変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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異なる価値観を理解し合い
分断を乗り越える

――採用のクラウドサービスを展開する会社の最高戦略責任者を務めながら、組織マネジメントや人材育成をテーマとしたビジネス書作家としてもヒットを飛ばす北野唯我さんの最新作は『分断を生むエジソン』。天才といわれながら挫折を経験した女性起業家と、敏腕コンサルタントとの対話を軸にした物語仕立てのビジネス書です。

ストーリー形式のビジネス書はこれで3作目になります。僕がある意味、分かりづらい形でビジネスやマネジメントについて書くのは、今のビジネス書の読まれ方に疑問を感じているからです。

大きな文字、手に取りやすいレイアウト、すぐ役立つことばかりを強調するキャッチフレーズの本が、ファストフードのように大量消費されているように見える。こうした「すぐに役立つ」ことをうたう本が、本当に人生や仕事の役に立っているとは思えないのです。自分の読書経験を振り返ってみても、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』や夏目漱石の『こころ』など、大きな影響を受けた本はどれも、「分かりやすくてすぐ役に立つ本」ではありませんでした。むしろ読み返すたびに解釈が変わったり、以前は気に留めなかった部分が心に刺さったり、読むたびに新たな発見がある。

分かりやすい答えを与えられるのではなく、物語に没頭する中で自分にとって本当に価値があるものを見つけ出すからこそ、意味があるのだと思う。そういう読み方をしてもらえるビジネス本を書きたいと常に考えています。

――前作『天才を殺す凡人』では、他を圧倒する創造力を持った「天才」の能力発揮を阻むものの正体に迫りました。本作では、突出した才能が組織や社会を分断するリスクを指摘しつつも、それを回避し、組織や社会のために生かしていく手法を解き明かしています。

創造力に富む人材の才能が、それを理解できない「秀才」や「凡人」によって潰されてしまうのは、決して珍しいことではありません。とりわけ、「新しいこと」や「他の人と違ったこと」を嫌う傾向がある日本の組織では、その傾向が強いと思います。しかし、現実的には創造的な才能は、無機的なものではなく有機的なものです。現実のビジネス界で活躍する孫正義さんやテスラのイーロン・マスク氏、アリババ集団の創業者ジャック・マー氏などを考えても、「なぜそのサービスが生まれたのか」を後付けで紐解くことは不可能に近い。

突出した才能を殺すことなく、組織や社会全体で生かし、成長につなげていくには、どんなマネジメントや組織運営が必要なのか。働き手の視点に立てば、自分の才能を邪魔されることなく存分に能力を発揮し、大きな成果を上げるためには、どんなスキルを磨くべきなのか。その問いに対する自分なりの答えを、本作を通じて提示したつもりです。

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