重症度は以下の3段階に分類しました。確定例のうち、軽症が81%を占め、重症は14%、重篤は5%でした。
【重症】:呼吸困難、血液中の酸素レベルの低下や、肺の検査画像において肺炎の急速な進行が見られた患者など →14%
【重篤】:肺での呼吸がうまくいかない呼吸不全が発生、感染症による炎症が全身に及び低血圧が持続する敗血性ショックが発生、多臓器不全が発生 →5%
軽症と重症の患者に死亡はみられませんでしたが、重篤だった患者の致命率は非常に高く(49%)、ほぼ2人に1人が死亡していました。
併存疾患がなかった患者の致命率は0.9%で、併存疾患のある患者、特に心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を抱えていた患者の致命率は10.5%と高くなっていました。
新規発症者の数は2月1日にピークを越えたが…
新型コロナウイルス感染症の流行は、たった30日で武漢市のある湖北省から中国全土に広がっていました。患者が湖北省外に初めて見つかったのは2020年1月19日で、2020年2月11日までに、中国国内の31省のすべて(1386県)で患者が報告されました。しかし、患者のほとんど(確定例の86%)は武漢市在住者、または発症前に武漢市を訪問していた人々でした。

縦軸を発症者数、横軸を自己申告された発症日として、7万2314人全員のデータをプロットし、流行曲線を描いたところ、発症者増加のピークは2月1日で、それ以降は1日あたりの発症者が減少していたことが明らかになりました。確定例についても同様に行ったところ、発症者増加のピークは1月23~26日で、それ以降2月11日にかけて低下していました。
研究チームはさらに、医療従事者(医師と看護師だけでなく、あらゆる医療施設の全従業員とした)の感染について、詳しく分析しました。医療従事者の確定例、疑い例、臨床診断例、無症状患者は、422施設に3019人報告され、うち1716人が確定例で、5人が死亡していました。致命率は0.3%でした。また、流行曲線における発症のピークは2月1日でした。
研究者たちは、多くの住民が、春節の長期休暇から戻って日常活動を再開したことから、「中国は国内での流行の再発に注意を払う必要がある」と述べています。
(図版制作:増田真一)

[日経Gooday2020年2月21日付記事を再構成]