フリーランス、20年から実質減税 会社員との格差是正

企業などに雇用されず、フリーの立場で簡単な原稿を執筆したりする仕事を請け負う人が増えている
企業などに雇用されず、フリーの立場で簡単な原稿を執筆したりする仕事を請け負う人が増えている

フリーランスで働く主婦らにとって、所得税や住民税などの負担が生じる基準、いわゆる「年収の壁」が2020年から変わった。働き方などにかかわらず一律に適用される「基礎控除」が引き上げられた一方、会社員やパートでは必要経費とみなされる「給与所得控除」が縮小した。フリーは実質的に減税となる。

基礎控除、10万円上げの48万円に

企業などに雇用されず、フリーの立場で簡単な原稿を執筆したり、デザインを作成したりする仕事を請け負う人が増えている流れを受けた措置で、同じような年収を得ても、会社員に比べて税制面で不利となりかねないフリーの待遇が是正されつつある。

変更は20年に働いた分からで、税の負担感が変わるのは21年以降だ。確定申告も現在受け付けている19年分ではなく、20年分から新しい「壁」に基づく申告になる。新たな「壁」をみると、なおフリーのほうが少額から税負担が生じるように見えるが、パートとの差は縮まった。(表)

所得税では高所得者を除き、基礎控除が10万円上がって48万円となった。同様に住民税の負担が生じる所得も45万円に上がった。また、例えば妻がフリーランスの場合、夫の配偶者特別控除の縮小が始まる妻の所得も、従来の85万円から95万円に引き上げられた。

パートなど雇用されて給料をもらう人は基礎控除と同時に給与所得控除が10万円下がって相殺されるので「壁」は変わらない。一方、フリーの人は基礎控除の引き上げなどで基準が変わる分、実質減税となる。

青色申告特別控除、電子申告が有利

フリーの仕事が事業所得と認められ、一定要件を満たせば最大65万円の「青色申告特別控除」を使えるが、この点でも変更がある。20年分から控除額が紙の申告では55万円に減り、電子申告などの場合に限って65万円となる。フリーで働く人は電子申告などを早期に準備しておくほうが将来の税負担を抑えやすい。

フリーで働く場合の金額の基準は収入から経費を差し引いた利益。経費の考え方の基本も押さえておきたい。Credo税理士法人(東京・港)の吉野一也税理士は「そのコストをかけることが直接的に売り上げへ結びつくかが経費かどうかのポイント」と話す。

自宅が職場を兼ねるとき、家賃や通信費などの少なくとも一部は経費になるのが通常だ。家賃なら部屋の中で仕事のスペースが占める割合、通信費は1日でどれくらい業務利用するかの時間の割合などを考え、経費に計上する率を決める。

確定申告で税還付も

所得税では経費差し引き後の金額が48万円以下でも確定申告をしたほうが有利なこともある。インターネット経由のフリーの仕事内容として多い「原稿執筆やデザイン作成は源泉徴収の対象となり得る」(吉野税理士)からだ。この場合は確定申告すると、あらかじめ納めた税が還付される可能性がある。

(堀大介)

[日本経済新聞朝刊2020年2月29日付]

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