検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

誤解の多い爪水虫 間違ったケアは家族へ感染のリスク

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

水虫は、日本人の5人に1人が持っている身近な感染症。再発や再感染も多いため「病院に行ってもどうせ治らない」「たかが水虫」と思い込んではいないだろうか。しかし、それは誤解。正しく治療すれば水虫は治せる病気だ。中でも爪にできる「爪水虫」は、水虫の原因となる白癬菌の温床となりやすいので注意が必要。水虫への誤解や爪水虫の正しい治療法について、医師と団塊シニアの会主催の爪水虫をテーマとしたメディア勉強会で埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授の福田知雄さんが語った。きっちり治して「家族に嫌われるかも、うつしてしまうかも…」という心配ともさよならしよう。

「水虫は足にできるもの」は誤解

「水虫は足にできるもの」「水虫はかゆいもの」「水虫はかゆみがなければ放っておいてよい」「爪水虫は完治できない」などと思っている人も多いかもしれない。だが、これらはすべて誤解だ。

まず「水虫は足にできるもの」という誤解についてだが、水虫は、白癬菌というカビの一種が皮膚の角質層に感染して起こる病気。角質層のあるところならどこでも、つまり足に限らず、実は頭、顔面、首、太ももの内側、手など体の様々な部位で生じ得る。足にできるものを足水虫(足白癬)、爪にできるものを爪水虫(爪白癬)という。

白癬菌は、皮膚の角質層や爪の中にあるケラチンを栄養源として増殖していく。ただし、菌が皮膚に付着するとすぐに水虫になるわけではなく、付着した菌が角質層に入り込み、繁殖しやすい環境にあった場合に感染が成立する。白癬菌が付着すると最短24時間で感染が成立する可能性があるとされ、皮膚の付着部に傷などがあると、12時間程度で感染してしまうというデータもある[注1]

「水虫=かゆい」とも限らず、爪水虫のようにかゆくないものもある。爪水虫の三大兆候は「爪が厚くなる」「爪が白く濁る」「爪がもろくボロボロになる」であり、ほかに、爪に縦線が入る、爪が浮いてくるなど多彩な症状が見られる。

ちなみに、「水虫は靴を長時間履き続けているビジネスパーソンに多い」という印象があり、確かにそうした層には多いが、爪水虫に限定すると、男女とも高齢になるほど増えるという特徴がある。日本臨床皮膚科医会の調査では、足水虫が5人に1人の割合であるのに対して、爪水虫は10人に1人[注2]。60歳以上の男性では実に3~4人に1人、女性では4~5人に1人の割合で爪水虫が見られるという[注3]

「爪水虫が高齢者に多い主な理由は、水虫を持ったまま年をとっていく人が多いことが挙げられます。足水虫があると、その白癬菌が爪の先端や側縁から爪の下に侵入して増殖することで爪水虫になりやすい。しかも爪の水虫は、痛くもかゆくもないため放置されがち。そして爪水虫があるままだと、せっかく足水虫を治しても、爪の白癬菌が足の皮膚に感染して足水虫がぶり返します。このように、足水虫と爪水虫は『足から爪』『爪から足』へと白癬菌が動くピンポンのような関係にあります。つまり、両方同時に治さないと感染を繰り返す可能性があるのです」と福田さんは指摘する。

「水虫はかゆみがなければ放っておいてよい」というのが誤解である理由の一つがまさにそれなのだが、水虫を治さないと困る理由はまだある。自分の中で感染を繰り返すだけならまだしも、家族の中に水虫の人が一人いると、同居する家族にもうつしかねないということだ。

[注1]日本皮膚科学会 HP 皮膚科Q&A https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/q26.html、二宮淳也,日本医真菌学会雑誌.2000;41(1):5-9.

[注2]渡辺晋一ら,日本皮膚科学会雑誌, ,2001;111(14):2101-2112.

[注3]Watanabe S, et.al. J Dermato

l. 2010;37:397-406.

爪水虫は家族への感染の原因に

水虫を放っておくと家中に白癬菌に感染した皮膚や爪がボロボロとはがれ落ち、それが同居する家族の皮膚に付着して感染する可能性がある。福田さんによると、環境中に散らばった白癬菌は、少なくとも月単位で、湿気が保たれれば1年以上も生きる可能性がある。水虫になる要因の調査によると、「靴を8時間以上履く」の水虫リスクへの寄与度が1.43であるのに対して「同居家族に水虫がある」は22.27と格段に高くなっている[注4]

「顔の水虫、インキンタムシなどが、親の足や爪の水虫が原因で起こることがあります。床に転がって遊ぶ小さいお子さんにも感染するリスクがあります」(福田さん)

自分で感染を繰り返す、家族にうつすといったこと以外にも、爪水虫の場合、進行すると爪が変形し、歩行に影響が出て高齢者では転倒の原因にもなることもある。また、「糖尿病がある人では水虫が重篤化しやすい。さらに二次感染から足の壊疽(えそ)が進行し、切断に至る例もある」(福田さん)。「たかが水虫」と軽く見ている人は多いかもしれないが、「されど水虫」。水虫は、痛くもかゆくもない爪水虫も含めて、侮ってはいけないのだ。

爪水虫は完治できる!?

ただ、水虫かも?と気づいても、「人に知られたくない」「病院に行くのがめんどう」などの理由で、受診していない人も多い。また、足水虫に比べて治りにくい爪水虫について、何十年も前に医療機関を受診したっきり通院せず、市販薬や民間療法で効果を得られず治療を断念した人の中には、「爪水虫はどうせ治らない」と思い込んでいる人も多いかもしれない。

確かに、足水虫と違って、爪水虫は市販薬では治せない。だが、医療機関を受診して適切な薬を処方してもらえば、「ほとんどすべての爪水虫は完治できると考えていい」と福田さんは言う。

ちなみに、水虫については様々な民間療法や自己流のケアで治そうと試みる人もいるが、下記に挙げた方法や考え方は、全て間違いだ。効果がない対策はやめておこう。

【水虫の間違ったケア法】
× 水虫は湿気を好むので、はだし生活をする(ただし、治りはしないが感染予防にはなる)
× 酢に足をつける
× ニンニク、アロエ、ショウガ汁をつける
× 炎天下で砂浜を素足で歩く
× 紫外線を当てるため日光浴をする
× 爪水虫に市販薬を根気よく使い続ける

[注4]渡辺晋一ら,日本皮膚科学会雑誌. 2001;111(14):2101-2112.

これが正解!「爪水虫」攻略法&治療法

では、爪水虫かもしれないと思った場合はどうすればいいのか。福田さんに教えてもらった、きっちり治すポイントと心構えを紹介しよう。菌を持つ人が正しい知識を持って治療とケアをすることで、水虫に悩む人を減らしていける。これであなたも、しつこい水虫とはさよならだ!

●皮膚科を受診する

水虫、特に爪水虫では、皮膚科医による見極めと薬の選択が重要になってくる。爪水虫の特徴は前述した通り「爪が厚くなる」「爪が白く濁る」「爪がもろくボロボロになる」などだが、こうした症状が見られても爪水虫ではないこともある。爪水虫の正しい診断を受けるためには、皮膚科を受診することが大切だ。

●爪水虫の治療では「飲み薬」も使われる

爪水虫の治療では、飲み薬と塗り薬の2種類の抗真菌薬が使われる。「足水虫は市販の塗り薬を根気よく続ければ治る場合がありますが、爪水虫の場合には、専用の処方薬を進行度や症状によって使い分けます。爪表面だけに病変がある場合には塗り薬で治療が可能ですが、爪の中まで白癬菌が入り込んでいる場合には治りにくく、飲み薬で体の中から薬剤を爪の下の皮膚組織に浸透させ、白癬菌にアプローチしていくのがより有効です」と福田さん。

現在、国内で保険適用のある爪水虫治療薬は、内服薬3剤、外用薬2剤の5剤がそろっている。日本は、世界的に見ても治療薬の選択肢が最も多い国。つまり、薬をうまく使い分けることで完治する可能性が高く、治療環境はかなり整っている。せっかくの良い環境を生かさなければもったいないのだ。

【保険適用のある日本の爪水虫治療薬】
【飲み薬(経口薬)】イトラコナゾール、テルビナフィン、ホスラブコナゾール
【塗り薬(外用薬)】エフィナコナゾール、ルリコナゾール

●自己判断で治療をやめない

先に述べた通り、足水虫・爪水虫は互いにうつし合う関係だ。通常、足水虫から先に治ることが多いが、爪も完全に治しておかないと再感染のリスクはいつまでもつきまとう。医師の診察のもと、完治するまで根気よく続けることが肝心だ。

治療の目安はどれくらいだろうか。「爪が生え変わる期間は、正常な爪でも半年ほど。病気の爪は成長が鈍るため、健康な爪に生え変わるまで1年以上を要することもよくあります。少なくとも半年から1年は経過を見たいですね」(福田さん)

●寒い時期こそ治療のチャンス

乾燥し気温が低い冬場には、水虫の白癬菌の増殖が止まるため、水虫の症状も軽くなる。しかし数は減っても、爪の硬いケラチンの下で白癬菌は生き延びる。はだしになる機会が増える夏前に、治療を開始するのも一案だ。

●家族全員が治し切る

感染を防ぐには、家族全員が治し切ることが重要だ。爪白癬と診断されたら、家族も一緒に水虫検査を受けておきたい。

●マットや靴下は清潔に

日常生活では次のことを実践しよう。

【感染予防のため実践したいこと】
白癬菌が付着しやすい浴室の足マットやスリッパは定期的に掃除機をかけ、日干しして乾燥させる。
お風呂に毎日入る。菌が皮膚に付着しても、48時間以内に洗い流せば感染を予防できるため。お酒を飲んで酔い潰れ、そのまま風呂に入らず寝てしまうのは避けよう。
靴下は、裏返しにして洗濯する。白癬菌を排除しやすい。右左は履き分けるのが理想。
靴は、1週間に3足以上を履き分ける。1日履き続けた靴の中の湿度は100%に達する。これを完全に乾かし切るには、陰干しで2日以上かかるためだ。

(ライター 及川夕子)

福田知雄さん
埼玉医科大学総合医療センター皮膚科診療部長/教授。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学皮膚科助手、杏林大学医学部皮膚科講師、東京医療センター皮膚科医長などを経て2016年より現職。専門は、真菌症、皮膚腫瘍。日本皮膚科学会認定専門医、日本医真菌学会理事。「日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン」改訂委員。

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_