プロ経営者の会社選び やはり決め手はトップの魅力カルビー元会長 松本晃氏

世の中の役に立つという観点でビジネスを考えるとき、僕の頭に真っ先に浮かぶのはヘルスケアです。センチュリーメディカルやジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人で長年、医療機器の販売に携わり、たくさんの人の命を救うのに役立ってきたという実感があります。そしてもう一つ、大事だと思うのが環境です。ただ、日本の環境ビジネスは技術面で世界の最先端を行っているものが少ない。一方、ラディクールの新しい技術を駆使した製品は、地球温暖化など環境問題の解決に大きな貢献ができるんじゃないか。それが経営を引き受けた理由の一つです。

新環境ビジネス、中国の実業家と

とは言うものの、やはり大きかったのは、ラディクールジャパンの代表取締役社長COOである何軍(カ・グン)さんの存在です。来日30年以上になる実業家の何さんとは、カルビー時代に「フルグラ」の中国での店舗販売を任せて以来のつきあいです。非常に仕事熱心なうえ、気さくな人柄です。苦労人だけあって大変人間味もあり、とても面白い男です。ただ、日本で外国人の起業家が成功するにはそれなりの信用力が必要です。それで何さんを助ける意味もあり、会長兼CEOを引き受けたわけです。

今は、とりあえず事業拡大にお金が必要なので、僕や何さんの人脈を使って資金を出してくれる投資家を探している段階です。僕の経営者としての経験から、この事業は軌道に乗るまでに3年はかかるとみています。周りには、このビジネスは「桃栗3年の桃栗ですよ」と言っています。

何さんとは、19年秋にナノテクノロジーを活用した精密3Dプリンターを売るBMF JAPANという会社も立ち上げました。僕が代表取締役会長で、何さんが代表取締役社長です。さらにもう一社、立ち上げ準備に入っています。

今の中国は実に面白くて、どんどん新しい物が生まれています。マサチューセッツ工科大(MIT)やスタンフォード大など米国の一流大学で最先端の技術を学んだ優秀な中国人が国に戻り、政府の支援を受けながら次々と起業しているからです。中国のベンチャーは事業化のスピードが非常に速い。日本の比ではありません。

たとえば、深圳市には最先端のナノテク関連企業が集まる場所があります。米シリコンバレーのナノテク版みたいな感じで、新しい商品がどんどん生まれているんです。そういうものを日本で売ったら面白いだろうなと、営業マンの血が騒いでいるところです。

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松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

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