リスク抑え大損防ぐ 投資のキホン、クイズでチェック
令和のお金ドリル(5)投資・資産運用で増やす編
お金の正しい知識をクイズ形式で身につける「令和のお金ドリル」。第5回は投資・資産運用で増やす編。
社債の金利は業績などにどう関係する? 日本株の投資信託を始めた後に起きてほしくない展開は? 世界中の分散投資でコストが低いものは何?
投資・資産運用のキホンをしっかり押さえておこう。
【投資・資産運用で増やす】知識なしで始めたら大損も!「リスク」の基本を身に付ける
A. B社は業績が良い
B. B社は業績が悪い
C. B社は海外の企業
D. B社は東証1部上場
A. 激しく上下を繰り返す不安定な相場
B. ほとんど上昇も下落もしない相場
C. 大きく急落し、回復の気配がない相場
D. 大幅に上昇を続ける好調な相場
A. バランス型投信
B. ファンドラップ
C. ロボアドバイザー
D. 外貨建て変額保険
【ヒント】リスクとリターンは表裏一体!
「ローリスクハイリターン」の投資はあり得ない
投資で重要な原則のひとつが「ハイリスクならハイリターン」「ローリスクならローリターン」というものだ。
例えば個人向け国債は元本保証(ローリスク)だが、その分、金利は非常に低い(ローリターン)。逆に株式投資は株価が大きく下落したり、最悪倒産して紙くずになったりする恐れがあるが(ハイリスク)、数倍以上に値上がりする可能性もある(ハイリターン)。
「ローリスクなのにハイリターン」という投資商品は存在し得ないため、もしあれば詐欺などの可能性を疑おう。
【投資・資産運用で増やす】解説編
Q1 社債の金利は業績などにどう関係する?【正解はBとC】信用力が低い相手の債券、米ドル建て社債は高利回り
国債や社債を買うとは、国や企業にお金を貸すこと。信用力が低い相手ほど、高い利回りでないと貸す人がおらず、債券の利回りは上がる。国は信用力が高く、企業なら、規模が小さく業績が悪いほど信用力が下がる。ただ、米国企業の米ドル建て社債は、信用力が同じ日本の社債より高利回り。米国の利回りの基本となる国債金利が日本より高いためだ。米国の高金利は経済が好調なためだが、国の信用力が低い場合も金利は上がる。
実は株式投資は、株価が値上がりしなくてももうかる。平均的な配当利回りだけ見ても債券より大幅に高いからだ。株には値下がりリスクがある分、利回りが高い側面もあると考えよう。
Q2 日本株の投資信託を始めた後に起きてほしくない展開は?【正解はD】相場が上昇すると、投資金額が少ないと意味がない
株式相場が下がるのが怖くて投資が始められない人は多いが、投信の積み立ての場合、実は開始後の相場下落はむしろラッキー。なぜなら、相場が低迷する時期が長いほど、安値で投信をたくさん買えて、将来的に相場がある程度戻れば大きな利益になるから。逆に積み立てを始めた直後に相場が上昇しても、まだ投資金額が少なく意味がない。なお上昇と下落を激しく繰り返す相場は、積み立て効果が出やすいので望ましい。
Q3 世界中の分散投資でコストが低いものは何?【正解はA】手数料引き下げ競争が激しいバランス型投信
いつ、何が値上がりするのかは予測できないため、多様な国や資産に分散してリスクを抑えつつ、利益を狙うのが長期投資の基本。そんな国際分散投資ができる商品のなかでも圧倒的にコストが低いのが、手数料引き下げ競争が激しいバランス型投信。ファンドラップやロボアドバイザー(投資一任タイプ)が1%程度は取るのに対し、0.2%台の投信もある。運用成果が同じでも、コストの高低でお金の増え方は変わる(下参照)ので重要。
【おまけ問題】Q1 投資の利益が非課税になるお得な制度NISA。この制度でかえって損してしまうシチュエーションって?
A1 正解は…値下がりしたまま非課税期間が終わったとき
一般NISAで最長10年、つみたてNISAで最長20年が過ぎると、株や投信は「時価を買値として」課税口座に移る。その時点で含み損だと買値が下がり、将来の課税額が増えかねない。
【おまけ問題】Q2 将来、日本の金利が上昇したとき私が持っている日本債券投信の運用成績はどうなる?
A2 正解は…日本の金利が上がると日本国債は値下がり
多くの債券の利子額は、満期まで固定。世の中の金利が上がれば、債券の利回りも上がらないと買う人がいなくなるため、既存の債券の元本価格は下がり、債券投信も下落する。
この人に聞きました
ファイナンシャルリサーチ代表。独立系FP会社などを経て2006年から現職。資産運用をテーマに、各種メディアで活躍。マクロな視点を踏まえた上でのアドバイスに定評がある。
(取材・文 臼田正彦=日経WOMAN編集部)
[日経ウーマン 2019年10月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。