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アスリートのウォーミングアップ 競技場外でする理由

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

東京オリンピックまであと半年を切った。競技によっては、代表選考も大詰めだ。マラソンの開催場所が札幌へと変更になったように、「アスリート・ファースト」のあり方も積極的に議論されている。多くのオリンピック選手を指導してきたフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんから見て、大きな国際大会で選手をサポートすることの難しさはどこにあるのだろうか。

2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる。国内では、各競技とも代表内定者が決まったり、代表選考が行われたりしている。男女マラソンの残り代表各1名が決定する、「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ」も3月に最終レースの開催を控えており、選手は調整に励んでいるはずだ。試合に向けて重要になってくるのが、トレーナーやコーチの存在だ。そこで、国内だけでなく国際大会にも帯同することのあるフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに、試合当日のフィジカルトレーナーの仕事について語ってもらった。

試合直前にフィジカルトレーナーがやっていること

最近の陸上長距離界は何かと話題が多い。昨年(2019年)12月には、オリンピックのマラソンコースが札幌市内に変更された。そして今年1月、箱根駅伝では、中野さんがフィジカル強化指導を担当する青山学院大学が圧倒的な強さで優勝を飾り、女子のハーフマラソンでは新谷仁美選手が日本記録を樹立した。

そして3月には、いよいよMGCファイナルチャレンジによって、マラソンの男女代表の残り各1名が決定する。

選手たちの今後を左右する重要なレースになるわけだが、このような大きな大会のとき、フィジカルトレーナーはどんな役割を果たすのだろうか。

「出場する選手がけがをしていたり、調子が悪いのであれば、それは"マイナス"の状態です。それを "ゼロ"の状態に近づけるために、テーピングをしたりマッサージをするのは、ケアスタッフのトレーナーです。私たちフィジカルトレーナーもそれはできますが、メインの仕事ではありません。私たちの役割は、"ゼロ"よりもっと上の"プラス"の状態に持っていくことなんです」(中野さん)

このシリーズでも、「箱根駅伝の舞台裏 青学フィジカルトレーナーの戦い」という記事で、フィジカルトレーナーが大会当日に実際に何をやっているのかを解説した。

選手には、ギリギリまでマッサージをしてもらいたいという人もいれば、直前は体に触れられたくない、集中したいので一人にしてほしいという人もいる。そういった要望を事前に聞き、それに沿って、選手がパフォーマンスを発揮するための手助けをするのがフィジカルトレーナーの仕事だ。

選手のフィジカル面の異変を察知する

中野さんによると、いろんな要望がある中、「事前に行うウォーミングアップを見てほしい」という選手はとても多いという。

「陸上に限らず、さまざまな競技で言えることですが、選手たちが試合前に行うアップの際に、明らかにいつもの練習とは違う動きが出ることがあります。例えば、足の位置がいつもより広がっていたり、肩が上がっていなかったり、体をひねり過ぎていたり。ささいなことなので、選手自身は気がつかないんです」(中野さん)

本番前、選手たちには緊張感や高揚感がある。「期待される選手になればなるほど、『勝たなければいけない』というプレッシャーもあるはずです」と中野さんは続ける。特殊な状況になるため、知らず知らずのうちに、自分の体の感覚を冷静にとらえられなくなるのだ。

「選手の頭の中は、『相手の調子はどうだろう?』とか、『試合展開はどうしようか』、『この天気であれば、ウエアはどれを着ようか』、『気持ちを落ち着かせよう』など、考えることがいっぱいで、大忙しです。だから、パフォーマンスダウンにつながる体の動きの変化を、第三者の目で見て気づいてあげることが、フィジカルトレーナーの重要な仕事なのです」(中野さん)

試合を控えて緊張した精神状態の選手が、「体の動きがいつもと違う」と指摘されるだけでは、その問題を修正するのは難しい。そこで中野さんたち、フィジカルトレーナーは、どのような指導をするのだろうか。

「ウォーミングアップの回数や種類を変えたり、うまく働いていない筋肉に刺激を入れるためにストレッチなどをしたりします。こうした微調整によって体の動きが戻り、選手がベストパフォーマンスを発揮できるようになるのです」(中野さん)

必要なスタッフが、試合直前の選手に寄り添えない

近代スポーツは、どの競技でも、一人の選手に対して多くのスタッフが一つのチームとしてサポートしている。そしてスタッフは、必要とされるのであれば、本番がスタートする直前まで競技者に寄り添い、最高の力を出せるようにサポートしたいと思うものだ。

「ところが、大きな国際大会になると、選手と同じエリアに入るための『ID(身分証明書)』が、フィジカルトレーナーには発行されない場合があります。そうなると、会場の中で直前まで選手に寄り添う、ということはできなくなります」(中野さん)

先ほども述べたように、選手によっては競技の直前にトレーナーの助けはいらないという人もいる。だが、できれば直前の調整を見てもらいたいという選手にとって、フィジカルトレーナーにIDが発行されないというのは、困った問題なのだ。

「どうしても調整を見てもらいたい選手は、会場から出てきて、一般の人がいるエリアでアップを行ったりするんです。オリンピックのような大会でも、舞台裏ではこういう状況なんですよ」(中野さん)

十分な数のIDを発行できないのは、セキュリティ面などから考えると仕方がないことだろう。

「2019年9月に開催されたマラソン代表選手を決めるMGCは、オリンピック本番の規定にのっとっていて、私たちトレーナーにはスタート地点や選手控室に入れるようなIDは発行されませんでした。そのため、選手がアップしている様子を柵の外から見ることになりました。中には入れませんでしたが、そうやって選手にアドバイスしていたんです」(中野さん)

しかし、フィジカルトレーナーが選手の近くまで行けない一方で、メディア関係者やスポンサー企業の人は、ゲートを抜けて中に入っていくことができる。

「もちろん、オリンピックなどの大会は、メディアやスポンサーによって成り立っています。当日は、メディアやスポンサーの方も重要な役割を担っていらっしゃるのは分かりますが、フィジカルトレーナーとしては、できるだけ選手には最高のパフォーマンスを発揮してもらいたいという気持ちがあるし、必要としている選手もいるのです」(中野さん)

各選手がそれぞれベストコンディションで臨んでこそ、競技のレベルが上がり、観客たちに感動を与えることになることは間違いない。「アスリート・ファースト」を実現するためには、まだまだ考えなければならない問題がありそうだ。

(ライター 松尾直俊)

中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者、PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。元卓球選手の福原愛さんなど多くのアスリートから支持を得る。日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとして活躍。最新刊は『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)。

[日経Gooday2020年2月19日付記事を再構成]

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