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レタスクラブ復活の立役者に聞く 自分マネジメント術

仕事と遊びの境界線をなくす「公私混同力」のススメ(6)

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NIKKEI STYLE

「キャリア迷路(モヤキャリ)」から抜け出すためのコミュニティーを主宰する池田千恵氏は、会社でやりたいことを実現して、副業と本業のシナジー効果を得られるようにするためには、自分の勝ちパターンを客観的に知り、自分自身をマネジメントすることが大切と説きます。今回は雑誌や単行本編集で身につけた「編集力」を横展開し活躍している前「レタスクラブ」編集長の松田紀子さんから、自分自身をマネジメントするコツについて池田氏が聞きました。

「公私混同力」を磨くために必要な「編集力」とは?

シリーズ累計300万部の大ヒットとなった「ダーリンは外国人」(小栗左多里著、メディアファクトリー)を手がけ「コミックエッセイ」というジャンルを確立、料理雑誌編集経験ゼロで編集長に就任した主婦向けの生活情報誌「レタスクラブ」は4回完売、2018年には料理・レシピカテゴリーの雑誌で売上1位を記録と、華々しい実績をお持ちの松田さん。現在はファンベースカンパニー(東京・港)にて、今まで培った「編集力」を横展開し活躍中です。

――松田さんは今まで、コミックエッセイというジャンルを確立して、レタスクラブをV字回復させるなど、編集の分野でご活躍でしたが、ファンベースカンパニーではどのようなお仕事をされているのですか?

ファンベースカンパニーは、社外・社内にすでに存在している「ファン」をベースにして中・長期的に売り上げや価値を上げていくという取り組みをしている会社です。クライアントと一緒にファンベースプロジェクトを立ち上げ、伴走し、プランニングや実践をしています。

クライアントのそれぞれの課題や思いによって実行していくプランは様々です。初段階で多いのは「ファンミーティング」ですね。これは、コアな少数のファンに集まってもらい、ファン同士で「その商品の好きなところ」などを自由に話してもらいます。

ファンベースカンパニーは昨年5月に生まれたばかりで、上下間のないフラットで自由な会社です。文化も社是もこれからつくって、みんなで育てていこう、という感じですね。

――レタスクラブで結果を出されたのであとは安泰というか、そのまま役員になったり、編集者としての道を究めたり……が一般的なのでは?と感じるのですが、どうして今、ファンベースカンパニーに参画したのですか?

レタスクラブの編集長職は3年で結果を出す!と決めて全力で取り組みました。ここで私が編集長を抜けないと、後に続く人たちのポジションが生まれないので譲りたいと思ったんです。組織の中での役員コースも正直興味はありませんでしたし、他の出版社で編集者をするイメージもあまりわきませんでした。

そんなとき、レタスクラブ再建の時期に通わせてもらった「さとなおオープンラボ」を主宰するさとなおさん(注:コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之さん)がファンベースカンパニーを立ち上げると聞き、私が行くべき場所は絶対にここだ!とピンときました。いわば野生のカンですね。

さとなおさんが提唱するファンベースの考え方は、レタスクラブで実践し、手応えもありました。雑誌だけじゃなく、もっといろんなところでファンベースを試してみたいと感じていました。

コンテンツをつくるときに必要な「編集力」は、「そこに横たわる名もなき 『価値観』 を言語化し、パッケージにして『ほら!』と差し出す力」だと思っています。雑誌や本づくり以外でも「編集力」を使えるんじゃないの?と思うとワクワクが止まらなくなってしまいました。

副業禁止の会社で人を巻き込み事業化する「熱狂」の力

――この連載「公私混同力のススメ」では、いままで培ってきた経験を他の場所でも横展開するスキルを磨こうという話をしていますが、まさに「編集力」を他の業界で生かすチャレンジをしているのですね。ところで、前職では副業として何かをした経験はありますか?

前職では副業が禁止だったので、実際に副業をしたことはありません。前職のころから講演会に講師として呼ばれたり、テレビのコメンテーターをしたりしていましたが、すべてはレタスクラブの宣伝活動のつもりでやっていて、謝礼は全て会社に渡していました。

編集という仕事は、普段の生活の延長線上でものごとをとらえることが大切なので、そういう意味では仕事とプライベートが地続きな意識は常にあったかもしれません。

18年は映画「カメラを止めるな!」にドはまりしました。公開数日の段階で見に行ったのですが「これは絶対世に広めなければ!」と熱狂しました。上田慎一郎監督を追いかけて、レタスクラブの編集長なのに、雑誌「ダ・ヴィンチ」メンバーとして監督にインタビューをしたり、他の出版社やメディア系企業に勤める友人を巻き込んで「映画『カメラを止めるな!』アツアツファンブック」(KADOKAWA)を「チーム『カメ止め!』感染者」名義で編集したり。あげくには上田監督の新作映画に女優として参加したいと、映画オーディションも受けました。一次選考で落ちちゃいましたが……(笑)。

私、もともと舞台裏が好きなんです。「カメラを止めるな!」で舞台裏の人たちが夢中になっている姿をみて、「自分がそこにいないことが悔しい!」と猛烈に感じたほど。つくり手に携わっている人は今からでも遅くないです。絶対見たほうががいい映画です!

「売れっ子の女優」を演じて自分で自分の機嫌を取る

――実は私(池田)も松田さんが発する「カメラを止めるな!」の熱狂の渦に巻き込まれたひとりです(笑)。松田さんのSNS(交流サイト)での発信で「絶対に見ないと!」と感じ、2回見ました。上田監督と松田さんが登壇するトークイベントにも参加しました。

人を巻き込むには「熱量」が必要だと思います。松田さんには、みんな喜んで巻き込まれていくような感じがします。社内外に松田紀子ファンがいますよね。「公私混同力」を磨くには「巻き込む」ということが大切な気がしていますがいかがですか?

「この人と組んだら面白そう!」と思ってもらえることは大切だと思います。「貧乏くじをひきそう」なことは誰だって嫌じゃないですか。「この人とだったらなんだか楽しそう」という期待感を持ってもらえるといいなと思っています。

そのためには、自分自身の体調と機嫌の管理には気をつけています。20代のころ、直前に嫌なことがあったのを引きずって不機嫌丸出しでクライアントのお店に行ったとき、いつも優しい店長に「そんな仏頂面で来るな。自分の機嫌くらい自分で取って来い!」と激怒された経験があり、それ以来「自分の機嫌くらい自分で取れ」と胸に刻んでいます。

体調が良くないときや機嫌が良くないときに案件が重なってくると、わちゃわちゃしてしまい、追われている感じがしますよね。先日も忙しすぎて目が回っているメンバーがいたんですが、「自分は売れっ子の俳優だ!」と思って、「自分以外に代わりはいない、この舞台に自分が欠けたらどうする!」と思って毎日過ごすと楽しいよ~、というアドバイスをしました(笑)。

私自身も、多忙なときや緊張感が高まる場面が続くときは「自分は女優!」と勝手にイメトレをしています。明日のステージに立つために、心をコスプレする気持ちですね。すると、忙しいのが心地よい緊張感になり毎日を乗り越えられます。

緊張感があると体調も崩れないんですよ。緊張した後は思い切り緩和する。このメリハリが心身ともによいリズムになっていると思います。

「仕事がつまらない」と思ってしまう自分のパターンを知ろう

――この連載「公私混同力のススメ」で紹介したいのは、本業をおろそかにせず、いかに本業とのシナジー効果を発揮するか?という視点です。ただの「遊び」のように思われてしまう「公私混同」と、本業とのシナジーがある「公私混同」の違いはどこにあると思いますか?

結果を出しているかどうかですよね。結果を出していたら何をしてもいいと思います。本業が手薄のまま副業を開始するのは自分自身も不安ではないでしょうか?

編集という仕事はいろんな世界を知っていたほうがいいので、趣味なのか副業なのか本業なのか、もうあいまいなところはありますね。全方位でインプット/アウトプットをする意識は大切だと思います。本業だから、副業だから、という区別なしに、好奇心をもったテーマがあれば実行にうつし、そこで楽しく結果を出すことが大切なんじゃないでしょうか。

――仕事で思うようにいかなかったり、やりたいことと違うことをやらないといけないとき、松田さんでも腐ったりすることはありますか?

「仕事つまんないな~」「なんか思ったのと違う」と、腐ることは私にもあります。私の場合、腐るときには次の3つの傾向があると思っています。

1. 自分の実力が追いついてない

2. 夢中になっていない

3. ゴール設定をしていない

「つまんないな~」と思ったら、「それは私が夢中になれていないからだ! だからもっと自主的に仕事しよう!」と気持ちを切り替えることができます。気が乗らない長丁場にわたるユウウツな仕事も「これを続けている意味は?」と自分に質問して、「これが見えたらゴールだ!」と、自分で納得のいくゴールの状態を決めます。そうして夢中になって仕事すると、しばらくしたら一皮むけて、また仕事が面白くなってきます。

「ここまでやったらやめよう」という、自分が納得するゴール設定ができれば、自分の選択に言い訳せず、ただただ進むのみ!になります。自分が納得いくかいかないか、が一番大事なんですよね。人の評価とかより。もちろんストレングスファインダー1位は「最上志向」です(笑)。

例えば、コミックエッセイ畑を15年歩いてきた私にとって、レタスクラブの編集長をやってくれない? という異動は突然で戸惑いましたが、「私にそれを任命するってことは、私のキャラを見据えた上での任命だよね」と思い、「私がやるならこうしますよ」を最初にしっかり上司に伝えました。そのうえでOKをいただいたので、勢いを持って改革を進めることができました。

もちろん上司のツボを押さえることは大切です。当時の上司は細かいことを言わない上司だったので、始めにしっかりと握ることが大事。やりたい仕事を進める上で、上司にちゃんと理解を得る努力は惜しまないほうがいいと思います。

モチベーションを上げるには「一人コーチング」が効果的

――自分を客観視してモチベーションを上げることができるのがすごいですね。何か、自分を客観視できるようになったきっかけはありましたか?

マリ先生(注:「テルマエ・ロマエ」などの著作で知られる漫画家・文筆家、ヤマザキマリ氏)の影響が大きいですね。前職でマリ先生の担当をしたとき、テレビ番組でマリ先生が世界を旅行する企画がありました。担当編集者としてずっと一緒に世界を巡り、お話する機会が多かったんです。

マリ先生はよく「自分が相棒」という話をされていました。14歳でヨーロッパ1人旅をご経験されたとき「苦難を乗り切るのは自分しかいない」「頼りになるのは自分」と思われたそうです。自分の中に「導く自分」がいて、その内なる自分と相談して「こっちにいこう、あっちにいこう」と判断する、という話が面白いと感じていました。で、「そういえば、私も昔からそうだったな……」と気付きました。自分自身に常に話しかけているというのが正しいイメージでしょうか。だから、一人でも全く寂しいとは思わないですね(笑)

そこから「一人コーチング」を意識するようになりました。自分で自分と対話すると、客観的になって、自分の行動パターンが見えてきます。パターンが分かってくると強いですよ。「この前この行動で後悔したから避けよう」ということが経験上わかりますし、「ああ、この気持ちの落ち込みはあれが原因だ」と推測できます。

仕事でモヤモヤしたり「今の仕事がつまらない」と思ったりしたときに、その原因が分からないまま転職を繰り返しても、結局モヤモヤは収まらず、どこにでもついてくる。自分でハラオチするまで考えることがポイントだと思います。

――とても参考になります!自分を客観的に知ることがハラオチのコツですね。今回はどうもありがとうございました。

松田さんは編集力を「そこに横たわる名もなき 『価値観』を言語化し、パッケージにして『ほら!』と差し出す力」と定義されていました。これは、自分のキャリアの方向性を定める上でもとてもヒントになると感じました。

自分の中の名もなき 「価値観」は、「仕事がつまんないな」と思ったときの傾向や、自分がどうなったら機嫌よく過ごせるか、という傾向をデータベース化していくことで見えてきます。その上でハラオチできるゴールが決まったら「何かを成し遂げる人」になるための準備は整ったも同然です。今回のインタビューを参考に、「編集力」を磨いていきましょう!

松田紀子さん
リクルート九州支社で旅行雑誌「じゃらん」の編集に3年かかわったのち上京、2000年メディアファクトリーに入社。11年、メディアファクトリーがKADOKAWAの子会社に、のち合併され、「コミックエッセイ編集グループ」編集長に。16年「レタスクラブ」の編集長も兼任。18年には同誌が料理・レシピカテゴリーの雑誌で売上1位を記録する実績を残した。19年にKADOKAWAを退社、(株)ファンベースカンパニーに合流。編集力を生かしたファンベースディレクターとして様々な分野の起案・企画に併走。著書に『悩んでも10秒』(集英社)。
池田千恵
朝6時 代表取締役。朝イチ業務改善コンサルタント。慶応義塾大学卒業。外食企業、外資系企業を経て現職。企業の朝イチ仕事改善、生産性向上の仕組みを構築しているほか、個人に向けては朝活でキャリア迷子から抜け出すためのコミュニティー「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。10年連続プロデュースの「朝活手帳」など著書多数。

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