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メインの平台のほぼ中央に前作『Think clearly』と並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

メインの平台のほぼ中央に前作『Think clearly』と並べて展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。勢いのいい新刊が出てこない状況は2月に入っても続いている。2019年秋から年末にかけて刊行された息の長い売れ筋も息切れしてきて、ビジネス書全体の売れ行きは少しさえない。そんな中、書店員が注目するのは、よりよい人生を送るための思考法をまとめた19年のロングセラー『Think clearly』の著者による、その続編といえる思考法の本だった。

19年の売れ筋『Think clearly』の続編

その本はロルフ・ドベリ『Think Smart』(安原実津訳、サンマーク出版)。副題には「間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法」とある。「最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」をまとめた前作『Think clearly』と同じ路線ではあるが、「幸福」を手に入れるのではなく、「不幸」を避けることに力点を置いた本だ。前作と同じく52の思考法を紹介している。

と言っても紹介されるのは、むしろ間違った思い込みを起こす原因になる思考法だ。「デフォルト効果」「少数の法則」「選択肢の見過ごし」……心理学者の実験や自分に起こった錯誤の実例などを面白おかしくまぶしながら、そうした思い込みがどんな局面でどのように起きるのか、各編で鮮やかに紹介していく。そして最後に「結論。……」と振って、そうした誤りを避ける知恵をひとくさり述べてくれる。この部分が「間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法」になるわけだ。

心理学の実験など豊富な事例

例えば「敵には情報を与えたほうがいいわけ」という一編では、「情報バイアス」という思考法が紹介される。ラテンアメリカの代表的作家ボルヘスの短編小説や自分のホテル探しの体験、心理学者が医師に対して行った実験など興味深い事例を連ねながら、「情報が多すぎると決められなくなり、決断の質も下がる」という現象を明らかにする。そして最後に「結論。最低限の情報で生活するよう心がけよう。そうすれば決断の質は上昇する。なくてもいいことに価値はない。それを知ったところで無価値なものは無価値のままだ」と一編を結ぶのだ。

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