幸子 昨年から利用規約に補償のルールを明記する事業者が増えてきたわ。ただ、決済サービスコンサルティング(東京・千代田)代表の宮居雅宣さんによると「クレカに比べ、まだ各社で補償の条件にはバラつきがある」そうよ。例えば、補償する期間・日数に限りがあるのはクレカと同じだけど、その期間がクレカはカード会社へ連絡した日から約60日前までで各社ほぼ統一されているのに対し、スマホ決済では「損害発生日や損害発生を知った日から何日以内に連絡しないとダメ」など、各社で細かい違いがあるわ。

良男 複雑だなあ。

幸子 スマホ決済の場合、利用額などの情報は使ったらすぐスマホに通知されるのが原則で、クレカのような時間差は生じにくいことが理由だと思うわ。いずれにしても通知は必ず見て、もし身に覚えのない利用情報があったら、すぐ連絡することね。これはクレカの場合にも当てはまる原則。最近はクレカでも月間の明細がまとまる前にインターネットなどで利用状況は確認できるのが普通よ。できれば1~2週間に1度は確認しておきたいわ。

 こまめにチェックしておけばカード会社などへの連絡も遅れないよね。

幸子 連絡について特に注意したいのは、スマホ決済アプリなどにクレカの情報を登録してある場合よ。宮居さんは「こういう状態で不正に遭ったら、念のためスマホ決済会社とカード会社の両方に連絡するほうがいい」と教えてくれたわ。結果的にいずれか一方の補償で解決する例もあるけど、用心に越したことはないから。

良男 補償制度を知って少しは安心したけど、できれば不正被害には遭いたくないな。

幸子 基本的なことだけど、まずクレカや暗証番号は他人の目に触れないようにしっかり管理すること。それ以外に、怪しげなサイトにカード番号を入力しないように十分に気をつけることも大切よ。スマホ決済では、自分以外の人が利用できないようにする「ロック機能」をオンにしておくのも基本ね。

■手口巧妙、細かく明細チェック
ポイ探代表 菊地崇仁さん
キャッシュレス決済では不正利用時の補償の考え方に各サービスで差があります。銀行口座から直接払うデビットカードの場合、補償する金額には上限があるのが普通です。プリペイドカードは紛失時などの利用停止措置の前に拾われて不正利用された分は補償しない方針のものもあります。補償に関係する規約だけは利用前に読んでおきたいところです。
不正の手口は巧妙化しており、完全に防ぐのは難しくなりました。例えば、必ずしも高額な被害とは限らなくなり、ごく少額の不正を何回も繰り返すタイプも現れています。この場合、明細をかなり細かくチェックしないと見逃してしまいます。明細や利用情報を確認できるサイトは定期的に見て、怪しいと思う利用があれば、ためらわずカード会社や決済事業者に連絡しましょう。
(聞き手は堀大介)

[日本経済新聞夕刊2020年2月26日付]

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