2020/2/28

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認知症になればひとりでの生活は難しくなる。ものの管理ができなくなり、家の中がいらないものやごみであふれたりする。特殊詐欺の標的にもなりかねない。中でも深刻なのはお金の管理で、買い物や預金の引き出しなどが不自由になる。株式などの金融商品による資産運用や不動産の取引も困難になる。第一生命経済研究所によれば、認知症患者が保有する金融資産は増えており17年度の143兆円が30年度には215兆円になる。

個人でできる対策として有効なのが、成年後見制度の利用だ。自分の代わりに後見人に財産などを管理してもらう。制度は認知症などですでに判断能力を失った人が対象となる「法定後見制度」と、まだ判断能力はあるが将来失ったときに備える「任意後見制度」の2つに分かれる。成年後見制度は公的介護保険と同じ2001年度に始まり、20年近くたつが利用は22万人程度にすぎない。しかも利用者の大半は法定後見。判断能力を失って、どうしようもなくなってから利用している人が多いことの表れだろう。

契約は公正証書に。自由度も高く

「任意後見は将来の認知症に備える『頭の保険』」と司法書士の勝猛一さんは話す。元気なうちに準備しておく、転ばぬ先のつえだ。認知症になったら何を後見人にしてもらいたいか、具体的な中身を公正証書にまとめておく。「ライフプランに基づいた事項を盛り込める」のが特徴で、例えば「長女に毎月10万円の生活費を渡す」「ひとりで生活できなくなったら施設に入る。自宅は売却してほしい」といった内容もOKだ。自由度は比較的高く、資産運用などについても希望を反映できる。

後見人は信頼する人にするが、親族だけでなく、司法書士や弁護士ら専門家に頼むケースもある。契約によって費用は異なるが、「司法書士の場合は、契約時に20万円、後見開始時に15万円、発効後の月々の報酬は3万円程度が目安になる」(勝さん)という。認知症になったら、裁判所に申し立て、それを受けた裁判所は監督人(任意後見監督人)を選任する。監督人は後見人が適切に財産管理をしているか、不正に手続きしていないかをチェックし、定期的に裁判所に報告する。

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法定後見人、家族が手を挙げても…