例えば、プレゼンのつかみで人からの助言をうのみにして大失敗した。そんな体験を語って「つかみに関しては自分の正直な感想に基づいて話すようにしよう」と書き留め、「身近な話の『つかみ』を、必ず本論につなげる」というプレゼンの絶対ルールを披露する。この形式で33個の教訓がつづられていく。

「ダメだった自分とできるようになった自分のバランスが絶妙な語り口。そこに引き込まれる」とビジネス書を担当する岡崎史子さんは話す。同書店では一足早く先行発売として入荷したが、訪れたときは2階のビジネス書売り場の平台で周りに比べて一段本の山が低くなっていた。追加注文が追いつかないのだという。

安宅和人氏やホリエモン…有力新刊ひしめく

それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)億を稼ぐ人の考え方中野祐治著(きずな出版)
(2)みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史日経コンピュータほか著(日経BP)
(3)高速会議沖本るり子著(かんき出版)
(4)世界トップエリートのコミュ力の基本ムーギー・キム著(PHP研究所)
(5)Think Smartロルフ・ドベリ著(サンマーク出版)

(三省堂書店有楽町店、2020年2月17~23日)

1位は、年収1億円を超える起業家がお金を生み出し続ける思考と習慣を語った本。前回の「みずほFGのシステム統合 苦闘の19年追う迫真のルポ」で取り上げたノンフィクションが2位に入った。3位は、会議を活用した人材育成と組織改革に取り組むコンサルタントによる、部下を育てる会議のノウハウをまとめた本。今回紹介したコミュニケーション力強化の本が4位だった。前々回の「間違った思い込みを避ける思考法 巧みな語り口で紹介」で取り上げた思考法の翻訳書が5位に入った。

6位以下にも、ヤフーの最高戦略責任者(CSO)で、ロングセラーのビジネス書『イシューからはじめよ』の著者、安宅和人氏が「AI×デジタル時代における日本の再生と人材育成」を論じた『シン・ニホン』(6位)、ホリエモンこと堀江貴文氏のマネー論『99%の人が気づいていないお金の正体』(9位)と有力な新刊がひしめく。「出れば圧倒的な売れ行きになる堀江氏の本も今回はライバルが多い」と岡崎さん。春に向かってビジネス書売り場は活気づいていきそうだ。

(水柿武志)