やり遂げた実績があるか、成果を出したことがあるか
「経営的視点をお持ちの方」のその3は、「やり遂げた実績がある」「成果を出したことがある」人か否かです。
ミドル・シニア世代ということであえて補足するならば、それなりの社会人歴(おそらく10年以上)のなかで、オールパーフェクトとは言いませんが、「おおむね全てにおいて」やり遂げた実績がある、成果を出したことがあることが大事です。
失敗経験も大事で、そこからの学びがある方についてはそれも非常に高い評価ポイントとなります。当然のことながら失敗経験や中途半端経験が主で、その中で一つ、二つ限りのやり遂げ実績や成果ではあまりに心もとなく、社長や経営陣はその方の採用には二の足を踏みます。
採用されない人は「任務完了実績がない」「具体的成果をあげた形跡がない」タイプです。
厳しい言い方にはなってしまいますが、これまで任されてきた業務をそれぞれしっかりやり遂げてきたという事実の見えない人、中途半端な人。タスクはこなしたとしても、具体的な成果をしっかりあげてきたという事実の見えない人が、経営幹部や中核人材に登用されることは、残念ながらないのです。
今回の転職が、ミッションを途中で投げ出そうとしていたり、成果をあげられなかったからというものだったりしないでしょうか。「逃げの転職」はそもそもうまくいきません。転職したとしても、行った先で必ず早晩また行き詰まります。そのような経歴もまた、私はエグゼクティブサーチの現場で数えきれないほど見てきました。
昨今の転職ブームのなかで、もしかしたら根本的な勘違いが増えているのではないかと感じているのが、本来、転職とは「成功を引っさげて」行うものだということです。特にミドルやシニア世代においては。しかし「環境不満や現場逃避」の転職が、世代を超えて一般的になっているように感じることに残念さと寂しさを感じざるを得ません。
転職の前に、まず今の仕事をしっかりやり切り、成果をあげるまでなんとしても踏ん張ること。「良い転職」をできる権利は、それを果たした後で初めて得られるのです。
20代の若手・中堅ならいざ知らず、ミドルやシニアで「vs 経営陣」の構えでキャリアや転職を考えているようでは、これからのキャリア二極化拡大時代に「やりがい組」「リーダー組」側に入ることはままなりません(「使われる組」で良いなら、それも人生ですが)。「経営的視点をお持ちの方」への意識改革、セットアップを図っていただければと願っております。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
