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新型コロナは春に終息? 予測が信頼できない理由

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ナショナルジオグラフィック日本版

世界中で急速に拡大している新型肺炎(COVID-19)の流行は、インフルエンザのように春になれば終息するのだろうか。多くの専門家は、暖かくなってウイルスがどんな動きをみせるかを予測するのは時期尚早とみている。

コロナウイルスには多くの種類があるが、人間に感染するのは7種だけだ。そのうち4種が、軽い風邪症状を引き起こすことで知られている。目下流行中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含め、残りは新しいものとされ、致死率が高く、コウモリやラクダなどの動物から人間へ感染したと考えられている。

夏になれば流行も収まるだろう、と考えたくなるのは理解できる。20年2月には、米国のトランプ大統領は中国のウイルス封じ込め作戦について、「特にこれから暖かい季節になれば」成果を上げるだろうとツイートした。

「季節性」とされるインフルエンザウイルスや、軽い風邪症状を引き起こすコロナウイルスであれば、確かに気温の上昇とともに終息するので、トランプ大統領のツイートにはある程度の科学的根拠はある。しかし、新型コロナウイルスも同様の反応を見せるかどうかはまだわからない。現在、この病気を研究している専門家も、ウイルスがこれからどうなるかを予測するのはまだ早いとしている。

米メリーランド大学の研究者スチュアート・ウェストン氏は「これも季節性のものであればいいのですが、今は何とも言えません」と話す。同大学では、新型コロナウイルスの研究が急ピッチで進められている。

2月25日の時点で、感染者数は世界34の国と地域で8万人を超えた。専門家は、この先も感染拡大は続くだろうと警告している。

一部のウイルスが季節性である理由

簡単に言うと、インフルエンザウイルスやコロナウイルスは、タンパク質と脂質の集まりだと考えられる。直接触れることで人から人へ感染するが、硬い物の表面や、感染者の飛沫のなかにもウイルスは存在する。

だが、いったん人体の外に出たら、ウイルスは外部の力を受けて劣化する。手指の消毒用アルコールはタンパク質や脂質を分解するため、ウイルスは不安定になり、感染力が弱まる。

なぜ一部のウイルスは季節性なのか。その答えを探るために、主にインフルエンザウイルスを対象にした研究が過去に数多く行われてきた。昔からインフルエンザといえば冬と言われるように、その流行はだいたい10月に始まって翌年の3~4月まで続く。専門家は、様々な理由を挙げている。

例えば、冬の間、人々は室内に閉じこもりがちで、人と人との接触が濃厚になるためという意見がある。また、緯度が高い地域では冬期にインフルエンザの患者数が増加する。そこで研究者たちは、異なる気温や湿度のなかでウイルスがどのように広がるのかを調べてきた。

寒くて空気が乾燥しているとインフルエンザが広がりやすいことを、最初に実験で示した研究は2007年に学術誌「PLOS Pathogens」に発表された。

モルモットを使ってインフルエンザウイルスが感染する様子を実験室で観察したところ、気温と湿度が高い環境で、ウイルスの感染が減速することがわかった。さらに湿度を上げると、感染は完全に止まってしまった。暖かい空気には水分が多く含まれ、ウイルスが空気に乗って遠くまで移動するのを阻害する。また、咳やくしゃみと一緒に飛び出した飛沫は、空気中の水分を引き寄せて重くなり、浮遊できなくなって地面に落ちる。

実験室の外での調査も、似たような結果が出ている。比較的最近の研究では、気温が低く空気が乾燥していると、ウイルスは無傷のまま長く生存し、空気中を遠くまで移動できることが示唆された。

だが一方で、熱帯地方で雨期にインフルエンザの感染者数が増加するところがある。これもまた、人々が室内に多く集まるせいだろうか。

また、冬に起こりがちな湿度の低下が鼻水の機能を阻害するという仮説もある。鼻水は、ウイルスや細菌といった異物を捕らえて鼻の外に排出する。ところが、冷たく乾燥した空気は鼻水を乾燥させるので、ウイルスを捕らえる機能が低下する。

同じく新型コロナウイルスを研究する米コロンビア大学感染症免疫センター所長のイアン・リプキン氏は、太陽の光に着目する。太陽光は物の表面に付着したウイルスの分解を助けるというが、冬の間はその恵みが十分に受けられない。

「紫外線は、ウイルスの核酸を分解して、表面を殺菌する効果があります。その点では、室外の方が室内よりも清潔と言えます」

その優れた殺菌・殺ウイルス効果から、器具の殺菌に紫外線を使う病院もある。

SARSを封じ込めたのは季節か、予防措置か

新型肺炎もインフルエンザも、呼吸器系の感染症ではあるが、新型コロナウイルスが同じような季節性を持っているかどうかを予測するには、まだ判断材料が少なすぎる。

今回の流行をよりよく理解するために、科学者たちはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など過去の似たようなウイルスの流行にヒントを求めている。

SARSウイルスと新型コロナウイルスの遺伝子は、90%近く同じであるという。2002年11月に始まったSARSの流行は、翌年7月まで続いた。季節性があると言えば言えなくはないが、それよりも、早期に対応したことのほうが抑制につながった可能性がある。つまり、SARSを封じ込めたのは暖かい気温だったのか、それとも予防措置の成果だったのかは定かではない。

MERSは、2012年9月に気温の高いサウジアラビアで発生した。SARSと違って完全に封じ込められることはなく、その後も新たな発症が時折報告されている。現在、その中東でもイランやアラブ首長国連邦で新型コロナウイルスの感染が報告され始めた。

「MERSの場合、季節性を示す証拠はほぼ見られません」と、ウェストン氏は言う。

SARSとMERSが本当に季節性だったのか、また今回のウイルスがSARSと同じようにふるまうのかはまだわからない。ウェストン氏の研究室では、治療法とワクチンの開発に向けて努力しているが、完成までには少なくとも1年はかかるだろうという。

今やるべきことは?

米ハーバード大学公衆衛生大学院の疫学者マーク・リプシッチ氏は、暖かくなってもウイルスの拡大が大幅に抑えられるとは思えないと話す。新型コロナウイルス感染症は、今や世界中で報告されている。このウイルスに、少しでも典型的なインフルエンザウイルスとの共通点があるなら、今度はこれから冬を迎える南半球で感染が拡大する恐れがある。

英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のデビッド・ヘイマン氏も同様に、予測は難しいと語る。「証拠に基づくことなく予測をすれば、もしそれが間違っていた場合、真実と取られて誤った安心感を与えてしまう恐れがあります」と、ヘイマン氏はメールで警告した。「今やるべきことは、ウイルスを封じ込めて、可能であれば消滅までもっていくことです」

米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、症状が出ているときが最も感染力が強い。しかし、公式に発表されている数よりも実際の感染者数はずっと多いだろうと懸念する専門家もいる。感染した人が全て深刻な症状をみせるわけではないので、感染しても検査されない人は多いはずだと、ウェストン氏は言う。

多くの専門家は、新型コロナウイルスが最終的にエンデミック(ある感染症が特定の地域内で一定の割合で発生し続けること)として定着するだろうとみている。そして、他の4種のコロナウイルスと同様に軽い風邪症状を起こすか、インフルエンザのように季節的な流行を繰り返して、人々の健康を脅かすことになるだろうという。

世界保健機関(WHO)は、どんなウイルスでも感染を防ぐために、頻繁に手を洗い、咳やくしゃみなどの症状が出ている人との濃厚接触を避け、病気になったら医療機関を受診するよう勧めている(編注:日本では発熱や風邪のような症状がある場合、医療機関を受診する目安が「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に示されています)。

(文 SARAH GIBBENS、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年2月27日付記事を再構成]

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