アート思考、五感を使い自分起点のアイデアをアート×ビジネスで世の中をもっと面白く(4) uni’que代表 若宮和男

uni'que代表 若宮和男氏
uni'que代表 若宮和男氏

次代を担う「旗手」は何を感じ、何を考えているのか――。日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」から、「キーオピニオンリーダー」が執筆したビジネスパーソンにも役立つ記事を紹介します。IT関連ベンチャー、uni’que(ユニック、東京・渋谷)代表の若宮和男さんによる「アート×ビジネスで世の中をもっと面白く」、第4回は、「身体」とコアバリューについて語ってもらいます。

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「アートシンキング(アート思考)」にはキーワードとなる要素がいくつかありますが、その中でも重要なものの一つが「身体性」です。先日、いま私がもっとも注目する声のアーティスト、山崎阿弥さんにパフォーマンスをお願いし、一緒にトークセッション を行いました。山崎さんによる参加者とのワークショップでは、目をつぶり、音に集中することで聴覚を拡張させ、自分自身に起きる変化を、皆さんに体感してもらいました。

ビジネスの現場は「身体性」が少ない

ビジネスの現場には五感を使った「体感」が圧倒的に足りていません。例えば、オフィスにはほとんど音がありませんし、においをが出るようなものもNGです。五感を全て使うことなく、多くの人は「目」と「頭」だけを使って仕事をしています。これは、鼻と口を押さえ、耳を塞いで生活しているのと同じようなもので、どうしても情報とロジカル思考に偏りがちになります。20世紀の近代化と効率化の中で、論理(頭)の偏重と視覚優位が進んできました。

五感のほとんどをふさいで世界のごく一部しか感じずに、新しいビジネスやユニークなアイデアを生み出そうとしても限界があります。

能楽師の安田登さんが、昔と今では「怒り」を表す表現が変化していることに言及されていますが、昔は「腹に据えかねる」「はらわたが煮えくり返る」というように下腹部の内臓あたりにあった感情が、「腹が立つ」となり、「ムカつく(胸)」「頭にくる(頭)」のように心の位置が上がり、さらに「キレる」となると頭すら飛び越えてしまいました。

頭や視覚は「分かりやすい」ものですが、それ以外の感覚や体感は理屈ではなかなか説明できません。アート思考は論理や記号だけではなく、身体の深いところから「自分」に向き合います。思考を変え、発想を変えるためには「身体」を動かすことも重要なのですが、これは実践しなければ実感できません。

パフォーマンスをする声のアーティスト、山崎阿弥さん(2020年2月、東京・渋谷)
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