2020/2/19

擁壁所有者に問われる維持管理責任

擁壁が法律で必要とされる手続きが行われているか調べる方法もあります。手続きが行われていないという場合は、現行法において手続きを必要としない規模の擁壁であるか、法律で規制されていなかった時代に作られたものか、届け出をしていないものか、いずれかということになります。

法的な手続きを踏んだ擁壁であれば、維持管理状況が適切に行われているかを、チェックシートの通り確認していくことになります。そうでない場合は専門家に相談するということになります。なお、このチェックシートにも記載されていますが、高さが1メートル以下の擁壁については、ほぼ安全なものが多いためチェックの対象外としています。

法的な手続きを踏んだ擁壁であっても、維持管理を怠り、排水ができない状態となった結果、擁壁が崩壊するなどの事故が発生すれば、その所有者に責任が及ぶ可能性があります。擁壁は、擁壁の上部の土地を所有する人が所有し、維持管理責任を負うというのが一般的ですので、自身が所有する擁壁の状態についてこれを機に確認していただくとよいと思います。

なお、逗子市の事故は報道によると、擁壁上部の崖が崩落したとのことですが、上段が崖のままとなっていた二段擁壁と同じ状態だったと考えることができるのではないかと思っています。上段の崖の角度がいわゆる安息角(土砂が崩落しない角度で、地質にもよるが30度程度といわれています)であればよいのですが、そうでなかった可能性もありそうです。

これから住まいを買う人や擁壁の近くに暮らす人も、こうしたチェックシートを利用するなどして、安全な暮らしや住まい選びに役立てていただければと思います。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。