花粉の季節はかゆくなる前に点眼薬 目を守る基本のキ

今日から始めたい目のガードと点眼薬使用

花粉や黄砂、PM2.5など目のアレルギー要因から目を守るには、「目に入らないよう防御し、洗い流すこと。いずれも大気中の浮遊物であるという点では共通しているので、対策も共通している。目の表面をきれいにしてから、用法通りに点眼を」と三村准教授は話す。

まず、目の防御・洗浄は以下の2点を参考にしてほしい。

●異物の侵入を防御する

花粉は涙と合わさると破裂し、抗原が飛び出す。そのため、花粉や黄砂、PM2.5が結膜にはりついている限り、結膜や角膜のバリアが壊れやすい状態が続く。これらが目に入らないように防御することがまずは肝心だ。保護機能のあるメガネやゴーグルなどで侵入を阻止しよう。

住む地域の飛散量を知りたいときには、以下のウェブサイトを参照するとよい。

・花粉 ウェザーニュース「花粉Ch.2020 花粉情報」(https://weathernews.jp/s/pollen/)

・黄砂 気象庁「黄砂情報」(https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/kosa/fcst/)

・PM2.5 環境省大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」(http://soramame.taiki.go.jp/)

●洗眼する

市販されている洗眼薬を使うと目に負担をかけることなく、異物を取り除ける。

カップ式洗眼液は「まつげやまぶたに黄砂や花粉が付着した状態だと、カップで覆って洗眼する際に抗原が目に付着するリスクがある。最初にまぶたやまつげを水でぬらしたコットンなどで拭き取ってから洗眼をするといい」(三村准教授)。

ホウ酸が主成分の「点眼型洗眼薬」も薬局で手に入る。「4~5滴点眼することで、目に付着した抗原の粒子を洗い流すことができる」(三村准教授)という。

洗眼はいずれも1日1回、帰宅後に行う。「洗眼した直後は、洗眼液の成分が目の表面に残っているので、5分間ほどあけてから抗アレルギー点眼薬や角膜保護効果のある点眼薬を使うとよい。こうすると、成分が薄まることなく点眼薬の作用が発揮される」(三村准教授)

次に、三村准教授に点眼薬の使用に関するポイントを3つ挙げてもらった。

(1)抗アレルギー点眼薬だけで改善することも。まず医師に相談

症状が出てから「抗アレルギー点眼薬」を使っても、決して遅いわけではない。「症状の重症度にもよるが、抗アレルギー点眼薬だけで症状が楽になる人が多い。そのためには、医療機関を受診して症状を確認し、用法をしっかり守ることがポイント」(三村准教授)となる。

かゆいときに点眼するという人が多いが、「それでは点眼薬の効果が減弱する。花粉症の時期には、かゆみがないときにもしっかり点眼回数を守る『プロアクティブ療法』によって抗アレルギー点眼薬だけで症状を改善できることがわかってきた」(三村准教授)。

(2)いざというときのステロイド点眼薬の注意点

抗アレルギー点眼薬だけではかゆみや充血が引かないときや、まぶたの裏に巨大乳頭の増殖があるときには、ステロイド点眼薬を用いる場合がある。三村准教授は「眼圧上昇という副作用が出ることがあるので、症状の強いときのみピンポイントで処方し、ステロイドで眼圧が高くなっていないか確認しながら経過を見る(特に、小児の場合、ステロイドで眼圧が高くなる可能性が高い)」と語る。

また、「春季カタル」などの重症のアレルギー性結膜疾患では、「ステロイド点眼薬の代わりに、免疫抑制剤の点眼薬(シクロスポリンの点眼液、タクロリムスの点眼液)も適用される」(三村准教授)。

(3)市販の点眼薬の選び方

とりあえず市販の点眼薬で症状を抑えたい、という場合もある。「抗アレルギー成分、抗ヒスタミン成分がメインで、他にいろいろな成分が入っていないものを選ぶといい。充血をとる血管収縮薬や、抗消炎薬、メントール系の成分はクール感があって差し心地が良い一方で、アレルギー症状をマスキングしてしまう可能性がある。抗アレルギー点眼薬でアレルギー症状そのものを治すことが大切」(三村准教授)

市販薬の抗アレルギー成分は「クロモグリク酸ナトリウム」、抗ヒスタミン成分は「クロルフェニラミンマレイン酸塩」など。これらを2~3日使って症状がとれない場合は眼科を受診したい。

コンタクト装用者は特に、防腐剤が入っていない点眼薬を選ぶこと。「防腐剤がレンズに付着したまま翌日装用すると、アレルギー症状が強くなったりコンタクトレンズの劣化につながったりする。花粉症時期はワンデータイプに切り替えると良い」(三村准教授)

特に三村准教授が指摘するポイントは「症状がひどくなってからではなく、症状を感じたらすぐに対処することが大切」ということ。防御、洗眼、薬の点眼に正しく取り組んで、少しでも症状を軽くして春を過ごしたいものだ。

(ライター 柳本操)

三村達哉准教授
帝京大学医学部眼科学講座。

山梨医科大学医学部医学科卒業。東京大学医学部付属病院眼科、ハーバード大学(MEEI/スケペンス眼研究所)、イリノイ大学シカゴ校(医学部付属病院)留学、東京大学医学部付属病院眼科助教、東京女子医科大学東医療センター眼科准教授を経て2017年から現職。眼瞼(がんけん=まぶた)、角膜移植、アレルギー疾患の他、黄砂や大気中化学物質などの環境因子と目の疾患との関係について研究する。
「健康」「お金」「働く」をキーワードに、人生100年時代を生きるヒントとなる情報を提供する「ウェルエイジング」を始めました。
週1回ニューズレターを発行します。登録はこちらから。

「日経歩数番」のご紹介

日経が提供する歩数計アプリです。一定の歩数に達すると三国志キャラクターがあなたを激励。さらにポイントも獲得できます。
>> 詳細はこちら

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント
疲れ目・かすみ 目の健康守る
注目記事