
シリコンバレーやハリウッドでまず話題となり、2016年の創業から2年足らずで100万足を売り上げた新鋭スニーカーブランド、オールバーズがついに日本上陸。1月10日原宿にオープンした日本第1号店にて、来日したジョーイ・ズウィリンジャーCEOに成功の秘訣を聞いた。
パートナーとの運命的な出会い
ここ数年、空前のスニーカーブームが世界的に続いている。数分で完売し、驚くほどのプレミアム価格が付くスポーツブランドの限定モデルが投資対象にもなり、ラグジュアリーブランドの高級品を求めて若者が列をなす。そんな群雄割拠のスニーカー市場へ2016年に参入し、たった2年で販売数100万足を達成。これまで150億円以上の資金調達を行い、早くも企業価値は1500億円以上という、破格の成功を収めたのがオールバーズだ。 元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウン氏とともに同社を創業したジョーイ・ズウィリンジャーCEOが語ったその成功譚は、サステイナブルな社会、そしてビジネスへの真摯な情熱に支えられていた。
―― ビジネスパートナーのティム・ブラウン氏と出会ったきっかけは?
互いの妻が同じ大学出身の友人同士で、僕らも以前から見知った関係ではありました。数年前からティムはメリノウールを使ったスニーカーのアイデアを実現させようとしていましたが、素材の調達に苦戦していた。そこで妻を介し、当時再生素材の開発・販売を手掛けていた私に相談があったのです。それが2015年4月で、ロンドンからサンフランシスコにやってきた彼を、ウールの相談ということで、子羊の料理を用意して迎えました。それは冗談ですが(笑)、彼の情熱とアイデアに共感し、すぐにビジネスを一緒にやろうということになった。そして2016年3月にふたりでオールバーズを創業したのです。

―― スニーカーのアイデアはティム氏が温めていた?
そうです。スニーカーにメリノウールを使うこと。そしてロゴや装飾性のないデザインのアイデアも、彼はすでにもっていた。しかし、私と話をしていくうちに、ブランドの戦略は変わっていきました。ウールだけではなく、地球環境を破壊しない、さまざまな自然由来の素材を使ったプロダクトを作っていこうということになったのです。
―― それまでジョーイCEOはスニーカーに携わったことはなかったのでしょうか?
私はティムと出会うまで、自然由来のものやリサイクル素材を取り扱う企業に勤めていました。それらを開発し、アパレル企業などに提供する会社です。そこで日々経験していたことは、どの企業もサステイナブルな素材に興味があり、消費者も求めている。そして、すでにそうした素材も開発されているにも関わらず、いざ使ってくださいというと、きまって「それは難しい」と言われること。肝心の企業サイドが、みな及び腰だったのです。それならいっそ、企業を飛び越えて消費者へ直接届けた方がいいのではないかという思いを抱いていました。そこへティムからの提案があり、即断したのです。スニーカーやファッション業界の経験はまったくありませんでしたが、世界に与える影響は大きいだろうと確信し、迷いはありませんでした。

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