(写真:藤本和史)

『エール』からは働き方改革の一環により、放送が月~土曜から月~金曜に変更。現場の負担を軽くする狙いがあるというが、その変化は窪田自身も感じているという。

「スタッフさんが全部で3チームくらいあるんです。約1年間ある撮影のなかでみなさんがチームごとに入れ代わり立ち代わりになっていくシステム。おかげで撮影状況的にまだゆとりがある感じです。これから佳境になるにつれまた環境が変わってくるかもしれないけど、キャストのみなさんとも、けっこういろいろお話できています。悩みごとをお互いに言うというか…だべっているというか(笑)。

前室(キャストの待機場所)での時間はすごく大事だと思うし、むしろ積極的に差し入れなどを出し合ったりして、とにかく環境を良くしていかないとダメだ、『主役をする』というのはそういうことだなって、自分は思っています。作品のことを四六時中考えて、セリフを言うとか役として動くというのは、もはや当たり前で。それよりも僕は一緒にやっていく方々がやりづらくない環境を作っていかなきゃいけない。だから常に『あ、この人はきっと話し掛けられたら嫌な人なのかな』とか探ることもしています。スタッフさんも役者さんも関係なく、全員に対して」

「ずっと主役をやりたいという気持ちはあったし、今もやらせていただけてすごくうれしい。やっぱり主役のときにしか味わえない感覚って、すごくあるんですよね」と窪田。彼が言う“主役”は、10代や20代で経験したものと30代に入った今に体感するものとでは、全く違っていたという。

「『物語をこの先どうしていったらいいと思いますか』という、制作側の話にも自然と加わるようになりました。自分はもともと演出面にも興味があって発信したいという気持ちがあったので、『こういうことをやってみたら面白いかもしれないですね』と言って少しずつですけど話が変わっていくのが新鮮で。でも反面、すごく怖い部分もあるんです。みなさんがすごく気を使ってくださるから、自分が言ったことが採用されることが増えたんです。それがたとえ、僕の中では普通に『これってどうなんですか?』と疑問を口にしただけだったとしても。なので、いつも最初に『監督がやりたいことで全然いいですよ』ってお伝えしてから意見を言うようにしているんですけど、その変化は最近すごく感じています。『そうか、年齢を重ねて主役をやるっていうのは、こういうことなんだな』と。20代の頃の主役の感覚と今では、全然違うんですよね。現場が変わっているのではなく、自分が変わっているんだなって知りました」

『初恋』

 孤高の天才ボクサー・葛城レオ(窪田)は、ある日、病院で余命わずかだと知らされる。自暴自棄になるなか、レオは何者かから必死に逃げるモニカ(小西桜子)と遭遇。追手を倒して救うレオだったが、知らぬ内にヤクザの抗争に巻き込まれ…。(2月28日公開/東映配給) (C)2020 「初恋」製作委員会

(ライター 松木智恵)

[日経エンタテインメント! 2020年2月号の記事を再構成]

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