東京高裁は2月26日、選択的夫婦別姓を巡り国を相手に訴訟を起こしている青野慶久・サイボウズ社長の控訴を棄却し、「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」と結論づけた。青野社長は「最高裁に行く」と語った。家族のあり方が多様化する中、同様の提訴が各地で相次ぐ。

国は戸籍名による登録を定めている国家資格で、別姓併記を進めている。医師や薬剤師は法令の改正によって、免許証に旧姓併記が可能になった。

運転免許証など旧姓併記ができる公的書類も増えてきた。ただ、青野社長の原告代理人を務める作花知志弁護士は「通称使用される旧姓には法的根拠がない」と指摘、法的な欠陥があると訴える。

新たな動きも出てきた。市民グループ「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」は選択的夫婦別姓の法制化を求め、地方議会を通じて国会に陳情する活動を進める。東京都中野区を皮切りに、三重県や大阪府などの地方議会から37件の意見書を国に送っている。メンバーは全国で170人を超えた。

同グループは2月、各地での勉強会の開催など活動を支援するために、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを立ち上げた。4月17日までに500万円を集めるのが目標だが、開始2週間で430人を超える人から350万円超が寄せられた。井田奈穂事務局長は「声の持っていく場がなかった人が、それだけいたということ」と話している。

使い分けの不便など背景 ~取材を終えて~

国会のやじでも注目を集めた「選択的夫婦別姓」。働く女性から寄せられた回答を見ると、大半の男性が経験したことのない多大な労力が、選択的夫婦別姓の支持につながっているのは間違いない。

働く女性が増えるなか、姓が切り替わってキャリアや人脈がリセットされる弊害は計り知れない。旧姓を名乗れる職場は増えたが、「2つの姓を使い分ける不便さ」や「名義を新姓に変更する手続き」などは姓が変わった側のみにかかる負担だ。

ここへきて、導入に必要な法改正を認める与党議員も登場した。一方で“伝統的な家族のあり方”にかかわるとの反対論も根強い。十分な論議を尽くし、女性も男性も納得できるような道筋を示す必要がある。

(伊藤新時)

調査の概要 正社員・正職員(役員を含む)として働く20~50代の女性を対象に、2019年11月から12月にかけて調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代500人ずつ、計2000人から回答を得た。