上司への質問力が決め手 時短と成果が両立する仕事術『アウトプットがすごい人の時短のキホン』 各務晶久氏

上司とのコミュニケーション不足が残業の増える一因に=PIXTA
上司とのコミュニケーション不足が残業の増える一因に=PIXTA

生産性を巡る議論が熱を帯びている。働き方改革のあおりで、定時での退社を促す傾向も強まってきた。しかし、『アウトプットがすごい人の時短のキホン』(すばる舎)を書いた各務晶久氏は「表面的な勤務時間の短縮は生産性アップにつながりにくい」と「名ばかり改革」の効果を疑う。生産性につながる時短のポイントを教わった。

見せかけの労働時間減らし

「仕事量÷勤務時間=生産性」の割り算だと考える人が少なくない。各務氏は「そもそもこの割り算の立て方がおかしい」と指摘する。間違っている項は「仕事量」だという。「仕事量を割るのではなく、成果を割るべきだ。仕事量をものさしにしてしまうと、だらだらと机に向かって成果が出ない無駄働きを助長しかねない」(各務氏)

企業側が全社員にお触れを出して「一律20%の残業カット」といった数値目標に従わせる対応にも、「持ち帰り残業を増やすだけで、かえって過剰労働を見えづらくしてしまいがち」と否定的な立場だ。「内実を伴わない、見せかけの労働時間減らしは働き手をかえってくたびれさせてしまう」とみる。

働き手の側にも陥りがちな考え方の誤りがあるという。「もっと手を早く動かせばとか、もう少し仕事に慣れてきたらという具合に自分の頑張り不足や習熟度不足を能率が上がらない理由にする人は珍しくない。でも何カ月か先に格段のペースアップが見込めるかといえば、そうではない。単純な習熟度だけで大差は出にくい」と抱え込み体質を危ぶむ。

重要な「引き受ける前」の算段

だが、現実にキビキビこなすハイパフォーマーは存在する。一方では仕事が終わらず、消耗している同僚もいる。違いはどこにあるのか。各務氏は「仕事を引き受ける前の算段が違う」とみている。ポイントになるのは、上司との接し方だ。「あいまいな指示で引き受けてしまうと後になって『頼んだ意図とずれている』と上司から差し戻されてしまい、結果的に無駄手間が増えやすい」と、引き受ける段階での「前さばき」を重視する。

望ましい引き受け方は「ややしつこいぐらいに仕事のイメージを質問して、出来上がりイメージを上司とすり合わせる。そのうえで仕事に取りかかる」という、入り口で手間を惜しまない態度だ。上司から面倒なやつと思われないか心配になりそうだが「後になって期待外れの成果物を提出するほうが評価が下がる。早い段階でのやりとりで食い違いを防ぐのは、上司のためにもなる」(各務氏)

まじめな人柄の部下ほど上司の指示に口を挟むべきではないと思い込みやすい。余計な質問をしないですぐに引き受けるのが、好印象を得るコツだと信じている部下も少なくないようだ。しかし「途中で確認もしないで、自分の思い込みで『完成品』を仕上げてしまうような仕事ぶりは、本人の期待とは反対にあまり評価してもらいにくい」。合意を得ながらチームで進めるという、現代の働き方になじまないからだ。「こまめな報告や軌道修正を嫌う人は、チームで孤立しがちになる」という点でも損をしてしまう。

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