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スパークリングからデザート酒まで4タイプで構成する「NAGAI STYLE」

「ワインのような価値観で日本酒を世界に売りたい」と感じるようになった永井氏に、世界の門戸を開けさせたのは、同様の考えを持つ香港人パートナー(輸入・卸売業者)だった。大手金融機関の香港市場を立ち上げた経験があり、日本市場にフランスワインを売り込もうと来日していたのだ。

永井氏は「彼は日本酒に対しても高級ワインのような価値観を持っていました。和食に合わせて日本酒もついでに売って、ひともうけしようという人が海外には多いけど、彼は違いました」と語る。哲学やビジョンが共有できるかが、永井氏にとってとても大事なことなのだ。

そうして香港に進出。その翌年には、香港人パートナーにカナダのパートナーを紹介してもらうことで無事にカナダ進出も果たした。さらに「米国にも単独で進出して現地法人を作ろうと思ったけれど、まだ市場ができ上がってなかった。早すぎました」と永井氏。米国への輸出は約1年で撤退したが、05年に現在の米国人パートナーと出会うことで再度進出。現在は中南米やアフリカ大陸以外、世界各国に輸出している。

「KURA MASTER」の審査委員長など、フランスからワイン界の有名人が永井酒造を訪問している

海外進出を進める中で、永井氏の転機となったのが13年だ。永井酒造の代表に就任した年でもある。

永井氏は20代前半、両親を亡くし借金して蔵を建てた。それから兄と二人三脚で働き続けたが13年に、それまでの「まずは売り上げ」という経営方針を、「ブランド重視」に思い切って切り替えたのだ。

従来は輸出用のプライベートブランド(PB)商品も含め、様々な日本酒を輸出していたが、PB商品の生産を一切ストップ。海外には「水芭蕉」ブランドしか輸出しないことに決めた。14年には念願の「NAGAI STYLE」を登場させた。一時的に大きく売り上げは落ち込んだが、その後はV字回復して夢のひとつが実現したという。

「NAGAI STYLE」のため、まずは長い年月を要する熟成酒造りに取り組んだ。約20年前から 毎年少しずつ仕込んで低温で熟成させている。同社の熟成酒全体の5%くらいしか世に出回っていないが、ワインやウイスキーのように時を刻むことで価値を高めて、今後も販売していく予定だ。

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