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福岡市が急成長を遂げた秘密に迫る

福岡市が急成長を遂げた秘密に迫る

東京一極集中が進み人口減少や高齢化に悩む地方が多いなか、今もっとも勢いのある都市として注目を集めているのが福岡市だ。人口増加率や出生率が国内トップクラスで、経済は好調。とても住みやすいという評価も受ける九州最大の都市は、どのように地域経営に取り組んでいるのだろうか。今回紹介する『超成長都市「福岡」の秘密』は、地域振興の「勝ちパターン」を詳しく解析。まちづくりに関わる人だけでなく、新しいビジネスにチャレンジする若い世代に発想のヒントを与えてくれる一冊だ。

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石丸修平氏

石丸修平氏

著者の石丸修平氏は、福岡都市圏で官民一体で地域振興に取り組む福岡地域戦略推進協議会(FDC)の事務局長を務めています。1979年生まれで出身は福岡県飯塚市。経済産業省に入省後、大臣官房政策評価広報課、中小企業庁長官官房参事官室などを経て、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)に参画しました。30代前半に福岡県にUターン、15年に現職に就任しています。九州大学客員准教授やアビスパ福岡アドバイザリーボード(経営諮問委員会)委員長としても活躍中で、福岡の土地柄を熟知し幅広い人脈をもつ地域活性化のプロです。

博多気質の「のぼせもん」とは

近年の福岡市の急成長ぶりを示す数字を紹介します。人口は毎年1万人ずつ増えていて、2019年時点では159万人。全国で5番目に大きな都市となりました。前年比での増加数は1万10人で、この数字は全国トップです。また、経済や生活環境なども含めた都市としての総合力でも高く評価されています。野村総合研究所が発表した「成長可能性都市ランキング」(2017年)のポテンシャルランキングでは堂々の1位。国内だけではありません。英国のグローバル情報誌で発表された「世界で最も住みやすい都市ランキング」(2016年)では第7位に選ばれました。

第1章では「なぜ、福岡に世界から人と企業が集まるのか」について考察します。玄界灘を挟んで朝鮮半島に近い福岡は、古くから海上交通の要衝として栄えてきました。最近は、経済発展の著しい東アジアの玄関口としても発展しています。著者はこうした地理的条件に加えて「福岡人」のオープンで情熱的な気質に注目します。お祭り好きの「のぼせもん」の気風がプラスに働いているという見方です。

有名なのは「山のぼせ」。全国の夏祭りで集客人数1位の「博多祇園山笠」のシーズンになると「山のぼせ」があちこちに出てきます。
 山笠の行事があれば、会社を休むのも当たり前。ビジネス街や歓楽街を法被(はっぴ)で歩くのも当たり前。行事で交通が混雑して仕事のアポイントに遅れても「まあ、山笠やけんね」。山笠に出たいからと、引っ越ししたり、転職したりする人までいるほどです。
 大都市だと何か大きなイベントを開催する時は「利益は?」「経済効果は?」といった利害の思考が働くものですが、福岡の人は「それ、よかね」と思ったらすぐにのぼせます。そして一度のぼせたら、情熱と愛情で動く。
(第1章 世界から人と企業が集まる理由 60ページ)

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