視線は高く 仕事のスキルは人格の後からついてくる大和証券グループ本社 社長 中田誠司氏(下)

大和証券グループ本社の中田誠司社長
大和証券グループ本社の中田誠司社長

「モーレツ営業」「男性社会」のイメージが強かった証券業界にあって、大和証券グループ本社は働き方改革や女性の管理職起用にいち早く取り組んできた。就任から3年を迎える中田誠司社長は若手の頃から、「仕事の生産性」にこだわってきたという。金融サービスにIT(情報技術)の手法を組み合わせる「フィンテック」の台頭や個人投資家の高齢化など、証券業界が大きな変革期を迎えるなか、リーダーとしてどう向き合うかを聞いた。

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――リーダーとして優先すべきことは何だと考えますか。

「企業の資金調達などを支援する法人部門で、後に副社長を務めた前哲夫さん(元日本証券業協会会長)に長く仕えました。そのとき、『オール大和の視点を持て』とよく言われました。人はどうしても自分を起点に物事を考えがちです。まずは自分、その後に所属する部署、その後に会社、という具合です」

「ただ、法人部門は大和証券を代表し、社内の様々な部署をまとめて顧客企業と向き合います。だから、まず会社全体にとって何が正しいのかを考えながら仕事をしよう、と言われました。それが結果的に仕事で成果を結び、自分自身のためにもなりました。経営を担う立場になってからは『オール大和にとって何が正しいか』から、より視点を高くして『社会のためになっているのか』と考えるようにしています。それが結果的に会社のためになるからです」

物事から逃げない

――若手の頃はどのような社員でしたか。

「20歳代の頃から、上司に言いたいことを言っていました。実は父親が小さな会社を経営しており、4人きょうだいで男は私1人でしたから、子供のころからなんとなく、自分が後を継ぐのかなと思っていました。それが理由なのかは分かりませんが、言いたいことは言ってしまう性分でした。結局、父親の後を継ぐことはなく、私が40歳くらいのときに会社をたたみました。大和証券に残ると決めてからも上司との接し方は変わりませんでした。結果的に、物事から逃げない姿勢が身についていました」

「社内の人事にはあまり関心はありませんでした。入社して5年間は支店勤務で、その後は10年超も法人部門にいましたから、春が近づくと異動が気になるという、一般的なビジネスパーソンの感覚がまひしていました。それよりも、来年度は担当企業にこれを提案しようとか、そんなことばかりを考えていました。社内で誰が昇格し、誰が異動するといった話題には一応参加していましたが、つまらないなあと思っていました」

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