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ESも自己分析もいらない? 何みるか採用担当の本音

第2回・企業の採用担当覆面座談会(下)

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NIKKEI STYLE

就職活動の経験者なら思ったことがあるかもしれない。就活って化かし合いだな、と。お互いに目に見えない仮面をかぶった会話に終始し、企業の採用担当者が本当はどう思っていたのか最後までわからなかったなんてことも少なくない。いったい本音はどうなのか。匿名による採用担当者らの「覆面座談会」で、就活生の素朴な疑問について語り合う。

2020年1月末、3人の採用担当者を招いた第2回の覆面座談会。後半のテーマは「エントリーシート(ES)」と自己分析だ。就活生の頭を悩ませる第一関門というべきものだが、出席者からは「通年採用になるとESは不要になるかも」「今の就活でなされている自己分析はいらない」といった意外な声が飛び出した。

【出席者】
Aさん 金融機関の30代男性。営業を経て人事部門に10年在籍。
Bさん 素材メーカーの40代男性。営業などを経て人事部門に13年。
Cさん 食品メーカーの30代女性。研究開発を経て、2年前から採用担当。
司会はU22編集長の安田亜紀代。

――ESにはどんな質問を入れていますか。

Aさん 当社はオーソドックスで、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)、志望動機、興味のある分野などです。何万件とエントリーはあるものの、(金融業界全体の)人気が低下している危機感もあって、回答するのにあまり負担がかからないものにしています。

Bさん 化学メーカーって学生の認知度が低い。だから面接は、当社に入って自分の希望が実現できるというイメージをもってもらえるようにしたいんです。ESは面接でこちらが伝えたい内容を考えるための材料にしたいので、今年は「20年後のありたい姿」など抽象的なことを聞いています。

Cさん ここ3年は質問を毎年変えて、実験しています。学生はESを書くためにそれなりの時間を使っている。ものの考え方や、大切にしていることなどがわかるようなものを考えているつもりです。(上手な切り返しを求める)「大喜利」のような質問も入れていますが、昨年のテーマはひねりすぎてあまりうまくいきませんでした。

――Cさんの会社は志望動機は聞かないんですか。

Cさん とても下世話な例えになりますが、就活って(ネット上で恋人を募集し合う)「出会い系サイト」に登録しているようなものだと思うんです。そこで出会った登録情報しか知らない相手に、いきなり「なんで私がいいの?」と(志望動機を)聞くのはヘンですよね。普通はどんな食べ物が好きかとか、そういう話から始まっていく。

ES、ウェブテスト、学歴でみえるもの

――ESを廃止する会社もあります。「そもそもESは必要か」との議論もありますが、どう思いますか。

Cさん 当社では志望してくれた学生全員に会うことが物理的にできないので、やはり選考の第1段階としてのESが必要になります。ただ今後(多数の学生への対応が一時期に集中しない)通年採用が進んでいくとしたら、いらなくなるのかもしれません。

Bさん 当社のエントリー数だと、面接に進む人数を何か違う形で少し絞り込めば、ESはなくてもいいかもしれません。エントリー数がここ数年は落ちているので見直してもいいかなと思います。

――Aさんの会社では多数のESを効率的に評価するために人工知能(AI)などは使っていますか。

Aさん 試験的に使っています。過去に内定した人のESを学習させて、ESにランク付けをしています。まだテスト段階なので、それで不採用にはしていません。

――エントリーの際に性格や能力をみるウェブテスト(適性検査)を実施されていると思いますが、その結果はどのぐらい重視していますか。

Bさん ウェブテストは社員も受けているので、それが参考になります。当社でうまく能力を発揮できている社員の数値をみて、それに近い学生を優先して、説明会の早い日程を案内しています。

Aさん ウェブテストは参考情報です。面接の際に当社の仕事に堪えうるかちょっと心配だなと感じたときは、テストを参照します。ストレス耐性が低いといった結果が出ていたら、次の段階に進まない判断をすることもありますね。入社後に仕事が合わず心の病気などになってしまったら、本人にとってもよくないですから。

――ESや履歴書には学歴を書きますが、学歴ってどのぐらい関係ありますか。

Aさん 結果的には関係していると思います。大学で学生を絞り込むことはしていませんが、(学力などをみる)テストはしているので、そこでは偏りが出るということです。

Cさん 相関関係はあると思います。自分や社会の「ありたい姿」を話してくれる学生は我々にとっても魅力的なのですが、そういうことを考えさせる教育に取り組む学校は、偏差値レベルも高い傾向があります。起業家や投資家など、すごい先輩に会えたり、将来像をアウトプットしたりする機会に恵まれているということですね。

――学校の名前は見ますか。

Aさん うちは見ます。選考ってその人のプロファイリング(人物像の推理・分析)だなと思っていて。名門高校に通ったのに、いわゆる一流大学に入っていない学生がいるとすると、高校では遊んじゃったのかなとか、大学は自由にやりたいことをやろうと思ったのかなとか、妄想しながら話すことで人柄に近づけることもあるので、重要な情報だとは思っています。

自己分析と志望理由は結びつけなくていい

――座談会の前半(「どんな学生か面接でわかる? 悩める採用担当の本音」)では、採用したい人物の要件を用意することに皆さん否定的でした。企業側が求める人物像があいまいなら、学生がESに懸命に書き込む自己分析はあまり意味がないし、必要ないのでは。

Cさん 自分を理解しようと努める自己分析は必要と思いますけど、ESに書くためだけの自己分析なら、いらないと思います。今の就活でなされているのは、過去の経験の理由づけ作業であることが多い。大きな選択とか挫折を分析するものもありますが、そこに人柄が出るのかどうか疑問です。むしろ仲間で乾杯するときの飲み物に何を頼むかといったささいな日常にその人らしさが出る。後付けの理由を、あたかも真実だと信じ込んでしまう場合が多い。

Aさん 司法試験をめざしている学生は、ESに書くような自己分析はたぶんしない。なんで就活生だけするのかって、僕も正直よくわからない。でも、自分の人間性とかを理解してもらう場に臨むにあたって、考え方を整理するというのはやはり必要なんでしょうね。

――自己分析と志望理由を結びつけるのが難しいと悩む学生が多いようですが、そこは重要ですか。

Aさん 結びつけなくてもいいんです。でも就活生はその作業が好きですよね。少し傲慢な言い方になりますが、僕らなりの視点でどういう人なのかみて、この人ならこんな仕事がいいかなって考えているので、別に説明してもらわなくてもいいって思いますね。その人がPRした点とは違うことを理由に採用するかもしれないので。

Bさん そもそも完璧に自己分析しようと思わなくていい。自分ではわかっていないけど、あなたにはこういう面があるんじゃないのと、こちらから振ることもあります。面接でそういう気付きもフィードバックできたらいいなと思っています。

Cさん 自分のこともわからない、そのことを(自己分析を通じて)わかった方がいい。過去の自分って不思議に満ちている。「なぜかわからないけど、自分はこういうとき、こんな気持ちになる」といった、理由はわからないけど自分の立ち位置はここだと鳥瞰(ちょうかん)する力は、もしかしたら我々が求めている唯一のスキルかもしれない。ビジネスや組織の形態が流動的になっているなかで、自分の立ち位置を確認できる能力は、ますます必要になってくると思います。

面接官も悩める人間(安田編集長)
 就活を受験のようにとらえる傾向を感じることがある。内定するかどうかを「受かる」「落ちる」と表現するだけでなく、「就活偏差値の高い(=内定を得るのが難しい)企業に行きたい」と口にし、そのために留学やボランティア活動で実績を積もうとする学生が少なくない。
 今回の座談会でみえたのは、企業側の興味が実績ではなく人間性そのものにあること。「ガクチカ」は面接の定番テーマだが、そこで企業側が知りたいのは実績というより、そこににじみ出る人柄や課題への向き合い方だ。偏差値のように数字ではかれるものではない。
 だから面接官も採用担当者も、学生と同じように悩んでいる。学力テストの点数で決まる一般入試の合否で、大学側が悩むことはまずないだろう。就活と受験は違うのだ。
 悩める互いの立場を理解し、同僚になるかもしれない人間として尊重し合う。それはすでに社会人のふるまいだ。そのことを心がけさえすれば、面接で過度に緊張したり、実績を並べ立てたりする必要はないと思う。

(取材・構成 安田亜紀代、藤原仁美)

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