就職する親戚から身元保証人の依頼 賠償責任どこまで弁護士 志賀剛一

写真はイメージ=PIXTA
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Case:75 おいが就職するにあたり、身元保証人になってくれと頼まれました。書類を見たところ、「故意または重大な過失により貴社に損害を与えた場合、身元保証人として本人と連帯して賠償の責を負う」と書かれており、サインするのをちゅうちょしています。巨額の賠償が私に請求されることもあるのでしょうか。

金銭的な請求、覚悟は必要

 身元保証は採用した本人の故意または重過失により会社が損害を受けたとき、本人と保証人が連帯して賠償責任を負うものです。身元保証には入社後に本人が会社に損害を与えた場合、その損害賠償を金銭的に保証させるほか、本人の経歴や社員としての適性に問題がない人物であることを第三者に保証させるという、いわば人物保証というような役割があり、どちらかというと後者のほうに意味があるともいわれています。

 インターネット上では「身元保証は形骸化しているので、現実に請求されることはほとんどない」というようなコラムも見受けられます。さはさりながら、保証書の文言に「賠償の責を負う」と書かれている以上、身元保証書に署名・押印すれば将来、金銭的な請求をされることも覚悟しなければなりません。

 実際、社員による横領などの事案では、会社が身元保証人に損害賠償請求している裁判例が多数あります。

責任の範囲を法律で制限

 社員の行為により会社が受けた損害を賠償する契約は「身元保証契約」と呼ばれています。少し難しい話ですが、狭義の身元保証契約は、社員本人の責任によって会社に対して損害賠償債務を負担すべき場合にその債務を保証するものですが、それ以外に身元保証という言葉は「身元引き受け」、すなわち本人の病気・事故などについても保証人が一切を引き受け、会社に本人を雇用したことに起因する何らの損害を生じさせないようにする損害担保契約の性質も含みます。

 いずれの場合でも身元保証人の責任は範囲が広く、責任が重くなりすぎるため、「身元保証に関する法律」(身元保証法)という1933年施行の古い法律で制限されています。

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