図Cは現金2億円をかけ、土地を買ってアパートを建てて賃貸するケース。例えば土地は入居者がいるせいで利用が制限されるとの理由から評価額が一定比率下がる。建物部分も計算上、評価額は下がりやすい。この例では土地・建物の合計評価額は最終的に約7000万円に下がる。

将来の相続税負担を減らそうと、高額の借り入れをしてまで賃貸住宅を建てる富裕高齢者は少なくなかった。不動産会社と組む金融機関は「条件の良い案件に低利で融資してきた」(ランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士)。

ところが最近、税務署が税務調査で評価減を否認する例が目立ってきた。中には路線価すら認めず購入価格で課税し直す例もある。

特に厳しくみるのが「駆け込み節税」。80代、90代の高齢者が賃貸経営の話を持ちかけられて着手していたような場合だ。直後に相続がおきて「節税以外に理由が見いだせないと税務署は否認しやすい」(酒井克彦中央大学教授)。

当局は賃貸経営に伴う不動産所得にも厳しく対応している。不動産所得は家賃収入から必要経費を差し引いて計算し、経費が大きいと所得税・住民税は減る。対策として自分や家族を役員として不動産管理会社を設立し、そこに物件を移して経理処理する例が多い。

それ自体は問題ないが、管理会社に払う管理料などを必要以上に高く設定する例が後を絶たなかった。それがここ数年は管理料が一般的な水準より少し高かっただけで税務署が執拗に修正申告を求める例が増えているという。

(後藤直久)

[日本経済新聞朝刊2020年2月29日付]

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