広がるAO受験にも塾費用と地方の壁 これでいいの?「育てる入試」を考える(下)

AO入試では自己PR資料の「ポートフォリオ」などの提出が求められる(写真はイメージ)=PIXTA
AO入試では自己PR資料の「ポートフォリオ」などの提出が求められる(写真はイメージ)=PIXTA
大学入試のAO(アドミッションオフィス)・推薦シフトが進んでいる。大学入学者の半数近くにのぼり、私大に限ればすでに5割を超えている。大学と生徒それぞれのニーズが募集拡大につながり、AO・推薦入試を専門とする塾も登場している。高校生に自己認識や将来ビジョンを問うため「育てる入試」と呼ばれる試験のあり方を考える。

「高2の時、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のゼミ主催のキャンプに参加したのがきっかけで興味を持ち、SFCならAO受験かなと考えるようになりました」。そう話すのは、都内の幼小中高一貫の私立校に通う高校3年の女子生徒。校内では大学側が特定の高校に割り当てた入学枠を利用する「指定校推薦」で進学する生徒が多かったが、最近ではAO受験者もかなり増えてきたという。

書類審査が第一関門

AO・推薦入試で最初に突破しなくてはならないのは書類審査。なぜその大学・学部で学びたいのか、将来は何をしたいのかなどを記した「志望理由書」、いままでの経験や取得した資格などをまとめた「活動報告書」や「ポートフォリオ」、さらに高校での成績などが書かれた「調査書」を提出する。

センター試験に代わって2021年1月に始まる大学入学共通テストでは、英語の民間試験の導入が見送りになったが、AO・推薦入試では実用英語技能検定(英検)やIELTSなど英語の資格試験を、出願条件や判定基準に採用する大学が多い。そうした書類審査をクリアした生徒は、小論文・面接に進む。

入試プロセスの中で多くの受験生が悩むのが志望理由書などをどう書くか。前出の女子生徒は「将来の夢」を書こうにも漠然とし過ぎて何から手をつけていいのかわからず、「自分ひとりで考えるのは無理」と、AO・推薦入試専門塾の無料体験講座に参加した。しかし塾通いは費用が高額になるために諦めた。「親には高校の授業料も払ってもらっているし、AO受験の塾に行くのなら『大学での留学は無理』と言われました」と振り返る。

3人の子どもがいる母で、長女がAOで4校を受験し1校から合格通知を受け取ったという都内の会社員女性も、費用についてはため息をつく。「高2からAO専門塾に通い、春期・夏期講習含めて総額で約300万円かかった。大学に提出する調査書では高校の成績も見られるので、教科の個別指導塾にも年間だいたい50万円。私立高校の学費が約80万円。これだけかかるとなると、下の子ふたりにAO受験させるのは無理かなと思います」

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