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チャートやグラフはロジカルな説明に役立つ(写真はイメージ)=PIXTA

チャートやグラフはロジカルな説明に役立つ(写真はイメージ)=PIXTA

「論理的」というイメージが強すぎて、ロジカルシンキングは評価の分かれるところがある。理論武装ともみえがちだが、『シート1枚で論理的に伝える技術』(秀和システム)を書いた渡辺まどか氏は「もっとしなやかに使ってもらえるスキル。あくまでも本人の思いをうまく伝える道具の位置づけ」と語る。ロジカルシンキングのよさも悪さも知った伝道者に、賢い付き合い方を教わった。

MBAのカリキュラムで重視

論理的な思考法を意味するロジカルシンキングは、MBA(経営学修士)の取得を目指すコースでカリキュラムの基本と位置づけられることが多い。実際には様々なスキルの集合体だが、本書では1枚のシートに考えをまとめながら思考と表現を整理するという、割とシンプルな手順に絞って手ほどきしている。「仕事の現場で誰もが手軽に使える日常的なスキルとして伝えたかった」と渡辺氏は執筆意図を語る。裏側に透けて見えるのは、ロジカルシンキングを説得や主張の「武器」に使いがちな傾向への疑問だ。「ロジカルシンキングだけで押すのは、逆効果になりかねない」と、渡辺氏は注意を促す。

ロジカルシンキングの専門家である渡辺氏は「自分は直感で動くタイプ」と話す。大学は文学部だ。最初に就職したのがいわゆる「就職氷河期」だったこともあって、畑違いのIT(情報技術)系企業に入り、システムエンジニア(SE)職に。主にウェブサイトの企画デザインを担当していた。自ら「ロジカルのロの字も知らなかった」と振り返る。渡辺氏が本格的にロジカルシンキングに触れたのは、コンサルティング会社に転じてから。仕事に必須のスキルとしてロジカルシンキングを教え込まれた。「上司や先輩、顧客から教わった部分が大きい」と、渡辺氏は振り返る。だから、「後付けで学べるスキル。誰でも習得して、仕事に生かせる」と、ロジカルシンキングを特別視しない。

入社3年目の営業部員と、ロジカルシンキングの講師による対話形式でレクチャーが進む仕立ての本だ。リアルな困り事を解決するために、企画や提案を1枚のシートにまとめていく作業を通して論理的思考の要点を解説している。MBAスクールで学んでいた頃、受講生同士の勉強会で「教えるのが上手だね」と言われたことをきっかけに教えることに興味を持った。現在もスキルシェアサービス「ストリートアカデミー」でロジカルシンキングの講座を受け持っている。目指しているのは「いい関係を周囲や取引先との間で築きたいとか、こういう自分でありたいと考える人たちへの手助け」。思い通りに物事が進まない場合、原因の一つにコミュニケーションやアウトプットのもたつきがあるが、「伝え方が巧みになれば、かなり解決に近づける」と、渡辺氏はビジネス表現における「出口戦略」の大切さを説く。

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