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サウナで知られるフィンランドの働き方とは?(写真はイメージ)=PIXTA

サウナで知られるフィンランドの働き方とは?(写真はイメージ)=PIXTA

サウナや「ムーミン」のイメージが強い北欧の小国フィンランドは、国民が感じる幸福度の高さでも知られる。国連が発表した世界幸福度ランキングでは2018、19年と2年連続で1位になった。『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ社)を書いた堀内都喜子氏は「フィンランド流の働き方を支えているのは、国民それぞれが健康や精神的豊かさを大切にする意識」とみる。ワーク・ライフ・バランス先進国の働き方を教えてもらった。

日本の働き方を考えるヒント

世界最年少の34歳の女性首相が誕生したことでも分かる通り、性別に関係なく働きやすい環境が整っている。本書の表紙に示された指標は「有休消化100%、1人あたりの国内総生産(GDP)は日本の1.25倍、在宅勤務3割」。日本とのギャップの大きさにため息が出そうなほど、仕事を取り巻く諸条件が異なる。堀内氏は「フィンランドの企業や職場には『あったらいいな』と思えるような仕組みや考えが根付いている。日本人がこれからの働き方やライフスタイルを考えるうえで、ヒントを提供できると思った」と執筆動機を説明する。

タイトルに書かれている「午後4時まで」という平均的な勤務時間は、フィンランド流をイメージするうえで最も分かりやすいだろう。「勤め先によっていくらかの差はあるものの、午前8時に出勤して午後4時15分に退勤するというのが一般的な勤務」と堀内氏は言う。優秀な一部の働き手や特殊な勤務形態を採用している職場に限られてはいない。午後4時の退勤は「ごく当たり前の働き方であり多くのフィンランド人にとっては常識なのです」(堀内氏)。

「サービス残業」はあり得ない

「1週間に40時間までという総労働時間の決まりが厳しく守られている。現在の平均は36時間台」と堀内氏。このルール順守が午後4時退勤を支えているという。仕事が立て込む時期には残業になる日がある。しかし「誰もが自分の超過勤務を把握しているので、長い時間働いた日の前後でしっかり休み、きちんと総労働時間を守っている」(堀内氏)。いわゆる「サービス残業」を許す雰囲気は労使のどちらにもない。

そもそも働き手が自主的な判断で残業すること自体が認められていない。大半の勤め先では、あらかじめ上司に許可を求める必要がある。上司は日ごろから定時までの退勤を促しており、簡単には残業申請が通らない。上司からの残業強制はもってのほかだ。だから「働き手が1日のうちでの手持ち仕事の優先度をきちんと決める意識が自然と根付いている」。終業の時刻が決まっているので「優先順位の高い仕事から片付けて、すべてが終わらなくても、4時になれば引き上げる」(堀内氏)

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