逃げない・決める・責任とる トップの覚悟、常に自問大和証券グループ本社 社長 中田誠司氏(上)

大和証券グループ本社の中田誠司社長
大和証券グループ本社の中田誠司社長

大和証券グループ本社の中田誠司社長は企業の資金調達などをアドバイスする法人部門の経験が長い。2009年、大和証券は三井住友フィナンシャルグループ(FG)と法人業務に関する提携を解消。前年のリーマン・ショックの爪痕が残るなか、メガバンクの系列に入っていない「独立系」としての不安な再出発に立ち会った経験が、今に生きていると振り返る。

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――リーダーとして意識していることは何ですか。

「逃げない、決める、責任をとる。リーダーの条件はこの3つのルールを守ることだと、社内の会議などでよく話しています。どれも当たり前のことですが、毎日きちんと実践できているか振り返ることが大事です。私は主に夜、布団に入ったときに自問自答しています。『なんであんなこと言ってしまったのだろう』と悔やみ、なかなか寝付けなくなることもあります」

「3つのルールの中でも、部下は上司が逃げることについて特に敏感です。何かから逃げる気持ちがあるだけでも、信頼を失いかねません。顧客に寄り添えているか、部下に向き合えているか、上司に遠慮していないか、私自身も常に自分に問いかけるようにしています」

――リーダーシップを磨いた経験は何でしょうか。

「三井住友FGとの提携解消は、大和にとっても私自身にとっても大きな出来事でした。両社は1999年から法人部門を担う合弁会社、大和証券SMBCを運営していました。2008年のリーマン危機後、三井住友が米シティグループから日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)を買収したため、09年末に大和と三井住友は提携関係を解消しました。このとき私は大和証券側の交渉役を務めていました」

不安を抱えた新たな船出

「翌10年の春、私は再び独立したばかりの法人部門のトップに就任しました。法人部門には若い頃、10年超も在籍していたので、古巣に戻る形になります。もともと別々の会社でしたから、私自身は提携解消後もうまくやっていく自信はありました。ただ当時、リーマン危機の後で不景気でしたし、世間では『大和証券が単独ではやっていけるわけがない』といったネガティブな意見ばかりでした。法人部門の社員は新たな船出に相当不安を感じていました」

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