株や投信で損失出たら、確定申告で節税へ 利益と相殺確定申告の手びき(6)

株式や投資信託などで資産運用する人にとって気になるのが運用益にかかる税金だ。どのように課税され、確定申告で節税するにはどうすればいいだろうか。

納め過ぎの源泉税が還付

まず知っておきたいのが主な金融商品の課税方式。例えば株式、投資信託、債券は申告すれば利益と損失を通算できる。申告分離課税による「損益通算」といい、節税の第1のカギだ。

株式、投資信託、債券は証券会社の「源泉徴収ありの特定口座」で取引する人が多い。その口座では売却益や配当、分配金が出ると、そのたびに利益の20.315%が源泉徴収(天引き)される。売却損が出た場合、他の売却益や配当などと通算し、納めすぎの源泉税が自動的に還付される。

それでも年間で売却損が残った場合はどうするか。他の口座で配当などで利益が出ていれば、確定申告で損益通算ができ、他の口座の配当などから源泉徴収された税額が還付される。

具体的に見よう。会社員のAさんは2つの証券会社の源泉徴収ありの特定口座で運用する。a証券では100万円の損失があるが、b証券では50万円の利益がある。この場合、確定申告すればAさんのその年の運用による所得はゼロで、b証券の特定口座で源泉徴収された税金(50万円×20.315%=10万1575円)が戻る。

損失、最長3年間繰り越し

このケースではまだ50万円の損失がある。確定申告すれば、この損失を申告対象の年の次の年から最長3年間繰り越せる。節税の第2のカギで「損失の繰越控除」という。例えば2019年に生じた損失について今回確定申告すれば、20年~22年に繰り越し、各年の運用益から差し引くことで節税できる。

ただ、注意点がある。前述の例が会社員でなく専業主婦(夫の給与所得は1千万円以下)だと、損失の繰越控除を使う場合、夫は配偶者控除を使えなくなる。夫が配偶者控除を受けるには、妻である専業主婦の年間所得が38万円以下であることが要件。申告対象の年だけの損益通算の場合、妻の年間所得はゼロなので配偶者控除は受けられる。

ところが、繰越控除の適用を受ける場合、妻の年間所得は「繰り越された損失を差し引く前の所得で判断する」(藤曲武美税理士)。翌年の繰越控除前の妻の年間所得が50万円だとすると、夫は配偶者控除を受けられない。

妻の所得が38万円超でも配偶者控除に代えて配偶者特別控除は受けられるが、控除額は妻の所得が増えると減り、所得が123万円を超えると受けられない。

損益通算できない商品も

なお、金融商品には他の商品と損益通算できないものもある。預貯金は源泉分離課税といって、利子が支払われた段階でその20.315%が徴収され課税は終わりになり、確定申告は関係ない。

(後藤直久)

[日本経済新聞朝刊2020年2月22日付]

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし