ガラスが貼られた状態で出荷される端末なのだが、妻はやはり他のスマホのように保護フィルムを自分で貼って使いたいという。Webで検索してみたところ、既に複数のメーカーが本機専用の保護フィルムや外装を守るケースを発売しているようだ。保護フィルムを貼りたい、という声は多いのだろう。
一方、ガジェット好きな人は、本機が5G通信には非対応の4G LTE端末であることを念頭に置きながら購入を検討してほしい。au直営店の機種代金が18万円に迫る高額な端末なので、折り曲げられることの価値も含めて、自分の期待にどこまで応えてくれるスマホなのか店頭などでゆっくり試してみるほうがいいだろう。
フリーランスライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経て独立。AI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KにVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を活かし、国内から海外のイベント取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。