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綾小路翔 サングラスとバーカウンターの意外な共通点

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NIKKEI STYLE

学ラン姿にリーゼントヘアで決めてロックを鳴らすバンド、氣志團。近年は大物から気鋭のアーティストまでが出演する人気野外フェス「氣志團万博」を主催することでも知られる。團長の綾小路翔さんは、そのキャッチーなビジュアルや軽妙なトークで幅広い層に親しまれている。氣志團の楽曲をほぼすべて手掛けるほか、バンドのトータルプロデュースも担うアイデアマンだ。そんな彼が、今回選んだモノは自らオーナーを務めるスタンドバー「one night stand(ワンナイト スタンド)」(渋谷区宇田川町)。なぜ店を「モノ」として選んだのか。その理由は、エンターテイナー・綾小路翔からは想像できない意外なものだった。

◇  ◇  ◇

今回、どんな「モノ」を選べばいいか正直すごく悩みました。「氣志團万博」にも出てくださった、布袋寅泰さんやクレイジーケンバンドのケン(横山剣)さんなどの過去記事(「布袋寅泰 眼鏡も音楽も自分らしい未来を追求」「横山剣 『タイガー&ドラゴン』生んだマスタングGT」)も読ませていただきました。みなさん、その人らしい、こだわりのモノを持ってきていますよね。でもね、読めば読むほど、僕はモノへのこだわりがないんだなと、はっきりするばかりで(苦笑)。

迷った末、「お店」にしようと。あ、決してプロモーションではないですよ~!(笑) 単純に僕という人間が、結局は「人」を軸に生きているという話です。僕の趣味は「旅行」と「飲酒」ぐらいなのですが、旅だってお酒だって結局は誰と行くかとか、誰と飲むかが大事なんですよね。にもかかわらず、僕は極度の引っ込み思案で自分から「人」を誘えません。もうそれは、山本晋也監督よろしく、「ほとんどビョーキ」なレベルでして(笑)。そんな僕の強い味方が「お店」なんです。こちらから誘わなくても来てくれますからね。

サウジアラビアから来た客が「KISHIDAN!」

この「one night stand」をオープンしたのは2019年4月。まだ1年もたっていませんが、この店舗自体は2009年からずっと借りていて。飲食店はここで歴代3軒目です。これまでのお店は会員制で、知り合いだけが来てくれるような空間でした。僕を信頼して来てくれた人に、安心して楽しんでもらいたかったんです。でも、もともとはわちゃわちゃした空間が好きだし、いろいろな人と交流もしたい。それで思い切って、誰もがふらりと立ち寄れる立ち飲みスタイルのバーはどうだろうと。

渋谷という場所柄もあってか、諸外国の方もけっこう立ち寄ってくださいます。店名がこれですからね。ちょっとドキマギしながら入って来られる方も多いです(笑)。ある時、日本人のお客さんとサウジアラビアからいらした方が、この店で談笑していたんです。そこにたまたま僕も居合わせたので、日本人のお客さんが「彼はミュージシャンだよ」と紹介してくださって。すると、そのサウジアラビアの方から「君の曲をかけて」とリクエストが。そこでうちのスタッフが「One Night Carnival」の映像を流したんです。そうしたら、「KISHIDAN!」って叫ぶじゃないですか。聞けば、彼が中学生のころによくやっていたゲームで我々の曲が使われていたそうです。うれしかったですね。一度ご帰国なさったんですが、再び来日された時にもまたご来店下さって。こういう人との出会いがあるからお店は面白い。

すべてを掛け合わせて面白くできるのがヤンキー文化

「人」を軸にして生きている、と言いましたけど、僕はこんなナリして、かなりのシャイボーイですから、人と接近すると戸惑ってしまう事もしばしば。そこで重要になるのが「パーソナルエリア」です。お店の場合、パーソナルエリアをつくるのに役立つモノが「バーカウンター」なんですよ。一定の距離が生まれますからね。だから、これまで歴代のお店には必ずバーカウンターがありました。そして、もはや今の店にはカウンターしかない(笑)。

氣志團のトレードマークであるサングラスも、このカウンターと似たようなものかもしれません。これをかけることで、適度な距離が取れるというか、少し緊張がほぐれてうまく話せるんです。

僕が今かけているサングラスは「キャッツアイ」と呼ばれる、いわゆるトイグラスで、古くは僕の大好きなセックス・ピストルズのシド・ヴィシャス、横浜銀蝿のJohnnyさんもかけていました。おもちゃだからすぐにゆがむので、僕は自分専用のものをフルオーダーで作っています。なので、世界中の「キャッツアイ」でもトップクラスの高品質な部類じゃないかな。……って、今気づきましたけど、モノ語りだったらこっちの話のほうがよかったですかね?(笑)

僕にとってこの「キャッツアイ」は、つっぱりとかパンクスピリッツの象徴でもあります。現代社会においてヤンキーはほぼ絶滅危惧種ですが、漫画やドラマの中では脈々と受け継がれていますよね。『クローズ』シリーズや、大ヒットしたテレビドラマ『今日から俺は!!』もしかり。

氣志團の新曲『今日から俺たちは!!』は、ドラマのヒットに完全に乗っかっているみたいに見えるかもしれませんが(笑)、実際改めてあの名作に触れた時に、中学生時代とはまた違った衝撃を受けたんですよね。自分は様々なものから受けたインスパイアを混ぜ合わせて作品を作ることが好きです。トレンドも歴史あるものも、はたまた誰もが忘れ去ったものや、ひいては誰の記憶にすらないものをも掛け合わせて面白くできるのが、ヤンキー文化、そして氣志團という存在だと僕は思っているんです。

未来ではなく「今日一日」をゴールに

ちなみに、漫画『今日から俺は!!』の週刊連載がスタートした1990年は、僕らが中学に入学したころ。漫画を読んで、「高校デビューすると、こんなヤバいことが待ち受けているのか」と衝撃を受け、中学からしっかりやらなきゃと心に決めました(笑)。当時のヤンキー漫画は、神奈川県、特に湘南を舞台に描かれるものが多かったんですが、『今日から俺は!!』は千葉が舞台。自分が知る場所が描かれているのも新鮮でした。

ドラマを楽しく拝見しながら改めてタイトルを見たとき、「今日から俺は」っていい言葉だなと思ったんです。

人って、僕だけじゃなく多くの方が、過去と未来にとらわれていると思うんですよ。氣志團が好きだという人からも「あのころのあの曲が好きだった」とはっきり言われることもあります。一方でテレビやネットを見れば、将来が不安になるニュースばかり。今日しか生きられないのに、いつしか過去と未来にとらわれているなと。

1年ほど前に父が亡くなったんです。具合は悪くしていたけど、「父は大丈夫だ」という勝手な自信というか、確信みたいなものがあったんですよね。絶対に大丈夫と思っていることが、明日はそうじゃなくなるかもしれないと気づかされました。

明日を案じるあまり、ゴールを先に設定すると苦しいことばかりが増える。だから過去と未来と決別し、「今日」という一日をゴールに設定すれば「今日から」頑張ろうと思えるんじゃないかと。

そんな思いから生まれたのが『今日から俺たちは!!』です。氣志團にしては、らしくないエモーショナルな楽曲ですが、20年以上もバンドをやっていれば、そういう曲が1つくらいあってもいいのかなって。

今欲しい「モノ」ですか? そうですね……。軍資金、1000万円かな(笑)。今どうしても作りたい衣装があって、見積もりを取ったらそれぐらいだったので(笑)。これマジで最高なやつなんですよ。昨今はクラウドファンディングなどがはやっていますが、僕は人様から出資していただくのが得意じゃなくて。それに出資を募るときってお金を何に使うか公表しなきゃならないじゃないですか(笑)。それじゃサプライズにならないですからね。みんなをあっと驚かせて、腹の底から笑ってもらったり、心の底から喜んでもらったりするのが生きがいなんです。

これまでずっとバンドも店も、このリーゼントも全部自前、手弁当でやってきました。バンドを始めたときはこんなに長く続くとは思ってもいなかったけれど、今後もこのスタイルで、痛快にくだらないことをやり続けたいですね。

綾小路翔
あやのこうじ・しょう 千葉県出身。1997年、千葉県・木更津にて同級生のメンバーと氣志團を結成。2001年メジャーデビュー。2012年より、地元千葉県・房総の地で音楽フェス「氣志團万博」を開催。ジャンルもキャリアもさまざまなアーティストたちが出演するフェスは毎年5万人を動員し、今年も9月26日(土)、27日(日)に開催が決定している。2月26日リリースのシングル『今日から俺たちは!!』の表題曲は映画『前田建設ファンタジー営業部』主題歌。力強いバンドサウンドとキャッチーなメロディーに乗せ、自分たちらしく前に進んでいく決意を高らかに歌い。そのパワフルな歌声に心励まされる。カップリング曲『梟の歌』はアプリゲーム『ログレス物語(ストーリーズ)』のイメージソング。

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

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