2019年9月10日に発売されたスマートウオッチ「Apple Watch Series 5」(アップル)の最大の売りはディスプレーの「常時表示」だ。実はこれまでのシリーズはバッテリーの消費を抑えるため、手首を上げたときにディスプレーが点灯し、時刻などの情報を確認できる仕組みだった。初代機の登場から4年以上が経過し、Apple Watchは手首を動かさなくても時刻を確認できる「腕時計」にようやくなったといえる。
人気シリーズが常時表示に対応し、いよいよ実用的になってきたスマートウオッチ。心拍センサーの搭載はもはやスタンダードとなり、ランニングやサイクリングといったアクティビティーでの運動負荷などを測定するだけでなく、睡眠の質まで測れるモデルも増えてきた。そこで家電量販店などで扱われている心拍センサー搭載モデル6機種の使い勝手を比べた。
スマートウオッチの総合的な機能を比較したところ、最も使いやすかったのが「Galaxy Watch Active 2」(サムスン電子)だ。屋外でも見やすい有機ELディスプレーを採用し、常時表示に対応。いつでも時刻を確認できる。豊富なウオッチフェースを用意しているため、スマホの壁紙のようにデザインや表示する情報を気分やシーンに合わせて様々にカスタマイズできるのも魅力だ。
スマートウオッチとして数十種類の運動のログを記録できることはもちろん、サードパーティーを含む豊富な専用アプリも用意しているため、非常に多くの機能を使えることが強みといえる。
Apple WatchもGalaxyと並んで使い勝手に優れているが、大きな違いが睡眠計測機能の有無だ。Galaxyは各種データから睡眠の質を測定できるが、現状でApple Watchには標準でそうした機能は無い。睡眠を測定するにはサードパーティー製のアプリを探す必要がある。
ただ、Suicaやクレジットカードでの支払いができる決済機能「Apple Pay」はApple Watchの大きな強み。ランニング中など「財布もスマホも持たずに買い物をしたい」というニーズには向いている。
多機能なGalaxyとApple Watchだが弱点もある。利用頻度にもよるが、バッテリー駆動時間が短いため、両者とも1~2日置きの充電が必要になるのだ。
駆動時間を優先するのなら、「Garmin Venu」(ガーミンジャパン)が候補になる。バッテリー駆動時間は最大5日間と長めで、電池切れの心配は少ない。睡眠計測機能を搭載し、簡易表示にはなるが、ディスプレーの常時表示にも対応している。また、使える場所やカードが限られるためApple WatchのApple Payには及ばないが、「Visaタッチ決済」に対応する「Garmin Pay」もユニークだ。
[日経トレンディ2020年4月号の記事を再構成]