地球の息吹を体感 災害への備えも学べる火山10選

■6位 浅間山(長野、群馬県)490ポイント
重なり合う溶岩流の上を歩く

浅間山の麓に重なり合う無数の溶岩流の上を歩ける景勝地「鬼押出し園」=写真=は「別の惑星に来た感覚になる」(森さん)。浅間火山博物館(4月1日まで閉園)など「小さな子供から大人まで気軽に学べるスポットが充実している」(王さん)。江戸時代の大噴火のときの「土石雪崩に飲み込まれた鎌原集落に関する研究や資料、地元の人の語り継ぎの取り組みは素晴らしい」(島崎さん)

浅間山は信仰の対象でもあり、「多くの災害と復興の歴史が防災教育を充実させてきた」(古宇田さん)。2019年11月に噴火警戒レベルが2から1に下がった。

(1)JR軽井沢駅からバスで約40分(2)https://mtasama.com/

■7位 箱根火山(神奈川、静岡県)460ポイント
ロープウエーから見下ろす絶景

2019年に火山活動が活発になり火口周辺の立ち入りが規制されていたが、10月に噴火警戒レベルが2から1に下がり、運休していたロープウエーからのダイナミックな大涌谷=写真=も楽しめるようになった。「上空から見る立ち上る湯気は圧巻」(王さん)

黒いゆで卵は外国人にも人気だ。国内有数の温泉地であるため、観光業者も観光客の避難計画を策定した。箱根にアクセスする新宿駅などでは「火山活動に関する情報提供をしており、旅の出発時点から準備ができるのが良い」(新堀さん)。

(1)小田急線箱根湯本駅からバスで約35分(2)http://www.hakone-geopark.jp/

■8位 伊豆東部火山群(静岡県)310ポイント
島の成り立ち、親子で学習

伊豆半島は地震や火山活動を生むプレートが交差する地点の上にある。このため「山道にも海岸沿いにも火山と水が生んだ様々な景観を楽しめる」(古宇田さん)。「溶岩流の上に別荘地や公園が作られ、麓の城ケ崎海岸では溶岩の断面が見られる」(千葉さん)など火山と観光が一体化している。

半島の成り立ちを学習できる博物館「ジオリア」(伊豆市)=写真=は「親子で楽しみながら火山を学べる施設」(中川さん)で人気がある。「サポーター制度でジオパークの保護やPRにも力を入れている」(森さん)。

(1)JR伊東駅など(2)https://izugeopark.org/

■9位 磐梯山(福島県)300ポイント
山体崩壊の痕跡 各地に

噴火による岩なだれで山体崩壊を繰り返し、桧原湖がある山の北側の裏磐梯=写真=からは崩れた地形や火山の断面が見られ「火山活動のすさまじさを体感できる」(新堀さん)。「森林のあちこちに巨岩が埋もれている」(中川さん)。同時に「山体崩壊が生んだ五色沼は観光資源になり、自然の脅威と恵みが表裏一体であることを教えてくれる」(永野さん)。

磐梯山噴火記念館では「世界と日本の火山を学べ、世界で初めて作られた地震計の模型も興味深い」(甘中さん)

(1)JR猪苗代駅からバスで約35分(2)https://www.bandaisan-geo.com/

■10位 薩摩硫黄島・鬼界(きかい)カルデラ(鹿児島県)200ポイント
破局噴火の脅威を知る

薩摩半島から約50キロメートル南の海底に東西23キロメートル、南北16キロメートルの鬼界カルデラがある。約7300年前に国内最大規模の超巨大噴火(破局噴火)があり、「南九州の縄文文化を壊滅させたといわれる」(古宇田さん)。その後、超巨大火山の外輪山の縁が海上に姿を現したのが薩摩硫黄島だ。「地形や地層から日本列島が経験した破局噴火を想像できる。破局噴火は知っておかなければならない災害」(目代さん)

人口は114人。19年11月の小規模噴火で火口周辺への立ち入りが規制されているが、旅行は問題ない。

(1)鹿児島港から船で約4時間(2)https://geomishima.jp/

火山と生きる日本

噴火の記録がある火山を「活火山」と呼ぶ。日本は、面積が世界の0.25%しかないにもかかわらず、世界の約7%の活火山があり、マグニチュード6以上の地震の約2割が起きている。気象庁は噴火警戒レベルを1~5に分けている。3位の桜島が警戒レベル3(火口から約2キロメートルの入山規制)で、4位の阿蘇山と10位の薩摩硫黄島が同2(火口から約1キロメートルの火口周辺規制)。それ以外は同1(活火山であることに留意)で、火口も望める。リスクを正しく把握したい。

火山は地元で暮らす人にとっては信仰の対象でもある。伊豆大島では三原山を「御神火様」と親しみを込めて呼ぶ。火山は災いをもたらす畏怖の対象だが、同時に大地を肥沃にし、溶岩が漁場を育み、壮大な景観や温泉が人々を魅了する恵の源でもある。火山がある町では、自然と共生する知恵が日々刻まれている。

■ランキングの見方 火山の名前(所在地)。数字は専門家の評価を点数化。(1)アクセス(2)情報サイト。写真は1、2位三浦秀行、3位大久保潤撮影。4~7、10位は各ジオパーク事務局、8位はユネスコ、9位は磐梯山噴火記念館提供。

■調査の方法 全国のジオパーク内にある活火山から23をリスト化。(1)防災を学べる(2)大地の躍動が体感できる(3)観光地の魅力があるという観点で専門家11人に1~10位まで順位付けを依頼し、集計した。(大久保潤)

■今週の専門家 ▽王麗華(いこーよ広報室)▽甘中繁雄(日本防災士会常務理事)▽古宇田亮一(日本情報地質学会会長)▽小林政能(月刊「地図中心」編集長)▽島崎敢(名古屋大学未来社会創造機構特任准教授)▽千葉達朗(日本火山学会副会長)▽中川和之(日本地震学会理事、普及行事・ジオパーク支援担当)▽永野海(弁護士、防災士)▽新堀賢志(火山防災推進機構理事)▽森順子(地理女net代表)▽目代邦康(東北学院大学教養学部准教授)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2020年2月29日付]


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