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「バーディ」のバー用品はすべて横山哲也ブランドマネージャーが自ら手掛けてきた

「バーディ」のバー用品はすべて横山哲也ブランドマネージャーが自ら手掛けてきた

バーテンダーの間で支持が広がったバーツールのブランド「BIRDY.(バーディ)」は「家飲み」にも居場所を広げ始めた。人気の理由はワインやウイスキーの味を変える効果にある。たとえば、デキャンターは酒を入れて右に回せば、まろやかさが増すという。内部の凹凸に当たって空気が入り、口当たりがソフトになる。「内面磨き」の特殊加工から生まれた効果を、開発者の横山哲也ブランドマネージャーは「酒の味わいを手軽に変えられるという新たな家飲みの楽しみを用意した」と説明する。

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「バーディ」は愛知県豊田市発のバー用品ブランドだ。自動車部品メーカー、横山興業のスピンアウト事業として生まれた。2013年にスタートしてまだ6年ほどだが、既に世界的な評価を得ていて、「Newsweek日本版」は「世界が尊敬する日本人100」の2019年版で横山氏を選んだ。「バーディ」ブランドとしても、優れた地方産品を発掘する、経済産業省のプロジェクト「The Wonder 500(ザ・ワンダー・ファイブハンドレッド)」の認定を受けている。

右回しか左回しか次第で味が一変

「バーディ」は頻繁に業界関係者を招いて、体験会を催している。プロのバーテンダーがその場でつくるカクテルを通して、商品の魅力をじかに舌で感じてもらう試みだ。様々なカクテルを提供するブースでは、デキャンターの右回しか左回しのどちらで仕上げるかを選べるサービスもある。普通のカクテルにはない発想だ。

「デキャンターの内側に特殊な研磨を加え、0.1ミクロンレベルの微細な凸凹を施してあるのが、一番の特徴。凸凹の少ないタイプに比べ、酸素に触れやすくなり、味わいのまろやかさが増す」と、横山氏は秘密を明かす。デキャンターに注いだ液体がこの凸凹に触れることによって、細かい気泡が発生し、飲み物に溶け込むのが、まろやかさの理由だという。

精密加工用のグラインダーを、専門技術者が操って、内面を磨き上げていく。デキャンターの場合、磨く方向は時計回りと決まっている。つまり、生まれる凹凸は左右均等ではない。だから、「デキャンターを右に回すか、左に回すか次第で、空気や飲み物の混ざり具合に違いが出る」(横山氏)。バーテンダーはこの違いを生かして、カクテルの味わいにバリエーションを広げている。

「時計回りに沿う右方向に回すと、全体が自然にまとまって、風味はまろやかに整う。一方、研磨の目に逆らう左方向に回せば、素材それぞれの持ち味が際立つ」

試飲イベントの会場では、「今度は左回しで」と、左右の両バージョンを交互にオーダーする来場者が多い。「確かに違う」「こっちのほうが好き」などと、味の変化に驚く声があちこちから上がる。酒の素人にも感じ取れるほど、味わいに違いが出るという自信があるからこその演出だ。

デキャンターが役立つのは、カクテルだけではない。もともとデキャンターはワインをボトルから移す器として知られている。胴が太いガラス製デキャンターに注いで、時間をかけて、ワインを空気に触れさせるのが一般的なデキャンタージュだ。しかし、「バーディ」のデキャンターを使えば、「数回、スワリング(ゆっくりと回す)するだけで、ごく短時間で空気となじむ」(横山氏)。グラス単位でのデキャンタージュが素人でも可能になる。

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