初代ロードスター マツダが自らレストア、狙いは何?

厳しい受け入れ基準

現時点でこのレストアサービスの対象車となるのは、初代ロードスターの中でも初期型となる1.6リッター・エンジン搭載車(MT車のみ)に限定される。車両状態にも条件がある。ナンバー付きの車両であることをはじめ、改造車でないことや事故歴がないこと、著しいさびがないことなどの状態が定められており、その上で、実車点検が行われる。

サービス開始時、47台の申し込みがあったが、当時の受け入れ基準をクリアした車両は、1台しかなかったことからも、この条件の厳しさがうかがえるだろう(この基準に関しては、作業体制を整え、現在は、軽微な板金修理を受け付けるなどの改善が図られているという)。

狭き門となる厳しい条件が設けられている最大の理由はコストの問題だ。事故によるフレーム修正跡や大きなさびがある場合、分解してみないと、ダメージによる影響が完全に把握できない場合がある。その費用は、顧客の負担となり、大幅な予算オーバーにつながる。

これが世界に限られた台数しかないような、貴重なクラシックカーなら話は異なるだろう。だが、そもそも初代ロードスターは、国内だけで今なお2万台が現役だというスポーツカー。絶滅の危機にひんしているわけではなく、大金をかけて1台を仕上げていくというニーズ自体も限定的といえる。

そのため、現在のレストアサービスはかなり小規模だ。約2カ月に1台のペースで、年間最大6台を目標に掲げており、しかも1台ずつ状態や要望も異なるため、現在までのレストア完成車は5台にとどまる(現在、6台目が作業中)。自動車メーカー主体で、その程度の規模なのかと思った人もいるだろうが、マツダによるとこれもレストアを低コストかつ事業として継続していくためのビジネスモデルだという。

このレストアサービス事業は、広島にあるマツダの設備を活用し、新規投資をせず、少数の専任スタッフで運営することで収益を出している。ビジネスとして成立させ、長期にわたってサービスが継続できる体制をつくっているのだ。

マツダはそこまでしてなぜレストアサービスをスタートしたのか。

多くの人の手でロードスターを残していく

実はこのサービス、古いクルマをレストアする以外にも大きな役割を持っている。それは補修部品の供給だ。

レストアサービスを行う以上、部品供給体制の整備は必須条件。レストアサービスに用いられる部品は、当然、マツダのパーツセンターから供給されるので、ディーラーや修理工場などを通じて、誰でも入手することが可能となる。レストアサービスでは、これまでに約150点のパーツの復刻も手がけた。つまり、レストアサービスを続けることで、これまでパーツの欠品により修理に苦労していたユーザーたちも救うことができるというわけだ。

レストアサービスを続けることで多くの部品が入手できるようになれば、身近なマツダディーラーやロードスターを得意とする修理工場に修理を依頼することもできる。全てをメーカーで担うのではなく、多くの人が携わることで、初代ロードスターを残していこうという姿勢なのだ。

復刻されたパーツの一部。欠品部品は、交換頻度が少ない部品が中心。そのため、年数がたつと新品の入手が困難となることが多い。今までに約150点が復刻されている
レストアサービスの担当自ら、ユーザー向けイベントに出向き、レストアサービスの内容や復刻パーツのPRや説明を行っている
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