「職人家電」家メシでプロの味 オムレツや焼き鳥OK戸井田園子の白物家電トレンドキーワード

居酒屋の焼き鳥を自宅で再現「焼き鳥メーカー2」

自家製焼き鳥メーカー2(サンコー)。直販価格6280円

居酒屋の人気メニュー、焼き鳥。自宅で食べたいと思っても、こまめに串を返してむらなく焼く技術は職人技といえるもので、素人には難しいのが現実です。しかし、この「自家製焼き鳥メーカー2」は、自動で回転するから焼きムラなしでおいしい焼き鳥ができあがります。煙がほとんど出ないのも特徴で、ダイニングで焼き鳥を焼いても家族に文句を言われる心配はありません。

仕事を引退し居酒屋に行く機会が減った団塊世代、小遣いが足りないから何度も飲み会にいけないという子育て世代に支持されている職人家電です。

専門店の味を食卓で「ラクレット&フォンデュメーカー グランメルト」

ラクレット&フォンデュメーカー グランメルト(レコルト)。実勢価格7500円前後

チーズがとろりととろける「ラクレット」。2018年からブームに火がつき、2019年には多くのラクレット専門店に行列ができました。

「食べたいけど、予約してまで行くのはちょっと……」という人に向けて登場したのが「ラクレット&フォンデュメーカー グランメルト」。専門店で食べる高級メニューが、手ごろな価格で気軽に楽しめます。ラクレットとフォンデュに特化した家電にもかかわらず、売り上げは好調。発売当初は2人用のみでしたが、「家族用もほしい」という声に応え、現在は4人用も発売されています。

「働き方改革」も関係?

以上、6つの職人家電を紹介しましたが、こうしてみると職人家電は「食べる」に特化したものが多いことがわかります。19年に話題となった、1枚しか焼けないけれどおいしいトーストが焼ける「ブレッドオーブン」(三菱電機)も職人家電の一つですね。

なぜ調理家電に職人家電が増えているのか。それは「家メシ」を重視する人が増えているからだと思います。

これらの職人家電は団塊世代からの支持も多いと聞きます。彼らは健康面の心配から外食を控えがちだけれど、おいしい食事に対するこだわりは強い。そのため、以前は外で食べていた料理を高いクオリティーで再現したいと考え、手軽に調理ができる単機能の職人家電に手を伸ばすわけです。

「働き方改革」も関係していると思います。会社が残業時間を制限するようになり、以前より早い時間に家に帰るビジネスパーソンが増えてきました。その結果、家メシ派が増えることになり、「どうすれば家メシのクオリティーをあげられるか」という関心が高まったことも、「職人家電」人気の原因の一つでしょう。もちろん「やむを得ず家で食べている」のではなく、「家族との時間を大切にしよう」と考えて自宅で食べる食事のクオリティーアップを考えている人も多いはずです。SNS(交流サイト)の普及により、映える写真が撮れるから「職人家電」が支持されているという側面もあるでしょう。

日常のなかで大半を占めるのが「食事」。1日3度の食事が豊かになれば、おのずとQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)も高くなります。それを「外食」に求めるのではなく「家メシ」に求めるようになったのが、現在の状況です。今年は職人家電がさらに増えていくと思います。

戸井田園子
大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。その後インテリア&家電コーディネーターとして独立。家電業界出身ではない中立的な立場と消費者目線での製品評価や解説を行っている。好きな家電は、お掃除ロボットなど、家事を任せられて時間を産んでくれる「時産家電」。

(構成 井上真花=マイカ)

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