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蜷川実花が持ち歩く「写ルンです」 不自由さが楽しい

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写真家として第一線を走る一方で、映画監督としても活躍。監督したNetflix(ネットフリックス)オリジナルシリーズ『FOLLOWES(フォロワーズ)』の世界配信でも話題の蜷川実花さん。「この1年くらい常に持ち歩いている」カメラは、レンズ付きフィルムの「写ルンです」だという。

写真家として向きあう「写ルンです」

「私はずっと一眼レフで撮っていて、90年代の女の子写真ブームの時も、コンパクトカメラを1回も使ってないんです。それが1年くらい前から、この『写ルンです』を常に持ち歩くようになりました。

1年前というと、『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』と立て続けに映画を撮ったころ。映画って、私が妄想したことを、100人単位の人が集結して創り上げていく。そういう中にいると、真逆のことをやりたくなるんです。『写ルンです』で個人的なクリエーションをすることで、精神的なバランスを取っていたんだなあと、何カ月かたって気付きました。

『写ルンです』の魅力は、まったくコントロールが効かないところ。技術的なことが何も通用しないカメラなので、被写体との距離感や、私の気持ちだけが頼りの、不自由な機械なんですよ。言ってみれば、手足を縛られる拘束みたいなもの。私もデビューして24年ほどたつので、技術でねじ伏せたり、手癖で撮ることができてしまったり。でも、自分の得意技を全部封印した時に、何が撮れるのか。実験して、1年たったという感じです」

週2本ほどのペースで撮っては現像しているという「写ルンです」。何気ない日常の風景や花、役者の素顔などが写っているが、どんなときにシャッターを押したくなるのだろう。

「どういう時に撮りたいか……という意識も持たないようにしている感じですね。今までは、友人や花が写っていたとしても、『撮るぞ!』と思って、シチュエーションをつくって撮っていたんです。だから日常のようで、フィクションとノンフィクションのはざまをずっと撮っていた。でも『写ルンです』に関しては、『撮りたい!』と思ったから撮るのではなく、『……なんか撮る』みたいなことに徹している(笑)。

息をするのと同じように、撮る。そうすると、休憩している役者や撮影の準備をしているスタッフなど、周りは面白いモチーフだらけなんです。彼らのすごく自然な、今まで見たことのない写真がいっぱい出来上がってきていて、これがけっこういいんですよ。

だから『写ルンです』を使って、日常の中にどれだけ『撮る』という行為を入れられるか、試している感じですね。まあ、遊びでも写真を撮っているわけなので、やっぱり写真が好きなんだな、と思うんですけど。

コマーシャルの仕事をするフォトグラファーと、作品を発表していく作家。私の中には写真家として2つの道が存在しています。これはたぶん後者の訓練。いつかは『写ルンです』の写真だけで展覧会をしたり、写真集にしたりしていくんじゃないかなと思います」

現実と地続きのドラマ『FOLLOWERS』

2月27日からNetflixで世界190カ国に配信されるオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』(全9話)。主人公の人気写真家・奈良リミ役に中谷美紀さん、SNSをきっかけに運命が変わる女優の卵・百田なつめ役に池田エライザさんを迎え、東京で生きる女性たちのリアルな心模様を描き出している。

「5~6年前に、『これまでの作品とは違う、軽やかなリアリティーのある物語を撮ってみたい』とプロデューサーと相談して、ショートストーリー(あらすじ)を作りました。それを17年春にNetflixさんに持っていったんです。そうしたらNetflixさんでも『蜷川実花で何かできないか』と考えてくれていたみたいで。普通、映画やドラマを創るときはクランクインまでに二転三転することが多いのですが、今回は本当にスムーズ、スッと決まりましたね。

Netflixさんに持ち込んだのは、動画配信サービスがいいなと思ったことと、世界的に見ても、Netflixさんが一番存在感が大きいし、私も加入していたので身近な存在でした」

通常、日本映画の撮影期間は1~2カ月が普通だが、『FOLLOWERS』は約3カ月半にわたって行われた。

「映画だと、いつものフォトグラファーの仕事を一旦止めてからクランクインするんですけど、今回は長かったので、そういうわけにはいかなくて。午前中に写真の仕事をして、午後から映画の現場に入るというような二足のわらじでした。しかも、クランクインしてからも脚本を書いていたんです。骨組みは脚本家さんに書いてもらったんですけど、セリフには普段私が思っていることや友人から聞いた言葉を『これでもか!』と詰め込んでいて。撮影の2~3日前に『このセリフでお願いします』と役者さんに渡したりもしていましたね。でも、写真の仕事を並行していたからこそ、主人公とのシンクロ率が高くて、現実と映画が地続きのような感覚になりました。

例えば、クラブのシーンですが、日本の映画やドラマでクラブのシーンがあると、『こんな人、いないのに』っていう違和感があったんです。そのため今回はクラブに行って、『ねえ、Netflix出ない?』と声をかけてエキストラを集めました。華やかなパーティーシーンもそう。そういう場に普段来ているインフルエンサーの子を集めてもらったり、芸能人の方にカメオ出演してもらったりしましたね。

パーティーシーンを撮り終わって、翌々日くらいにアルマーニのパーティーに行ったら、撮影に呼んだ人たちが全員いて、現実と物語がごっちゃになりました。面白かったし、そういうリアリティーやパワーが、『FOLLOWERS』の絵に出ているんじゃないかと思います。

また、新しい女性像を提案できたんじゃないかなとも思います。今の日本のドラマを見ていると、『もっと大人の女性って楽しいのに』って思うことが多いんですよ。もちろん女性には大変なこともあるんだけど、ベースとして『大人の女性って楽しい。面白いよ!』と伝えられるドラマになったらいいなと思っていました」

Netflixでは有名監督を数多く起用し、今までにも世界中でオリジナル作品を制作している。予算も破格といわれる現場で、今回、ドラマを撮ってみた感想は?

「Netflixさんの良いところは、自分たちが良いと思う尺で完成させられるところ。地上波の1時間ドラマは47分くらいと決まっているし、映画は『2時間にしてくれ』と言われる。でも『FOLLOWERS』は話によって尺がバラバラです。内容面も含めて、自由度の高さは魅力だと思います。それから、190カ国の人に見てもらえるのもうれしいところ。世界中の人に『TOKYO』に興味を持ってもらえたらいいな、と思いながら『FOLLOWERS』を撮りました」

最近のマイ・ヒット商品は「低温調理器」

『FOLLOWERS』では、リミがなつめの写真を撮り、SNSへ投稿したことをきっかけに人生が動き出す。フォロワーの数やコメントに翻弄される姿も、リアルだ。蜷川さん自身は、SNSにどのように向きあっているのか。

「私はインスタとツイッターをやっているんですけど、基本的にポジティブなことしか上げないようにしています。日常の大変なことなんかは、笑える範囲で上げるようにしています。炎上したこともないし、それによって体調を崩したこともないです。SNSとの付き合い方は、わりと上手な方だと思いますね。

あと、けっこうしているのが、エゴサーチ。映画を公開した時とかは反応が気になるので、つい見ちゃうんです。すると、ネガティブな意見も目に入る。だから見ない方がいいと思いつつも、批判的なコメントの中には『まあ、確かに』と思うものもあるんですよね。それに、私がモノを作る原動力が怒りだったりするんです。ネガティブな意見を見て『腹が立つ……』みたいなことから始まる企画もあるし(笑)、『この人たち、絶対、黙らせたいんだけど!』って思うことがエンジンになったりしています」

プライベートでは2児の母親。料理もする。

「私の仕事は、がんばってもダメなときはダメだし、スッといくときはスッといく。例えば映画は、がんばっても、流れて報酬がないときもあるんですよね。だけど料理は、手間をかけた分、ちゃんとおいしくできる。15品調理したら、ちゃんと15品作れる。そんなふうに、物理的に成果が上がっていくことが楽しいです。

最近、家電で買って良かったのは、低温調理器。昨日は温泉卵をいっぱい作って、すごくおいしくできました(笑)。料理は好きだけど、あんまり凝ったものを作る時間はない。低温調理器は、時短の意味でもヒットでした。

あと今、欲しいものはハムスターです。昔、飼っていたので、また『飼いたい!』と事務所スタッフに言っているんだけど……誰も同意してくれないんですよねぇ(笑)」

蜷川実花
 東京都出身。写真家として2001年、第26回木村伊兵衛写真賞を受賞。07年、初監督映画『さくらん』がベルリン国際映画祭に正式出品される。10年、Rizzoli N.Y.から写真集「MIKA NINAGAWA」を出版し、世界各国で話題に。12年には監督第2作『ヘルタースケルター』を公開し、興行収入22億円のヒットを記録した。19年は『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』の2本の映画を公開し興収10億円超えに導く。20年は、個展「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」が全国の美術館を巡回中。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事としても活躍。

Netflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』

人気写真家として華やかな生活を送る奈良リミ。ただ一つかなえられない夢は、子どもを持つこと。仕事に没頭しているうちに、何年も特定の恋人がいない状況が続いていた。一方、女優の卵の百田なつめは、人気女優のスタンドインの仕事で、悔しさをにじませていた。その姿に自らの若き日を重ねたリミはシャッターを切り、SNSに写真をポスト。すると、なつめのフォロワーが急増し、人気女優への階段を駆け上がる。監督・蜷川実花 脚本・寒竹ゆり、大浦光太、蜷川実花 出演・中谷美紀、池田エライザ、夏木マリ、板谷由夏、コムアイ、中島美嘉、浅野忠信、上杉柊平、金子ノブアキ、眞島秀和、笠松将、ゆうたろう。2月27日(木)、Netflixにて全9話を世界190カ国へ独占配信。

(文 泊貴洋、写真 藤本和史)

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