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地球の息吹を体感 災害への備えも学べる火山10選

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NIKKEI STYLE

111の活火山がある火山大国、日本。大地の躍動を体感しつつ、噴火や地震のリスクも知っておきたい。「大地の公園」ジオパークにある、親子で学べる火山を専門家が選んだ。

1位 有珠山・昭和新山

(北海道)900ポイント
むき出しの岩肌、たなびく噴煙

1944~45年、終戦と軌を一にして昭和新山が有珠山に寄り添うように畑から誕生した。有珠山の頂上からは、むき出しの岩肌から噴煙がたなびく、「生きている」昭和新山を間近に見下ろせる。火山と大地の躍動が体感できるジオパークならではの光景だ。「災害は非日常ではなく、日常の中で起きることを子供も実感できる」(王麗華さん)。麓には昭和新山誕生の経緯を克明に記録した三松正夫記念館がある。「当時の様子が詳しくわかるので必見だ」(目代邦康さん)

太古の噴火で形成された巨大なカルデラ内にできた洞爺湖の温泉街は火山活動のたまもの。一方で被災した団地など「1970年代と2000年の有珠山の噴火の遺構が保存され、20~30年周期の噴火活動と人間や観光との共生を深く学べる」(永野海さん)。防災意識が高く「地域住民が防災学習や教育旅行の案内役として活躍している」(森順子さん)。洞爺湖町の火山科学館=写真=では、被災した車や轟音(ごうおん)の中で椅子が振動する最新型のシアターも体感できる。

00年の噴火では事前避難で人的被害はなかった。噴火を2回経験している杉上繁雄館長は「必ず予兆を教えてくれるウソをつかない優しい山」と有珠山を表現する。「事前の防災教育の周知徹底はもっと評価されるべき」(小林政能さん)との声も。自然との共生への評価が高く、専門家全員が選びうち3人が1位に推した。有珠山ロープウェイはリニューアルのため3月15日まで運休。

(1)JR洞爺駅からバスで約40分(2)https://www.toya-usu-geopark.org/

2位 普賢岳・平成新山

(長崎県)740ポイント
大災害の脅威・教訓 伝える

1991年6月3日。約200年ぶりの普賢岳の噴火で誕生した溶岩ドームが崩壊、火砕流に飲み込まれた消防団員や火山学者、報道関係者ら43人が犠牲になった。普賢岳山頂からはこの時でき、長崎県の最高地点(標高1483メートル)となった平成新山=写真下=の生々しい姿が望める。大災害の脅威と教訓を伝えるのが、島原港近くの雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)=同上。「火砕流の疑似体験はぜひ体験したい」(島崎敢さん)。火山に見立てた体験施設があるこどもジオパークや犠牲になった記者が撮影した最後の映像も見られる。「火山との共生について考えさせられ、防災意識が高まる」(王さん)

土石流で被災した家屋を保存する公園も整備されている。島原半島ジオパーク協議会の森本拓さんは「平成の噴火災害で起きた事実を学ぶとともに、火山で育まれた島原半島の文化や歴史にも関心を持ってほしい」。噴煙を上げる雲仙地獄は、かつてキリシタン殉教者の舞台。「地形と歴史が同時に感じられる」(森さん)。

(1)島原鉄道島原港駅からバスで約40分(2)http://www.unzen-geopark.jp/

3位 桜島・姶良(あいら)カルデラ

(鹿児島県)700ポイント
すぐそばにある都市が教材に

20世紀では国内最大級の1914年の大正噴火で、桜島は大隅半島と地続きになった。噴石を伴う爆発的噴火は2019年は228回と「世界で最も活発に噴火している火山のひとつ」(千葉達朗さん)。大正噴火から100年以上経過し、桜島・錦江湾ジオパーク推進協議会の内野祐紀さんは「大規模噴火への警戒は高まっており、小学校に現状や防災意識を高める副読本を配布している」。桜島のある鹿児島市は「火山防災トップシティ」の取り組みを始めた。「火山と防災の両方を学べる最適な場所」(新堀賢志さん)

「火山と共存する大都市そのものが教材」(島崎さん)で、「世界的にも稀有(けう)な活火山との共生」(甘中繁雄さん)が高く評価された。高台の城山公園からの景観=写真=は「巨大な姶良カルデラ内にできた錦江湾と桜島のつながりが感じられる」(永野さん)。島に約3800人が暮らし、鹿児島港を結ぶフェリーは24時間運航。

(1)鹿児島港から船で20分(2)http://www.sakurajima-kinkowan-geo.jp/

4位 阿蘇山

(熊本県)620ポイント
火口ライブ中継は迫力満点

東西18キロメートル、南北25キロメートルの世界最大級のカルデラ噴火がもたらした大地のすごみを堪能できる。「カルデラ内で農業や多様な文化を育む人々の暮らしが成立しているのがユニーク」(目代さん)。16年熊本地震でも「山麓の南阿蘇村の地下水は枯れることなく災害時の住民の生活を支えた」(小林さん)。その噴火は「古代中国の史書に記載があり歴史的にも意義深い」(古宇田亮一さん)。

火山博物館で見られる火口カメラは「世界で最も迫力のある火口の生中継映像」(千葉さん)。火山ガスが多い時は周辺散策を規制する仕組みも整っている。

(1)JR阿蘇駅からバスで約30分(2)http://www.aso-geopark.jp/

5位 三原山

(東京都)530ポイント
必見のバウムクーヘン状地層

1986年の噴火では最大の集落、元町に溶岩が迫り1万人を超す島民が全員避難した。噴火の教訓を生かし、「充実したガイドに支えられたジオツアーは、伊豆大島の名物」(小林さん)。火口は直径300メートル。「ダイナミックな火山活動を間近で見て学べる」(甘中さん)

東側一帯に広がる「裏砂漠」は日本で唯一「砂漠」と地図に記された場所。「地球じゃないという言葉が出るほど荒々しい景色」(中川和之さん)。「世界的にも有名なバウムクーヘン状の地層や溶岩流の跡など地球を学べる」(永野さん)

(1)東京・竹芝港から高速船で1時間45分(2)http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

6位 浅間山

(長野、群馬県)490ポイント
重なり合う溶岩流の上を歩く

浅間山の麓に重なり合う無数の溶岩流の上を歩ける景勝地「鬼押出し園」=写真=は「別の惑星に来た感覚になる」(森さん)。浅間火山博物館(4月1日まで閉園)など「小さな子供から大人まで気軽に学べるスポットが充実している」(王さん)。江戸時代の大噴火のときの「土石雪崩に飲み込まれた鎌原集落に関する研究や資料、地元の人の語り継ぎの取り組みは素晴らしい」(島崎さん)

浅間山は信仰の対象でもあり、「多くの災害と復興の歴史が防災教育を充実させてきた」(古宇田さん)。2019年11月に噴火警戒レベルが2から1に下がった。

(1)JR軽井沢駅からバスで約40分(2)https://mtasama.com/

7位 箱根火山

(神奈川、静岡県)460ポイント
ロープウエーから見下ろす絶景

2019年に火山活動が活発になり火口周辺の立ち入りが規制されていたが、10月に噴火警戒レベルが2から1に下がり、運休していたロープウエーからのダイナミックな大涌谷=写真=も楽しめるようになった。「上空から見る立ち上る湯気は圧巻」(王さん)

黒いゆで卵は外国人にも人気だ。国内有数の温泉地であるため、観光業者も観光客の避難計画を策定した。箱根にアクセスする新宿駅などでは「火山活動に関する情報提供をしており、旅の出発時点から準備ができるのが良い」(新堀さん)。

(1)小田急線箱根湯本駅からバスで約35分(2)http://www.hakone-geopark.jp/

8位 伊豆東部火山群

(静岡県)310ポイント
島の成り立ち、親子で学習

伊豆半島は地震や火山活動を生むプレートが交差する地点の上にある。このため「山道にも海岸沿いにも火山と水が生んだ様々な景観を楽しめる」(古宇田さん)。「溶岩流の上に別荘地や公園が作られ、麓の城ケ崎海岸では溶岩の断面が見られる」(千葉さん)など火山と観光が一体化している。

半島の成り立ちを学習できる博物館「ジオリア」(伊豆市)=写真=は「親子で楽しみながら火山を学べる施設」(中川さん)で人気がある。「サポーター制度でジオパークの保護やPRにも力を入れている」(森さん)。

(1)JR伊東駅など(2)https://izugeopark.org/

9位 磐梯山

(福島県)300ポイント
山体崩壊の痕跡 各地に

噴火による岩なだれで山体崩壊を繰り返し、桧原湖がある山の北側の裏磐梯=写真=からは崩れた地形や火山の断面が見られ「火山活動のすさまじさを体感できる」(新堀さん)。「森林のあちこちに巨岩が埋もれている」(中川さん)。同時に「山体崩壊が生んだ五色沼は観光資源になり、自然の脅威と恵みが表裏一体であることを教えてくれる」(永野さん)。

磐梯山噴火記念館では「世界と日本の火山を学べ、世界で初めて作られた地震計の模型も興味深い」(甘中さん)

(1)JR猪苗代駅からバスで約35分(2)https://www.bandaisan-geo.com/

10位 薩摩硫黄島・鬼界(きかい)カルデラ

(鹿児島県)200ポイント
破局噴火の脅威を知る

薩摩半島から約50キロメートル南の海底に東西23キロメートル、南北16キロメートルの鬼界カルデラがある。約7300年前に国内最大規模の超巨大噴火(破局噴火)があり、「南九州の縄文文化を壊滅させたといわれる」(古宇田さん)。その後、超巨大火山の外輪山の縁が海上に姿を現したのが薩摩硫黄島だ。「地形や地層から日本列島が経験した破局噴火を想像できる。破局噴火は知っておかなければならない災害」(目代さん)

人口は114人。19年11月の小規模噴火で火口周辺への立ち入りが規制されているが、旅行は問題ない。

(1)鹿児島港から船で約4時間(2)https://geomishima.jp/

火山と生きる日本

噴火の記録がある火山を「活火山」と呼ぶ。日本は、面積が世界の0.25%しかないにもかかわらず、世界の約7%の活火山があり、マグニチュード6以上の地震の約2割が起きている。気象庁は噴火警戒レベルを1~5に分けている。3位の桜島が警戒レベル3(火口から約2キロメートルの入山規制)で、4位の阿蘇山と10位の薩摩硫黄島が同2(火口から約1キロメートルの火口周辺規制)。それ以外は同1(活火山であることに留意)で、火口も望める。リスクを正しく把握したい。

火山は地元で暮らす人にとっては信仰の対象でもある。伊豆大島では三原山を「御神火様」と親しみを込めて呼ぶ。火山は災いをもたらす畏怖の対象だが、同時に大地を肥沃にし、溶岩が漁場を育み、壮大な景観や温泉が人々を魅了する恵の源でもある。火山がある町では、自然と共生する知恵が日々刻まれている。

ランキングの見方

 火山の名前(所在地)。数字は専門家の評価を点数化。(1)アクセス(2)情報サイト。写真は1、2位三浦秀行、3位大久保潤撮影。4~7、10位は各ジオパーク事務局、8位はユネスコ、9位は磐梯山噴火記念館提供。

調査の方法

 全国のジオパーク内にある活火山から23をリスト化。(1)防災を学べる(2)大地の躍動が体感できる(3)観光地の魅力があるという観点で専門家11人に1~10位まで順位付けを依頼し、集計した。(大久保潤)

今週の専門家

 ▽王麗華(いこーよ広報室)▽甘中繁雄(日本防災士会常務理事)▽古宇田亮一(日本情報地質学会会長)▽小林政能(月刊「地図中心」編集長)▽島崎敢(名古屋大学未来社会創造機構特任准教授)▽千葉達朗(日本火山学会副会長)▽中川和之(日本地震学会理事、普及行事・ジオパーク支援担当)▽永野海(弁護士、防災士)▽新堀賢志(火山防災推進機構理事)▽森順子(地理女net代表)▽目代邦康(東北学院大学教養学部准教授)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2020年2月29日付]

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