打ち合わせを変えれば無駄が減る 佐藤可士和の仕事術クリエイティブディレクター 佐藤可士和(1)

佐藤可士和氏  写真:尾鷲陽介
佐藤可士和氏  写真:尾鷲陽介

日本を代表するクリエイティブディレクターの一人、佐藤可士和氏。1日の多くは「打ち合わせ」で埋め尽くされているという。30を超えるプロジェクトが常時無理なく動いているという佐藤氏の仕事を支えているのは質の高い打ち合わせだ。文庫化された「佐藤可士和の打ち合わせ」から、同氏が実践する打ち合わせの極意をのぞいてみよう。

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会社勤めをしていた博報堂時代、「なんて忙しいんだ」と思う日々でした。たしかに社内では、クライアントも数多く担当していて、忙しい立場だったと思います。担当していた自動車メーカーでも、何車種もありましたから、たくさんのプロジェクトが走っていました。

しかし、今から考えてみれば、当時の仕事量はまったく大したことがなかったのです。おそらく今は、当時の10倍以上の量の仕事をしていると思います。

「サムライ」では、さまざまなプロジェクトが常時30ほど動いています。しかも、無理のないスケジュールで、仕事は進んでいるのです。

「サムライ」設立直後は、会社員時代の延長線上のような仕事が中心でした。ところが、企業全体のブランディングやグローバル戦略などの仕事がだんだんと増えていき、仕事が単発で終わらないようになってきました。

広告のプロジェクトであれば、例えば新商品のキャンペーンなら、発売時に合わせてテレビCMや新聞、雑誌、交通広告などをひと通り作れば、いったん仕事は終わります。

当時の仕事というのは、猛烈に忙しくなって、波が一気に引くように静かになって、また猛烈になって徹夜もしたりして、という循環でした。言ってみれば、短距離走だったわけです。

携帯電話デザインの長期プロジェクトが転機に

ところが、ひとつの仕事が転機になります。それは、携帯電話をデザインするという大手通信会社のプロジェクトでした。これが、驚くべきことに2年半もの期間をかけることが、最初から決まっていたのです。

通常、プロダクトデザインの仕事は1年ほどなのが一般的ですが、そのときは外部のデザイナーが初めて担当し、端末だけでなく、インターフェースや広告キャンペーンまですべて手がける、という新しく斬新なプロジェクトだったため、これほどの長期に及んだのでした。

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