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低用量ピルで「心の怪獣」退治 更年期を乗り越える

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NIKKEI STYLE

日経ARIA

結婚、流産、失職、離婚、再婚、2拠点生活、更年期……人生の山谷を数多く経験してきた酒ジャーナリスト・エッセイストの葉石かおりさん(53歳)。低用量ピルに出合ったおかげで更年期のつらい時期を乗り越え、東京と京都の2拠点で過ごすデュアルライフが快適に過ごせるようになったそう。葉石さんが振り返ります。

◇  ◇  ◇

突然、顔から滴り落ちる滝のような汗。

取材用の白いノートが、たちまち汗で水玉模様に変わっていく。真夏でもないのに、そして熱があるわけでもないのに、首から上が燃えるように熱く、止めようにも汗が止まらない。自分であせるほど、人から心配されるほど、顔から汗が噴き出て、その場で卒倒しそうになった。

これが更年期との闘いの始まりでした。まだ30代半ば。いわゆる若年性更年期障害で明らかにホットフラッシュの症状ですが、このときは「まさか自分が」と軽く見ていました。しかし、軽視できないほど、その症状は繰り返し起こり、悪化の一途をたどっていったのです。取材や講演時にホットフラッシュが急に起こり、どんどん頻度が高くなっていきました。

いつ起こるとも知れないホットフラッシュを心配して、真冬でもジャケットの下は常にノースリーブ。温度調整できるように気を付けていましたが、それでも対応できないほどに症状は悪化し、さらにはメンタルにまで影響が出るようになっていきました。

額に血管が浮きそうな激しい怒りを夫にぶつけた

感情の起伏が激しくなり、ちょっとしたことでイライラ。それもただのイライラではなく、額に血管が浮きそうなほどの激しい怒りの感情で心がいっぱいになってしまうのです。感情のぶつけ先は一番近い身内である夫。今思うと、これも前夫との離婚原因の一つだったのかもしれません。こんな状態では仕事での人間関係もうまくいくはずがなく、感情に任せた物言いのせいで仕事は激減。揚げ句の果てには長く籍を置いていた出版社の上司とけんかして、いきなりクビになるという失態をやらかしてしまいました。

感情をぶつけることは「いけない」と分かっていても、自分でもどうにもコントロールできない。まるで心の中に「暴れまわる猛獣」を飼っているかのようでした。

東京と京都の2拠点生活をする現在の夫とも、つきあい初めはけんかが絶えませんでした。その原因は間違いなく、瞬時に爆発する感情をそのまま投げていたから。今のように離れて暮らしていることがメリットではなく、スカイプやメールでは感情の行き違いからミスコミュニケーションを連発。幾度となく別れ話が出ました。それはもう数えきれないほど。今だから言えますが、自分自身をコントロールできず、「死にたい」とさえ思ったこともあります。こんなひどい状態を42歳まで放置していたというのだから、自分でもあきれてしまいますよね。

「地獄」から救ってくれた低用量ピルとの出合い

そんな「地獄」とも言える状態から救ってくれたのは、仕事でもお世話になっている婦人科医で「よしの女性診療所」の院長、吉野一枝先生でした。たまたま先生のご自宅に伺った際、ホットフラッシュの症状が出た私を見て、「葉石さん、それは更年期かもしれないよ。一度クリニックへいらっしゃい」と声をかけてもらいました。その数週間後、看護師の友人と共にクリニックの門をくぐったのです。

血液検査の結果で先生の見立て通り、更年期であることが判明。低用量ピルを処方していただきました。正直、ピルを飲むことに不安はありましたが、それよりも長年苦しんでいた症状の原因が分かったこと、心の猛獣をようやく退治できる喜びのほうが大きかったですね。

ピルを飲み始めて2週間後には、ウソのようにホットフラッシュの症状が改善されました。生理前に特にひどかった感情のアップダウンもなくなり、凪(なぎ)の湖面のように心が穏やかに。そう、あれほど手を焼いていた猛獣がやっと心から出て行ったのです。さらには吹き出物ばかりできていた肌の調子もすこぶる良くなり、重たかった生理も驚くほど軽くなったことも、心底ありがたいと思いました。

「浮気でもしているのは?」という疑心暗鬼も霧消

別れ話を繰り返していた夫との仲も、すっかり元通り。更年期の症状がひどかったときは、離れて暮らす不安がストレスとなり、連絡が少しでも遅いと「浮気でもしているのでは?」と疑心暗鬼になっていましたが、症状が改善された途端、つきものが落ちたようにまったく気にならなくなりました。

またこれを機に、これまで失敗を重ねてきたメールやスカイプでのやり取りを反省し、「大切な話は会ったときにする」とルールを決めました。離れている間の個々の時間も大切にできる上に仕事もはかどる。大きなけんかはまず、なくなりました。「メールや電話の数=愛情の深さ」ではないんですよね。「離れているんだから、コミュニケーションを必要以上に取らなくちゃ」と、勝手に義務化していたのかもしれません。今は最低限の連絡しかしませんが、その分、会ったときにはより会話が弾むようになりました。

そして更年期の症状が落ち着いたころ、初めて夫に「女性の更年期がいかにつらいか」を話すことができました。吉野先生からも夫に更年期について話をしてもらい、だいぶ理解してもらえるようになりました。

たくさんの失敗を通して感じたのは、「更年期による症状について夫婦できちんと共有しておくことが大切」だということ。特に毎日顔を合わせるわけではないデュアルライフを送る夫婦にはマストですね。

「更年期=かっこ悪い」と思っていた

今は誰の前でも堂々と話せますが、以前は更年期であることを周囲にからかわれることもあって、夫にすら言えずにいました。私自身が「更年期=かっこ悪い」と思っていたからです。クリニックに行くのが大幅に遅れたのも、更年期をネガティブに捉えていたことが原因です。大切な時間を台無しにしないためにも、せっかく一緒になったパートナーと仲たがいしないためにも、更年期かなと感じたら婦人科クリニックを訪ねてみるといいと思います。 

更年期の治療を始めて、もう10年以上になりますが、今は「日々、快適」の一言。感情のアップダウンに振り回されないから、すべての人間関係がスムーズです。何より自分が楽でいい。50歳を超えて低用量ピルから、女性ホルモンを補う薬に切り替えましたが、副作用もなく快適なままです。

吉野先生、そして低用量ピルに出合っていなかったら、今の自分はなかったと言ってもいいでしょう。もし更年期の症状を自覚し、誰にも言えず不安を抱えている方がいたら、ぜひ婦人科医に相談してみてください。ホルモンの揺らぎで見失っていた、「本来の自分」を取り戻せるはずです。

葉石かおり
エッセイスト・酒ジャーナリスト。1966年生まれ、東京都出身。ラジオリポーター、女性週刊誌の記者を経てフリーに。2005年「おひとりさま」という言葉で流行語大賞にノミネート。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外で日本酒の伝道師であるSAKE EXPERTを育成する。著書は『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経BP社)、『日本酒のペアリングがよくわかる本』(シンコーミュージック・エンタテインメント)、『自分を磨く「ひとり時間」レッスン』(PHP文庫)、『産まない理由』(ネコ・パブリッシング)など。現在、更年期をテーマにした新刊(KADOKAWA)を執筆中

(文 葉石かおり、プロフィル写真 横山君絵)

[日経ARIA 2019年10月8日付の掲載記事を基に再構成]

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